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【2025年度最新】1級土木施工管理技士の第一次検定における工学の基礎を徹底解説

【この記事を執筆したのは…】

佐藤拓真さん
元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|ブロガー兼Webライター|SNS総フォロワー2.3万名|出版書籍「仕組み図解 土木工事が一番わかる」

今回は、先日7月6日に行われた1級土木施工管理技術検定における第一次検定で出題された「工学の基礎」の問題全5問について、徹底的に解説します!

必須問題Aとして、令和6年度から出題されることになった工学の基礎の問題ですが、
「学術的な力学の問題に触れるのは学生のとき以来だから不安…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

暗記ではなく内容が理解できるように、具体例を交えて解説するので、苦手意識をなくして得点UPにつなげていきましょう。

佐藤

今年度の試験を受けた方、またこれから受検を予定されている方はぜひ参考にしてみてください!

ちなみに、6月に行われた今年度の2級(前期)や昨年度の試験で出題された工学の基礎の問題については、[【2025年最新】1級土木施工管理技士における工学の基礎&令和7年度の変更点【まとめ】]の記事で詳しく解説しています。

また、第一次検定における頻出問題については、[土木施工管理技士講座 第3回「土木施工管理技士の試験直前に覚えておくべきこと100選【今からでも間に合う】」]の紹介しているので、あわせてご確認ください。

【関連記事】

第一次検定における必須問題1問目【1級】

土木施工管理技術検定・第一次検定の1問目に関する過去の傾向と、令和7年度1級で出題された1問目の問題について解説します。

過去の傾向

過去に出題された問題は以下のとおりです。

時期と試験の種別 内容
令和7年度 1級 土の3層構造
2級(前期) 土の3層構造
令和6年度 2級(後期) 土の3層構造
1級 土の3層構造
2級(前期) 土の3層構造
佐藤

過去の試験ではすべて「土の3層構造」について出題されており、令和7年度の1級でも同様の問題でした。

令和7年度1級第一次検定 必須問題1問目

今年も1問目は土の3層構造に関する設問で、「湿潤密度ρt」と「間隙率n」が出題されました。
なお、昨年度は「湿潤密度ρt」と「飽和度Sr」が問われています。

【湿潤密度】
湿潤密度は、土の単位体積当たりの質量です。

土粒子と水の重さを足したもの(Mw+Ms)に対して、土全体の体積(V=Vv+Vs)で割ったものを表します。

ρt=(Mw+Ms)/V  となり、

Ma=0であるため、
ρt=M/V  となります。

【間隙率】
間隙率は、土の体積に対して土中の空隙が占める割合を示す値です。

n=Vv/V×100
Vv:空隙の体積
V:全体積

間隙率が高いほど水や空気が通りやすく、透水性が高い土質材料で、圧密沈下が大きくなる可能性があります。

例として、砂であれば間隙率は30~45%程度であり、粘土であれば50~75%程度です。

第一次検定における必須問題2問目【1級】

2問目に関する過去の傾向と、令和7年度における1級の2問目について解説します。

過去の傾向

過去に出題された問題は以下のとおりです。

時期と試験の種別 内容
令和7年度 1級 コンシステンシー限界
2級(前期) 土質調査
令和6年度 2級(後期) 土粒子の密度区分
1級 粒径加積曲線と三角座標
2級(前期) 粒径加積曲線

令和6年度は2級(前期)と1級で「粒径加積曲線」に関する問題が出題されましたが、令和7年度は全く異なる問題となりました。

令和7年度1級第一次検定 必須問題2問目

土には含水比に応じて4つの状態があります。

  • ドロドロ流れてしまってカタチが作れない液状
  • ネバネバで自由なカタチを作ることができる塑性状
  • ボロボロでカタチが作れない半固体状
  • カチカチで固まっている固体状

土が塑性状態から液状状態に移るときの含水比を「液性限界(Liquid Limit:LL)」
また、土が半固体状態から塑性状態に移るときの含水比を「塑性限界(Plastic Limit:PL)」と呼びます。

塑性指数(Plasticity Index:Ip)は、土の「塑性域」の広さを表す指標で、液性限界と塑性限界の差として定義され、次の式で表されます。

Ip=LL-PL

塑性指数が示すものは「塑性域」の広さです。

たとえば、[LL=50%、PL=20%]の土では、含水比20~50%の範囲において、手でこねることができる粘土(工学的分類の粘土とは異なります)のように成形可能な性状を示し、その幅は[Ip=30%]となります。

佐藤

塑性指数が大きいほど、土が水分量の変化に対して可塑性を保つ範囲が広いことを意味します。

第一次検定における必須問題3問目【1級】

3問目に関する過去の傾向と、令和7年度における1級の3問目について解説します。

過去の傾向

過去に出題された問題は以下のとおりです。

時期と試験の種別 内容
令和7年度 1級 単純梁に集中荷重が作用した場合の曲げモーメント
2級(前期) 単純梁に集中荷重が作用した場合の曲げモーメント
令和6年度 2級(後期) 単純梁に集中荷重が作用した場合の曲げモーメント
1級 単純梁に集中荷重が作用した場合の曲げモーメント
2級(前期) 単純梁に集中荷重が作用した場合の曲げモーメント

単純梁に集中荷重(1点または2点)が作用した場合の最大曲げモーメントや、モーメント図等を求める問題が出題されています。

令和7年度1級第一次検定 必須問題3問目

問題の図に作用する反力は、以下の図のとおりです。

まず、支点反力を求めます。
つり合いの式より、支点反力RA、RBは

RA+RB=P+P=2P

RA×L=P(L-(L/3))+P(L-(2L/3))
=P((2L/3)+(L/3))
=PL

RA=P、RB=2P-RA=P

左右対称に荷重配置されているので、左右の支点反力は等しく[P]になります。

次に、曲げモーメントを支点Aからの距離x(0≦x≦L)で場合分けします。

【1】領域Ⅰ[0≦x<L/3]
M(x)=RA×x
=Px

原点となるA点(x=0)で曲げモーメントは[0]、
x=L/3で曲げモーメントは[P×(L/3)]となり、直線的に増加します。

【2】領域Ⅱ[L/3≦x<2L/3]
M(x)=RAx-P(x-(L/3))
=Px-Px+P×(L/3)
=P×(L/3)

荷重Pが打ち消し合って、中央区間は水平な定常値

【3】領域Ⅲ[2L/3≦x≦L]
M(x)=RAx-P(x-(L/3))-P(x-(2L/3))
=Px-Px+P×(L/3)-Px+P×(2L/3)
=P×(L-x)

x=2L/3 の位置で曲げモーメントは[P×(L/3)]となり、
x=L の位置では曲げモーメントは[0]で、直線的に減少します。

この3つの領域に分けた曲げモーメントを図にまとめると、

  • 左端→中央へ直線的に増加
  • 中央付近(L/3~2L/3)→定常のため水平
  • 中央→右端へ直線的に減少

となり、選択肢の中では(2)の形が対応します。

第一次検定における必須問題4問目【1級】

4問目に関する過去の傾向と、令和7年度における1級の4問目について解説します。

過去の傾向

過去に出題された問題は以下のとおりです。

時期と試験の種別 内容
令和7年度 1級 引張応力
2級(前期) 曲げモーメント
令和6年度 2級(後期) 図心
1級 図心と断面一次モーメント
2級(前期) 図心

令和7年度1級第一次検定 必須問題4問目

応力は、内部応力を断面積で割ることで求めます。

σt=N/A
N:内部応力
A:断面積

まずは、内部応力を求めます。

直径Dの円柱の両端に、軸方向に互いに引き離す向きの外力Pが作用しています。
静的つり合いより、内部にはこれを打ち消す向きの引張力

N=P  が生じます。

次に、断面積を求めます。

円柱の断面積Aは[半径×半径×π]より、半径=D/2となるので、

A=(D/2)^2×π=πD^2/4

となります。

そのため、
σt=N/A
=P/(πD^2/4)
=4P/(πD^2)

佐藤

円形断面部材の軸方向引張応力は荷重を断面積で割るだけのシンプルな式で求まり、材料強度設計の基礎となります。

第一次検定における必須問題5問目【1級】

5問目に関する過去の傾向と、令和7年度における1級の5問目について解説します。

過去の傾向

過去に出題された問題は以下のとおりです。

時期と試験の種別 内容
令和7年度 1級 定常流
2級(前期) ベルヌーイの定理
令和6年度 2級(後期) ベルヌーイの定理
1級 定常流
2級(前期) 開水路における定常流

令和7年度1級の第5問は、昨年に引き続き管路の定常流をテーマとした出題でした。
流量および流速の算出式を用いて解答を導く問題構成となっていました。

令和7年度1級第一次検定 必須問題5問目

円形断面における等流の流量計算の問題です。

流量は、断面積と流速から求めることができ、流速はマニングの式により求めます。

  • 流量:Q=A×V
  • 流速:V=(1/n)×R^(2/3)×I(1/2)
  • 径深:R=A/S

n:粗度係数、I:勾配、S:潤辺(水路の壁に接している部分)

等流の断面積は水路の断面積の半分なので、
A=π(D/2)^2÷2
=πD^2 / 8

また、潤辺の長さは図のとおり、水路の円周の半分であるため、

S=πD÷2=πD/2  となり、

R=A/S より
=(πD^2 / 8)÷(πD/2)
=D/4

となります。

Q=A×((1/n)×R^(2/3)×I^(1/2))
=(πD^2 / 8)×(1/n)×(D/4)^(2/3)×I^(1/2)

まとめ

工学の基礎として令和7年度に出題された問題は以下のとおりです。

令和6年度と同じように土質力学2問、構造力学2問、水理学1問でした。

内容
1問目 土質力学 土の3層構造
2問目 土質力学 コンシステンシー限界
3問目 構造力学 単純梁に集中荷重が作用した場合の曲げモーメント
4問目 構造力学 引張応力
5問目 水理学 定常流

次回は、土木施工管理技術検定において鬼門となる「経験記述」について解説します。
楽しみにしていてください!

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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著者:佐藤拓真

著者:佐藤拓真

準大手ゼネコンで土木の現場監督として7年勤務。その後も建設業界関連で働いている。自身のブログ 『つちとき』 では、若手の土木技術者に向けて工事現場で実際に学んだ知識を公開中。X(旧Twitter) でも情報発信しており、フォロワーは合計2.3万人。プライベートでは娘が2人いる30代の父親。著書『しくみ図解 土木工事が一番わかる」

◆ブログ 土木工学と建設業のブログ『つちとき塾』
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