【基礎】経審とは?公共工事の入札の第一歩!評点の仕組みと点数を上げる方法を解説
[経営事項審査]
【基礎】経審とは?公共工事の入札の第一歩!評点の仕組みと点数を上げる方法を解説
/公共工事の入札に参加するためには、経営事項審査(経審)を受ける必要があります。本記事では、経審の基本的な仕組みや評価基準、点数を上げる方法について詳しく解説します。
「経審を初めて受けるけど、どこから手をつければいいの?」
「点数を上げて、有利に入札を進めたい!」そんな方のために、経審のポイントを分かりやすくまとめました。
公共工事の入札を目指すなら、まずは経審について知り、しっかりと準備を進めましょう!この記事を書いた人![]()
行政書士 宮城彩奈
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行政書士 宮城彩奈
目次
経営事項審査(経審)の概要と目的
経営事項審査(経審)とは、公共工事の入札に参加する建設業者が受ける審査です。国や地方自治体などの発注者が、建設業者の経営状況や技術力を客観的に評価し、適切な業者を選定するために導入されています。
この審査では、企業の財務状況や施工実績、技術力、社会性などが点数化され、その結果が「総合評定値(P点)」として算出されます。
公共工事に必要な「ランク付け」の判断基準
経審の結果は、公共工事の入札における「ランク付け」の判断基準となります。発注機関は、入札に参加できる企業を等級別(Aランク・Bランクなど)に分類しており、このランクは経審の点数(P点)や過去の施工実績などをもとに各発注機関の独自の基準により決定されます。
例えば、
✅ Aランク:大型公共工事の入札が可能
✅ Bランク:中規模の公共工事の入札が可能
✅ Cランク・Dランク:小規模工事や地域限定の工事が中心このように、経審の点数が高ければ高いほど、大規模な工事の入札に参加しやすくなるため、建設業者にとって非常に重要な審査といえます。
経審の評価の仕組み
経審では、企業の経営状況や技術力を数値化して評価します。評価項目は大きく分けて4つのカテゴリーがあり、それぞれの項目ごとに点数が算出され、最終的に「総合評定値(P点)」が決まります。
経営状況(Y点)の評価指標
1. 純支払利息比率(借入金の負担割合)
2. 負債回転期間(資金繰りの健全性)
3. 総資本売上総利益率(売上総利益の効率性)
4. 売上高経常利益率(本業の収益力)
5. 自己資本対固定資産比率(固定資産への投資健全性)
6. 自己資本比率(会社の安定性)
7. 営業キャッシュフロー(現金収支の安定性)
8. 利益剰余金(蓄積された利益)改善ポイント
✅ 自己資本を増やし、負債を減らす(自己資本比率・自己資本対固定資産比率の改善)
✅ 営業利益率・売上高経常利益率を改善する(コスト削減・利益向上)
✅ キャッシュフローを健全化し、安定した資金繰りを確保する2-1. 経営規模(X1点)
企業の事業規模を示す指標で、主に工事実績や資本金によって点数が決まります。
完成工事高(直前2年または3年の平均)
2-2. 経営規模(X2点)
- 自己資本額
- 利払前税引前償却前利益額
改善ポイント
✅ 受注実績を増やし、完成工事高を上げる
✅ 財務改善を進め、自己資本を増やす3. 技術力(Z点)
企業の技術力や工事成績を評価する項目です。
- 技術者数(資格保有者の割合)
- 元請工事の実績
- 過去の工事成績
改善ポイント
✅ 技術者の資格取得を促進する
✅ 工事成績評定点を上げる(品質管理の徹底)4. 社会性等(W点)
企業の法令遵守や社会貢献活動を評価する項目です。
1. 法令違反の有無(コンプライアンス遵守)
2. 労働福祉の充実度(退職金制度・社会保険・労災保険など)
3. 若年技術者の雇用状況(若手技術者の確保・育成)
4. CPD単位取得数(技術者の継続教育)
5. 建設業の働き方改革への対応(くるみん認定・えるぼし認定・ユースエール認定)
6. CCUS(建設キャリアアップシステム)による就業実績の構築(技能者のキャリア管理)
7. 営業年数(会社の持続性・安定性)
8. 防災協定の締結の有無(地域貢献・防災活動への取り組み)
9. 建設業経理士・税理士・公認会計士の雇用状況(財務管理の強化)
10. 研究開発の状況(研究開発への投資)
11. 建設機械の保有状況(施工能力の向上)
12. エコアクション21・ISO認証取得(環境・品質管理の取り組み)改善ポイント
✅ 法令遵守と労働環境の整備を徹底する(社会保険加入・働き方改革推進)
✅ 技術者の教育・キャリアアップを支援する(CPD取得・CCUS活用)
✅ 地域貢献や環境対策を強化する(防災協定の締結・ISO認証の取得)総合評定値(P点)の算出方法
最終的に、上記4つの評価項目を合算し、総合評定値(P点)が算出されます。
P点の算出式は以下のとおりです。P点 = (X1点 × 0.25)+(X2点 × 0.15)+(Y点 × 0.20)+(Z点 × 0.25)+(W点 × 0.15)
このP点が高いほど、大規模な公共工事の入札に参加できる可能性が高くなるため、戦略的に点数を上げることが重要です。
経審の有効期間と申請の流れ
経審の有効期間は「決算日から1年7カ月」
経営事項審査(経審)の結果は、決算日(審査基準日)から1年7カ月間有効です。有効期限を過ぎると、経審の点数(総合評定値P点)が無効となり、公共工事の入札に参加できなくなります。そのため、継続して入札に参加するためには、毎年経審を継続して受審することが必要です。
経審申請の前に「決算変更届」を提出
経審を申請する前に、「決算変更届(事業年度終了報告書)」の提出が必須です。これは、建設業許可を受けている業者が、毎年の決算内容を行政に報告するための書類です。
✅ 提出期限:決算終了後4カ月以内
✅ 提出先:各地方整備局又は各都道府県の建設業許可行政庁決算変更届を提出しないと、経審の申請ができないため、毎年確実に提出しておくことが重要です。
経審の申請手続きの流れ
経審の申請は、以下の手順で進めます。
① 決算変更届の提出(決算後4カ月以内)
② 経営状況分析申請(登録機関へ依頼)
③ 経営規模等評価申請・総合評定値の請求(各地方整備局または各都道府県庁に申請)
④ 審査結果の通知(P点の確定)経営状況分析は、国が登録した分析機関(ワイズデータ公共システムなど)に依頼し、プランにより異なりますが、結果が出るまでに数時間から1週間程度かかります。そのため、早めに手続きを進めることが大切です。
経審の申請手数料
経審の申請には、経営状況分析の手数料と、経営規模等評価・総合評定値請求の手数料が必要です。
✅ 経営状況分析手数料:約13,000円~15,000円(分析機関による)
✅ 経営規模等評価・総合評定値請求手数料:申請業種数よって異なる
(例:1業種11,000円、以降1業種追加毎に2,500円加算)費用は申請内容によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
経審の点数を上げる方法
経審の点数(P点)が高いほど、より規模の大きな公共工事の入札に参加しやすくなります。ここでは、点数を向上させるための具体的な方法を解説します。
1. 経営状況(Y点)を改善する
企業の財務状況を示すY点を向上させるには、次のポイントに取り組むことが重要です。
✅ 自己資本を増やし、負債を減らす(自己資本比率の向上)
✅ 営業利益率や売上高経常利益率を改善する(無駄なコスト削減・利益率向上)
✅ キャッシュフローを健全化する(営業キャッシュフローの改善)財務基盤の強化を図ることで、経営状況の評価が向上し、Y点のアップにつながります。
2. 経営規模(X点)を向上させる
経営規模の評価を上げるためには、次の施策が効果的です。
✅ 工事実績を増やし、完成工事高を伸ばす(受注件数を増やす)
✅ 自己資本を増やし、経営基盤を強化する(経営規模の拡大)特に、元請け工事の受注を増やすことで、X点の向上に直結します。
3. 技術力(Z点)を強化する
技術力を評価するZ点を上げるには、以下の取り組みが重要です。
✅ 技術者の資格取得を促進する(1級・2級施工管理技士の増加)
✅ 1級施工管理技士・1級建築士の監理技術者講習の受講
✅ 元請工事の比率を高める特に、施工管理技士などの国家資格を持つ技術者が多いほど、Z点が向上するため、人材育成に力を入れることが重要です。
4. 社会性等(W点)を向上させる
社会性等の評価を上げるためには、以下の点を意識すると効果的です。
✅ 法令遵守を徹底し、違反を防ぐ
✅ 社会保険や退職金制度を整備する
✅ CCUS(建設キャリアアップシステム)を活用する
✅ ISO認証やエコアクション21を取得する
✅ 防災協定を締結し、地域貢献活動を強化する社会性の評価は加点項目も多いため、複数の取り組みを行うことで確実に点数アップが可能です。
経審は建設業専門のあやなみ行政書士事務所にご相談ください
経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加するために不可欠な審査です。経審の点数(P点)が高いほど、大規模な工事の入札に参加できるチャンスが広がります。
経審で重要なポイント
✅ 決算変更届を提出し、毎年継続して審査を受ける
✅ 財務基盤を強化し、経営状況(Y点)を改善する
✅ 技術者の資格取得や施工実績の向上で技術力(Z点)をアップ
✅ 法令遵守・社会保険整備などで社会性(W点)の加点を狙う経審の仕組みを理解し、適切な対策を講じることで、より有利な条件で公共工事の入札に参加できるようになります。
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