技能実習生とのコミュニケーションのコツを建設業経営者に教えてもらおう!

経営/マネジメント

国際貢献や人手不足などの観点から、建設業界では外国人労働者、特に技能実習生の受け入れが増加傾向にあります。皆さんの中にも、自社で技能実習生を受け入れたことがあったり、これから受け入れを検討していたり、建設現場で一緒に仕事をした経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

一方で、外国人の方とのコミュニケーションに課題や不安を感じることもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、夫と鉄筋工事業を経営し、2019年から技能実習生の受け入れを続けている「建設会社会長!? 自称・鬼嫁?奮闘記」(弊サイト連載コラム)の著者・なあ062さんに、外国人実習生とのコミュニケーションのコツを教えていただきました。社内や建設現場などでぜひ参考にしてみてください!

【教えていただいたのは…】

なあ062さん
関西方面在住|30代夫婦で鉄筋工事業経営|2019年から技能実習生を受け入れ|本サイト連載コラム「建設会社会長!? 自称・鬼嫁?奮闘記」著者

言語編

技能実習生の日本語力に頼らないコミュニケーション

日本語のレベルは個人差が大きいです。配属1年目でまだ日本語があまり話せない子には、簡単な英語で会話したり、翻訳アプリを使ったりしています。

また、例えばベトナムや韓国の人は【つ】の発音が難しい場合があるそうで、日本語で話してくれても発音の仕方によってはこちらが聞き取りにくいこともあります。そういうときは、思い当たるモノの画像をスマホで見せて「これかな?」と聞いてみるなど、技能実習生本人の日本語力に頼らないコミュニケーションを心がけることが大切です。

「母国語で何て言うの?」がコミュニケーションのきっかけ

母国語でのあいさつや「はい」「いいえ」などを教えてもらって、こちらも寄り添う気持ちを大切にしていると、実習生から「これは日本語では何と言いますか?」と聞いてくれるようになります。

日本語能力が高い子に対しても、“あなたとコミュニケーションが取りたいんだよ!”という姿勢を伝える意味も込めて、「これは母国語だと何て言うの?」とこちらから聞くと母国語のレッスンをしてくれて、コミュニケーションのきっかけになります。

ちなみに、日本語がよく理解できている子は初めから日本語で話してくれますし、特に理解力の高い子だと2年目あたりから方言までわかるようになってきます。私は関西なので、関西弁で「べっちょない」と言うと、「大丈夫」という意味だとちゃんと理解できるようになった子もいました。

文化編

ゴミ出しルールは母国語対応で丁寧に伝える

生活面で難しいと感じたのはゴミ問題。日本は他国よりもゴミの分別ルールが細かく、実習生たち外国人にはわかりづらい文化の1つです。

各自治体でルールが違うので、普段生活する会社の寮ではもちろん、出張でしばらく別の地域に行くときも、その自治体のホームページを確認して、母国語の説明がある場合はそれを、ない場合は私が翻訳し図に書き添えて渡しています。

例えば、神戸市のホームページにはこんなページがあります。


神戸市HPより

自治体によって対応言語が異なることもあるとは思いますが、このように外国人向けのゴミ出しルールのお知らせがあるので、まずはお住まいの地域のホームページをぜひチェックしてみてください。

お互いの文化を教え合う貴重な国際交流と捉える

日本の文化について、興味があることややってみたいことが実習生それぞれにあると思うので、まずはスポーツ経験や趣味など好きなことを聞いてみましょう。そして、日本で見られるスポーツ、伝統行事、世界遺産、外国人が興味津々な桜などなど、ぜひ一緒に見に行ってみてください!そうすると、「自分の国にはこんな世界遺産や伝統行事があるよ!」と話してくれたり、写真を見せてくれたりしますよ。

お互いの国のことを教え合ったり、宗教や文化の関係で食べられない物があればそれを避けてあげたり、私たちもいろんなことを勉強させてもらってます!

トラブル編

トラブル防止にはまず信頼関係を築くこと

技能実習生のトラブルとして大きな課題といわれるのが逃亡や失踪。これはいくら気を付けていても、組合(技能実習生の受け入れ機関)や会社が知らない間に悪いブローカーに捕まってしまうようなパターンもあるようです。

技能実習生が頼れるところって、入国してすぐは組合か外国人技能実習機構に電話するくらいしかないんです。だから、会社の中で1人でも相談できる日本人がいるのはかなり大きい。そういった環境づくりやコミュニケーション、いかに信頼関係を築けるかが、さまざまなトラブルを防ぐためには大事だと思います。

ですので、まずは実習生といろんな話をすること。母国にいる家族のことや、本人の趣味・好きなことなどを聞いて、しっかりコミュニケーションを取って、実習生が困ったときに助けを求められる場所になってあげることが重要だと感じています。


写真は実習生の子たちも一緒にみんなでマリンスポーツをしたときの様子。お互いにコミュニケーションを深められるよう心がけています!(なあ062さん提供)

〈エピソード〉自転車窃盗を疑われて…

トラブルでいうと、実習生に気の毒だったのが、移動手段として使ってもらっていた自転車の防犯登録を警察官に調べられたことがありました。

私名義の自転車だったので、「私が貸して使わせています」と説明して解決しましたが、盗んだと疑われて嫌な思いをさせてしまったのは、すごく申し訳なかったです…。

最後に


BBQも実習生の子たちを交えて、一緒に楽しく過ごしました!(なあ062さん提供)

実習生も受け入れ側も気楽に、固くなりすぎず

受け入れ前の面接だけで性格などすべてを知ることはできないので、配属後に「コミュニケーションを取りたいんだよ!」と伝わるように接していると、実習生側から話をしてくれるようになります^ ^

受け入れ側も徐々に慣れていくものなので、初めは上手くいかなくて当たり前!私たちも伝えたいことを実習生に上手く伝えられないことがありますが、そういうときは組合を頼って通訳してもらったら大丈夫です。そんな感じでわりと気楽に構えているほうが上手くいくかもしれません。

日本人でも会社や他の従業員との相性はあると思います。日本人にあるのに外国人にはないなんてことはありえないので、技能実習生だって辞めたいと思う子がいてもおかしくないですよねm(._.)m

日本人よりも受け入れに費用がかかるのがネックにはなりますが、「辞める子は辞めるし…」ぐらいの気持ちでいたほうがいいです!

雇い主からすると従業員が増えることはすごくうれしいです。

でも、「頑張ってほしい!」「続けてほしい!」という気持ちが前に出過ぎると、過度に期待してしまったり…、従業員側は期待に応えたいと頑張り過ぎて疲れてしまったり…、といったことが起きる可能性もありますので、慎重に!

受け入れ側も実習生側も、お互い固くなりすぎないことを意識しましょう!

それでダメだった場合は、相性が良くなかったんだなー(;_;)
引きずっても仕方ないので、次また良い子が入ってくれるかなー!と切り替えてやっていきましょう(o^^o)

隣の芝生はほんとに青く見えるんですが、他の方からするとご自身も青く見えてますよ!!
自社の強みを従業員たちに教えてもらいながら理解を深めると、その強みを活かした人材集めができるので、時間はかかっても必ず上手くいきます(≧∇≦)

無理をしても資本の体を壊したら意味がないので、手を抜けるところは全力で抜いちゃってください(๑˃̵ᴗ˂̵)

皆様のご活躍を陰ながら応援しております。

寒くなってきましたので、上着等で調整して、体調に気を付けてくださいませ。
今回もありがとうございました♪

著者:なあ062

著者:なあ062

関西方面在住。夫が社長を務める鉄筋工事業の会社を20代から一緒に経営。会社では事務・経理・顧問先との打ち合わせ等をこなし、料理や裁縫も得意。介護士の資格も持つ。「会社も家庭もほぼ権力を握ってます(笑)。口も達者な鬼嫁です」(本人談)

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