若手社員向け建設業界の豆知識_~経歴35年土木現場監督のあるある話~

コラム

第14回『現場は準備と段取りが9割』





りゅう坊です!



まずは計画ありき

ものごとを実践するにあたっては計画が必須となります。

昨今、建設工事の発注者も“施工計画ありき”という表現をされることが通常になりました。
「現場で実際に取り組まないことを計画書に記述しないでください」とも言われます。

“まずは計画ありき”であるため、実践が可能な計画を立てることが重要です。




状況で変更や改善は必要

そして、計画書に合わせて実行するのが現場管理です。
しかし、計画はあくまで計画であり、“現場は生もの”。現場の状況によっては変化や問題など予期せぬ事態が生じ、変更・改善せざるを得ない場面も発生します。

そんな時、計画書に書いてあるからと言って、それを絶対に変えてはいけないという思い込みにとらわれるのはおススメできません。
状況に合わせて柔軟な対応をすることも忘れてはならないことです。

“柔軟さ”と“融通さ”は、大事なアイテムです。臨機応変に対応していくことも重要なのです。




計画段階で用意周到に

“段取り八分、仕事二分”という言葉があります。
事前準備をしっかりやっておくことで仕事の8割は完了している、という意味の格言です。

私の持論としては、さらに付け加えて、準備・段取りが9割と考えます

準備・段取りも仕事のうちととらえ、十分に取り組むべきと思いますが、何事においても完璧というものは現実的に存在しません。
でも、この準備段階で可能な限り細部まで考えておくことができれば、いざという時に柔軟な対応が容易になります。
いろんなケースを想定しておくことで、対応に余裕を持つことができます。

計画段階で用意周到を心掛けましょう。




先読みと洞察力を高める

野球を例にとって話しをします。
2023年はWBCで日本が世界一になり、プロ野球はセ・リーグ、パ・リーグともに私の地元・関西のチームが優勝しました。

「阪神とオリックス、強かったねぇ~」という話しをしたいのではなく、監督のチーム運営に注目してほしいのです。

プロ野球は1日1日、1試合1試合、設定されたスケジュールをこなしていきます。
日々試合をつくっていく作業で言えば、建設の作業と通じるものがあると思うのです。

たとえば、

  • スケジュール…工期
  • 選手、道具 …人員、材料・機械
  • ベンチ入り …現場のチーム


これらを統括するのが、双方とも“監督”です。監督の采配によって現場が動きます。動き出すには、準備・段取りが非常に重要です。

建設現場も日々が大切であり、スケジュールの中で結果を出すという意味では、監督の裁量がものを言うところがあります。
一方で、意図する方向を間違ってしまうと誤算が生じ、手戻り・やり直しとなります。
いかに準備をして、段取り良く進めていくか。これが左右するのです。

そのために普段から先を読み、洞察力を高めておくことが最大のポイントなのです。

あまり難しく考える必要はありません。とにかくよく確認することです。
第9回のコラム『問題は現場で起きている』でお伝えした3タイプの“みる”、見る(見て回る)・観る(観察する)・診る(診断する)を意識してみてください。




頭の中だけでは危ない管理

監督の仕事もたくさんあって忙しい立場です。
すべてを頭の中に詰め込んで采配することもできなくはないかもしれませんが、利用できるものは利用しましょう。
いろんなことを覚えているのは大変ですし、人間はカンタンに忘れる生きものです。

工事を進めていく上で、うっかりは命取りです。

まず、ノートや野帳などに記録する。メモする習慣を持つことは断然おススメです。
第6回のコラム『あなたはメモってますか?』も参考にしてもらえると幸いです。

また、現場管理をする上で自分なりのチェックシートをあらかじめ作成しておくのも、管理や連絡事項の一助となるでしょう。
「覚えているから大丈夫」。これが危ういのです。完璧なことは稀どころか、まず無いと思っていた方が賢明であり、気を付けるようになります。




思考も大事!よぉ~く、考えていよう

監督の立場は、考えることがとても多いです。頭がいっぱいになって、しんどくなることもあります。

でも、現場を采配しているうちに「次は、ああやってこうやって」というふうに、考えながらカタチになることが楽しくなってきます。

語弊を恐れず言いますが、ゲーム感覚みたいな域に到達すればしめたものです。
ここに“ものづくりの魅力”が詰まっていると考えます。

現場では、なかなか思いどおりにならない・できないことも出てきます。でも、ここで踏ん張りが必要です。
そして、思考が欠かせません。問題や困難なことに対し、思考して、可能にしていかなければならないケースもあるでしょう。

そんな時、周りの存在も忘れてはいけません。
チームの指揮官ですが、頼れるメンバーと共に戦っているので頼ればいいのです。
「ひとりで現場を回している」などと思ってしまうと、大きな勘違いとなり、超危険です。

思考・行動・言動に気を配ることが肝要です。




今回のまとめ

物事を順調に運ぶためには、最善の準備と段取り、そしてチーム力にかかっています。
スタートラインで一定の流れができれば、途中、苦しくてもゴールまで走れるはずです!

“準備と段取りが9割、1割で全力疾走”




◆作者紹介 りゅう坊さん
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。

りゅう坊さんのブログ   DIYとWorkを簡単に! りゅう坊の楽楽ブログ

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