【建設業】どのような場合に監理技術者や主任技術者は現場に専任で配置しなければならないの?
建設業法 【建設業】どのような場合に監理技術者や主任技術者は現場に専任で配置しなければならないの?
建設業許可業者は工事現場に主任技術者を配置する義務があります。(建設業法第26条)
また、「一定の場合」には監理技術者、主任技術者は現場に「専任」で配置しなければなりません。
「一定の場合」について、解説したいと思います。あわせて読みたい
【令和2年10月1日改正】主任技術者と監理技術者とは?現場に配置する技術者について解説し・・・
目次
- 1|「専任」とは?
- 2|どのような工事に専任でなければならないの?
- 2-1|専任の対象にならない工事は?
- 3|主任技術者の専任要件対象外のパターンとは?
- 4|監理技術者の専任要件対象外のパターンとは?
- 4-1|監理技術者等が行う職務とは?
- 4-2|監理技術者補佐を専任する場合の注意点とは?
- 5|監理技術者等の専任期間とは?
- 6|まとめ。
「専任」とは?
「専任」とは、他の工事現場の職務を兼務せず、常時継続的に1つの工事現場の職務にのみ従事していることを言います。
現場施工の稼働中や、特別な理由がある場合を除いて常時継続的にその工事現場に滞在していることを言い、必ずしも、工事現場の常駐を意味していることではありません。
したがって、専任の監理技術者等は、技術研鑽のための研修、講習、試験等の参加、休暇の取得、その他合理的な理由で離れることについては、適正な施工体制を確保しその体制について発注者や元請、上位下請等に了解を得れば問題ありません。
どのような工事に専任でなければならないの?
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令和5年1月1日施行。特定建設業許可や監理技術者の下請金額の下限が改正します!
建設業法には建設業法施行令に定める以下の工事で、工事1件の請負金額が4,000万円以上・建築一式工事は8,000万円以上の場合は監理技術者または主任技術者を専任で配置しなければならないとされています。(建設業法施行令第27条)
✔ 国や地方公共団体が注文者の施設
✔ 国や地方公共団体が注文者の工作物
✔ 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用
工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上下水道✔ 電気事業用施設(電気事業の発電、相談、配電、変電、その他電気施設)、ガス
事業用施設(ガス事業のガスの製造、供給)✔ 石油パイプライン事業法(第5条第2項2号)に規定する事業用施設
✔ 電気通信事業法(第2条第5号)に規定する電気通信事業者が、電気通信事業に
供する施設✔ 放送法(第2条第23号)に規定する基幹放送事業者、または同条第24号に規
定する基幹放送局提供事業者が同条第1号に規定する放送に供する施設(鉄骨造
または鉄筋コンクリート造りの塔その他類する施設に限る。)✔ 学校
✔ 図書館、美術館、博物館、展示場
✔ 社会福祉法(第2条第1項)に規定する社会福祉事業に供する施設
✔ 病院、診療所
✔ 火葬場、畜場、廃棄物処理施設
✔ 熱供給事業法(第2条第4項)に規定する熱供給施設
✔ 集会場、公会堂
✔ 市場、百貨店
✔ 事務所
✔ ホテル、旅館
✔ 共同住宅、寄宿舎、下宿
✔ 公衆浴場
✔ 興行場、ダンスホール
✔ 神社、寺院、教会
✔ 工場、ドック、倉庫
✔ 展望台
上記の工事の場合は、監理技術者または主任技術者は工事現場ごとに専任で配置し、監理技術者については、監理技術者資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受講した者のうちから選任しなければなりません。
行政書士あやな監理技術者講習は最終受講した年から5年以内でなければなりません。
専任の対象にならない工事は?
事務所・病院等の施設、または工作物と戸建て住宅を兼ねたもの(併用住宅)について、併用住宅の請負代金の総額が7,000万円以上である場合であっても、以下の2つの条件を満たす場合は併用住宅を戸建て住宅とみなして主任技術者や監理技術者を専任で配置する必要はありません。
✔ 事務所・病院等の非居住部分(併用部分)の床面積が延べ面積の1/2以下であ
ること。✔ 請負代金の総額を居住部分と併用部分の面積比に応じて按分して求めた併用部分
に相当する請負金額が専任要件の金額基準である7,000万円未満(建築一式
工事の場合)であること。
主任技術者の専任要件対象外のパターンとは?
上記工事のうちで密接な関係のある2つ以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所、または近接した場所で施工する場合は、同一の専任の主任技術者(※)が建設工事を管理することができるとされています。(施行令第27条2項)
行政書士あやな(※)主任技術者のみなので注意してください。
監理技術者の専任要件対象外のパターンとは?
監理技術者については、注文者から直接工事を請け負った特定建設業者が、監理技術者等が行うべき職務を補佐する者として、監理技術者補佐を工事現場に専任で置くときは、上記の専任要件は対象外です。(補佐を工事現場に置いた監理技術者については特例監理技術者といいます。)
ただし、特例監理技術者が兼務できる現場数は2つまでとされています。(施行令第29条)
監理技術者等が行う職務とは?
監理技術者と主任技術者は建設現場における建設工事を適正に実施するため、以下の職務を誠実に行わなければならないとされています。(建設業法第26条の4第1項)
✔ 施工計画の作成
✔ 工程管理
✔ 品質管理その他の技術上の管理
✔ 当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指揮監督
監理技術者補佐を専任する場合の注意点とは?
監理技術者補佐を置く場合は、情報通信の活用方法や監理技術者補佐が担う業務について、あらかじめ発注者に説明し理解を得るようにすることが望ましいとされています。
なお、特例監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当で、その変更が公益上必要と認められる場合には国土交通大臣または都道府県知事から特例監理技術者の変更を指示されることがあります。(建設業法第28条1項第5号)
監理技術者等の専任期間とは?
元請が、主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐を工事現場に専任で配置すべき期間は契約工期が基本ですが、契約期間中であっても以下の場合は専任でなくても構いません。
✔ 請負契約締結後、現場施工に着手するまでの期間。
✔ 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生、埋蔵文化財調査等により、工事を全
面的に一時停止している期間。✔ 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電基盤等の電機品等の工場製
作を含む工事全般について、工場製作のみが行われている期間。✔ 工事完成後、検査が終了し、事務手続き、跡片付けのみが残っている期間。
ただし、上記のいずれの場合も注文者との間で設計図書や打合せ記録等の書面で明確になっていることが必要です。
下請工事については、工事現場は継続的に行われていることが多いことを考慮し、専任の必要な期間は、下請け工事が実際に施工されている期間になります。
まとめ。
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