経営/マネジメント

安全衛生管理や熱中症対策はどうしてる?建設業経営者に聞きました!

7月1~7日は「全国安全週間(準備期間:6月1~30日)」です。

全国安全週間は、厚生労働省と中央労働災害防止協会の主唱により「産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ること」を目的として1928年(昭和3年)から毎年実施されています。

また、2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、企業による職場の熱中症対策が罰則付きで法的に義務化されました。

建設業は事故やケガ、熱中症などのリスクが高く、従事者の命と健康を守るためには現場の安全衛生管理が欠かせません。皆様の会社・職場では、労働災害防止に向けてどのような対策を行っていますか?

今回の記事では、関西地方で鉄筋工事業を営む『なあ062』さんに、安全衛生管理について思うことや自社での取り組みなどを語っていただきます。

【教えていただいたのは…】

なあ062さん
関西方面在住|30代夫婦で鉄筋工事業経営|2019年から技能実習生を受け入れ|本サイト連載コラム「建設会社会長!? 自称・鬼嫁?奮闘記」著者

鉄筋工事の現場で注意すべきことと対策


鉄筋工事は危険な作業を伴うため常に注意喚起を徹底しています(なあ062さん提供)

鉄筋工事は、扱うモノ(鉄筋)自体に重量があり、鉄筋の切断面は鋭利で危険なうえ、高所作業も伴います。さらに、鉄筋の切断には工具を、運搬時はクレーンを使用するため、巻き込み事故などにも気を付けなければいけません。

事故を防ぐためには、そうした危険性があることをしっかりと認識し、

  • 保護具の点検(買い替え時期の声かけ)
  • 安全帯を正しく着用して使用する
  • クレーン作業時など大きなものを動かす前に必ず声かけを行う
  • 体調不良時は我慢せずに主張して休む

といったことを徹底するよう従業員に伝えています。

また、社長が現場をパトロールしたり、危険作業を行う際は職長が声をかけたり、作業中に「危ない」と感じる行動があれば随時報告して、従業員全員に注意喚起するようにしています。

それから、弊社には技能実習生や特定技能外国人の子もいますが、たとえば「危ない!」と英語で伝えたいときは『Look out!』や『Watch out!』などが正しく伝わるそうです。“危ない”でパッと思い浮かぶ“dangerous”とかではないんですね。

事故防止という意味では、外国人の子たちの日本語力に頼りすぎず、日本人もその状況に適した指示を英語で出せるといいなと思っています。

「安全会議」を定期開催!注意事項を全員で共有する仕組みづくり

弊社では、現場での事故防止を徹底するため1カ月~1カ月半に1回、「安全会議」というミーティングを社内で開催しています。

1回の会議は30分~1時間程度。従業員全員が出席し、出張などで会社にいない人はリモートで参加してもらいます。

内容はまず、社長・職長から各現場の災害防止協議会の内容や、現場で直接注意を受けたことなどを共有。従業員にも現場での注意点や対策などを発表してもらい、課題や問題点があればその場でみんなで話し合います。

この会議で出てきた重要事項は、会社のグループLINEにメッセージとして残しておき、いつでも文章で再確認できるようにしています。

安全衛生管理のための総務的な取り組み

安全衛生管理に関する総務的な取り組みとしては、前述のとおり鉄筋工事業は危険を伴う作業が多いため、政府労災に加えて民間の上乗せ保険にも加入して事故に備えています。

また、弊社の従業員は年少者や比較的若い子が多く、何かあったときのための連絡手段として、親族(主に父・母)の携帯番号を把握するようにしています。

普段の健康管理についても、体調不良時はすぐに社長か私に連絡してもらい、特に独身の子の場合、医療機関の受診時には誰かが送迎・付き添いをするよう努めています。

2025年6月から義務化された“熱中症対策”に思うこと

健康管理でこれからの時期、特に気を付けたいのが熱中症。

6月からは熱中症対策が法的に義務化されました。確かに年々暑くなっている印象なので、私は義務化も当然のことと捉えています。

いざというときの連絡体制や、処置の仕方がわかっている人は必要ですし、管理者として対応が求められる職長自身も体調に気を付ける意識がさらに高くなると思います。

直近の体調や様子など従業員同士だからこそ把握できている情報もあると思うので、お互いに気を配りながら、“無理をしない”ということを社内でしっかり共有するための良い機会になると私は感じています。

弊社の熱中症対策!冷感グッズの支給と注意喚起の徹底

弊社の熱中症対策としては、ファン付の作業服や冷感タオル、冷感スプレーを支給したり、経口補水液など飲み物を準備したり。それから、現場に持っていくクーラーボックスは、よく冷えるものに買い換えました!

子ども(小学生)の登校時にも熱中症警戒アラートのメールが来るので、そういうものも活用して情報収集しながら、従業員のみんなには休憩時間をしっかり確保して無理をしないよう声かけしています。

また、熱中症対策には睡眠と食事をしっかりとることも大事です。

睡眠不足を防ぐためにエアコンのタイマー機能で帰宅前から部屋を涼しくしておくこと、きちんとごはんを食べることなどを懇々と伝えています。夜に寝苦しくならないよう、ジェルマットの活用もおすすめしていて、必要に応じてこちらも支給しております。

ちなみに社長は毎年、ジェルマット愛用です!

梅雨シーズンで雨の日と晴れの日の気温差が激しくなってきました。

季節の変わり目や気温差で体調が崩れやすくなりますので、くれぐれも無理せずお過ごしください。

今回もありがとうございました。

著者:なあ062

著者:なあ062

関西方面在住。夫が社長を務める鉄筋工事業の会社を20代から一緒に経営。会社では事務・経理・顧問先との打ち合わせ等をこなし、料理や裁縫も得意。介護士の資格も持つ。「会社も家庭もほぼ権力を握ってます(笑)。口も達者な鬼嫁です」(本人談)

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