若手社員向け建設業界の豆知識_~経歴35年土木現場監督のあるある話~

ナレッジ/ノウハウ

第9回『問題は現場で起きている』





りゅう坊です!

"百聞は一見にしかず"

工事現場では、この言葉がピタッときます。関係者から状況説明を聞くことはとても大切です。おおよその概要や現場の状況は理解できます。ですが、なんと言っても聞くばかりよりも自分の目で確かめるのが一番の得策なのです。

リアルな工事現場では、その場所の臨場感、空気感というものがあります。机上だけで考えていても実際の場面が見えません。想像ばかりしなくてはならなくなります。なので、その場に行って確かめるのが聞くよりも百倍効果があるのです。

時に、聞いただけの情報は、自分本位の解釈にしてしまう要素を含んでいます。良くない方向へ判断してしまわないためにも「自分の目で確かめる」。技術者なら優先して持っておくべき思考なのです。

構築する建造物すべてに言えることですが、

  • 完成イメージ
  • 作業スペース
  • 仮設備の計画
  • 構築位置確認

これらは、実際の現場に行き、目で見ながら考えることをオススメします。工事に着手すると、必ず何かしら頭を悩ませることやトラブルが発生します。着手から完成まで何も問題なく終わることは、稀(まれ)です。


着手前の問題を低減すること、施工途中の課題を克服するためには、

  • 見る(見て回る)
  • 観る(観察する)
  • 診る(診断する)
  • 構築位置確認

3タイプの "みる" を重要視することが大事です。



"場数を踏む"

読んで字の如く、数多く足を運んで経験することです。数を重ねることによって少しずつ、力が養われていきます。数多く足を運ぶことによってさまざまなものが明確化されます。書籍による学習や資格を得るための知識獲得の勉強も必須です。加えて、学習で得た理屈を現場で実践するためには、数多く足を運ぶことが大事なのです。机上だけの推測、予測、判断はいささか危険が伴います。

・現場の空気を吸う・土や木に触れる・水の流れを見る・風の吹き方を感じる・足元の状態を確かめる

これらは現場じゃないと体感できません。工事は現場でやっているのです。第一優先は臨場であると捉えて、考えながら動くことです。

近年、工事スタイルもかなり、さま変わりしてきました。たとえば、ICTを例に挙げると、安全面においても出来形の管理面を考えても画期的なのです。人手が少なく済むことになり、要らないポストが出てきそうですが、あえて言うなら機器やコンピューター任せで出来ることは、移行するでしょう。

もっとも、操作する人手や技術は必要ですが、職人や作業員の出番が減るということになるのです。しかし、現場では人の手感覚や肌感覚が求められる重要性もあります。機械化が進み便利なのは大歓迎だと思いますがが、喜んでばかりで良いのかどうかという気持ちもあります。ものづくりが横着になることは、避けなければなりません。

スコップやツルハシを使ってやっていた時代を思うと大きな進化です。規模の大きい工事を行なう場合、機械は無くては十分な仕事、作業になりません。ただ、人の手による味のある部分は必要だと考えます。ですので問題とする懸念は、技術の継承という伝統です。

難しいことを言いたいのではなく、道具や材料の扱い方における人の手の技術です。掛矢・ハンマーの扱い、水糸・墨つぼの扱い、スコップなどの扱い、セメント・砂の扱い、土など材料の扱いなど。こういった人の手で行なう土木建築の素(もと)であるものが伝わりにくくなります。

これからは、AIの時代になって行き、進化や変化は避けられないことになります。産業革命に逆らっても時間と共に認めざるを得ない状況になってしまうのは、致し方ありません。進化に併行して日本の伝統や技術の継承もだんだん置き去りにされる懸念が問題なのです。

とは言え、現実社会に目を向け、時代の流れから目をそむけることはできません。流れに上手く乗ることも大事です。ただし物事の基本は押さえておくべき部分です。

現場に行って自分の目で見るということ。これには、現場を進める上での基礎準備も含まれます。ただ見て回るだけではなく、考えながら見るのです。「地や山、川、水、木々の状態を観る」「危険な箇所、注意するポイントを診る」これらを総合して見るということです。

あなたが管理者の立場であれば、現場と書面管理に来る日も来る日も大忙しだとおもいますが、工事は現場でやっていますし、問題は現場で起きているのです。時間が許す限り、目を向けることが重要であり、基礎となります。



"現場百回"

警察の事件捜査などに使われる言葉ですが、建設現場においてもあてはまるものです。百回というと、ほど遠い感じがします。でも工期がある現場では100日行けば回数になります。現場がすべてを知っているということです。自分の目で現場を見て、働く人の声を聞き、思考・判断することが重要なのです。

今回の内容をまとめると、机上で考える計画をスムーズに実践するため、現場の状態に気を配ることがとても大切です。できる限り、くまなく現場の中を見てまわるのです。見落とし、見過ごしというものが問題の引き金になる可能性が大いにあります。

その芽を摘むためには、3つの『みる』、は欠かせないものです。



"問題は現場で起きている"

現場が最優先と捉え、3つのみを実践することであらゆるリスク回避や問題の低減ができるということです。

現場が一番!まずは、自分の足を運び、見定めることをお勧めします。


◆作者紹介 りゅう坊さん
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。

りゅう坊さんのブログ   DIYとWorkを簡単に! りゅう坊の楽楽ブログ

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