技能実習生の存在が社内の意識を変える!?建設業経営者が語る受け入れのメリット
建設業者が技能実習生など外国人材を受け入れる意義やメリットはどのようなところにあるのでしょうか。
「人材確保という意味合いももちろんありますが、それだけではありません」と話すのは、夫とともに鉄筋工事業を経営する“自称・鬼嫁”こと、なあ062さん。同社では2019年から技能実習生の受け入れを続けています。
今回の記事では、建設業者が技能実習生の受け入れを行う意義、そして技能実習を通じて実習生たちに身に付けてほしいことなどを、なあ062さんにお話しいただきます!
【教えていただいたのは…】
なあ062さん
関西方面在住|30代夫婦で鉄筋工事業経営|2019年から技能実習生を受け入れ|本サイト連載コラム「建設会社会長!? 自称・鬼嫁?奮闘記」著者
技能実習生は会社全体の能力を底上げしてくれる!
弊社が外国人技能実習生の受け入れを行う目的は、人材確保という意味合いももちろんあります。優秀な人材が1人でも多くいれば、自社だけでなく業界全体にとってプラスですし、国籍や業種を問わず優秀な人には少しでも長く日本で働いてほしいと願っています。
それは、ただ単に“人数を増やすため”というだけではありません。
優秀な子や一生懸命な子の存在は周りにとってとても良いプレッシャーになるので、技能実習生の子が急激に成長すると、その姿を見て「負けたくない」と日本人の従業員にも火が付いたり。
逆に、頑張っているけど伸び悩んでいる実習生がいると日本人の子がいろいろ教えてあげて、それによって教えた側の子も成長できたり。
人に何かを教えるって、自分がその内容をきちんと理解していないとできることではないですよね。だから「教えてあげられるようになった」というのはその子が成長した証でもあり、すごく自信になると思うんです。また、教えてもらった側もそれで理解が進んだり、「自分も人に教えられるくらいしっかり身に付けたい」という気持ちがモチベーションになったりして成長する子もいます。
そうやって、技能実習生の存在は会社全体の能力の底上げにつながっていて、“いろんな意味”でプラスになることがたくさんあると感じています。
技能実習生のおかげでさまざまな経験ができる!
技能実習生たちと接することで視野を広げられるのもいいところ。
お互いの国のことを教え合ったり、陽気な子は一緒に歌を歌ったり、知らないうちにみんなでサッカーをしていたり。実習生との日々のコミュニケーションで、英語や他国の言葉、文化などをグローバルに学ぶことができて、勉強になることがたくさんあります。
実習生の子たちはみんな子どもが好きで、うちの子どもたちと遊んでくれることもありますし、弊社には中学時代に不登校だった子もいるんですが、実習生たちのおかげでみんな、いろいろな経験をさせてもらっています。
実習生とのコミュニケーションから、日本人の子たちの新たな一面を知れることもあって、「あの子は実習生への教え方が上手」とか「あの子は実習生と積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれてる」とか、それまでの印象とは少し違った報告を受けることがあるので、私もうれしいです。
「母国で建設業に関わる」という夢を応援したい!
弊社での仕事を通じて夢や目標に向かって頑張る姿勢をしっかり評価してあげたいと思っています!(なあ062さん提供)
弊社が最初に技能実習生を受け入れたのは2019年。きっかけは同業者からの紹介でした。周りで技能実習生を受け入れている他の会社さんも、このパターンが圧倒的に多いように思います。
実習生たちの夢や目標は、「母国で建設業を営みたい」というのが一番多いですね。それから、職人や資材屋さんになりたいという子もいます。
夢や目標に向かって頑張る、そのやる気に対しては、私たちもできる限り応える、評価をするというのを大切にしていて、メモを取って勉強する子や質問してくれる子には、本人が納得いくまでしっかり説明するようにしています。
技能実習生たちに身に付けてほしい職人としての技術と心構え
弊社は鉄筋工事業なので組立が主な業務になるのですが、並べ方・留め方ひとつで、後の工程や他の業者さんの仕事に影響することがあります。なので、1つひとつの作業を丁寧に、キチンとすること。実習生たちにはまずそれを伝えています。
それから、職人って自分の道具の片付けや現場のゴミ拾いなどができて初めて“職人”だと思うんですよ。
仕事はきれいにできているのに現場にゴミが残っていた、となるとやっぱり残念。
料理なんかもそうですが、作業しながら片付けもすることで効率が上がるし、自分の道具に愛着も湧いて大事にできるようになるし、良いこと尽くしです。
仕事に関しては慣れてくれば要領をつかめると思うので、もちろん技術・能力が向上してくれるのが一番。そこからさらにゴミ拾いや後片付けが早くできるようになると、時間と心に余裕が生まれ、組み立てた場所が「きれいに並んでいるかな」「手直しになる箇所はないかな」と気にかけることまでできるようになります。そうした積み重ねがきれいな仕事につながると思うんです。
現場の片付けやゴミ拾いまで含め、丁寧に作業することが職人への道だと考えています(なあ062さん提供)
やはり技術は経験。いかに基本を徹底できるかが大事です。そういう姿勢を実習生たちには身に付けてほしいと思い、弊社では日々の指導に当たっています。
結局、日本人も実習生も全員、同じ職場で同じ仕事をする仲間。そこに国籍や人種は関係ありません。みんなの目標を応援したいと思い、技能実習生の受け入れも行っているという感じです。
実習を終えて帰国した子たちともSNSでつながっているので、近情を見たり、年始のあいさつが送られてきたり、という付き合いが続くこともあります。でも、彼らが母国で自分の目標に向かって、元気に暮らしてくれていればそれだけで十分です(^ ^)
昨年は私のお話を読んでくださり、大変うれしい限りでした。
まだまだ至らないところもたくさんあり、私も課題だらけなのですが…
今年は事業拡大の予定です!変わらずオフの日には従業員たちと楽しい思い出をつくりながら、こちらでの発信も継続していきます。
楽しい話題をお届けできるようにしていきますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
著者:なあ062
著者:なあ062