第21回:無駄・無理・無知を好転させろ【若手社員向け建設業界の豆知識】
あらためまして、りゅう坊です。
今回のテーマは、“何事も考え方ひとつで活かすことができる”という話です。
まずは、タイトルにある3つの“無”について深掘りしていこうと思います。
その上で、後半では“現場の対応力を高める行動10選”を挙げてみます。
3つの“無”
1つ目:無駄(ムダ)
物事にスピードが求められる時代です。
現場で使用する資材や材料の品質も向上し、時間短縮も可能になりました。
工事の初期作業である測量や丁張作業などの準備にしても、機器の進化によりスピーディーに進められます。
ただ、便利になればなるほど置き去りにされるものがある、という弊害も忘れてはいけません。
例えば、初期作業の測量で言うと、現地での原寸確認やイメージの描画です。
精密で正確な測量機器のおかげで、ポイントが瞬時に設置できるようになったのはとてもありがたく、まさに進化の賜物です。
ただ、意識的でなくとも、知らず知らずのうちに原寸確認やイメージ描画が“無駄”な作業として扱われてしまっているように感じます。つまり、テクノロジーの進化によって機器に頼り切りになり、アナログ的な作業がないがしろになっていると思うのです。
これを“無駄”な作業と捉えてしまうのは非常に危険です。
原寸確認は、いわゆる計測テープで測る。イメージ描画は(実際は頭の中や見た目で)物ができあがる範囲などを確かめる作業。
こういったことを置き去りにすると、致命的なミスにつながる恐れもあります。
高性能の機器を信用していないわけではありませんが、それを扱うのはあくまで人。我々です。
人は間違いを起こす生きものです。“完全”“絶対”はありません。入力間違いなど人為的なミスも想定しておく必要があるでしょう。
作業を進めていく上で“無駄”の二文字は存在しません。確認は必須です。
2つ目:無理(ムリ)
まずもって、“無理”という言葉から言えることですが、作業上で“無理”をすることは禁物です。
この“無理”のほかに、
現場作業では、ついつい設計に対して「この期間・工法で進めるのは“無理”」という思いをすることがあります。
請負工事でこの言葉はご法度です。
“なんとかするチカラ”を求められる機会はたびたびやってきます。
そのために
- 工程・時間管理の検討
- 工法・設計内容の照査
- 予算・費用の把握
現場の管理者には、詳細に計画・管理することが求められます。
物理的に困難な状況であれば、“無理”という言葉で片付けるのではなく、発注先への調整を入念に行う必要があります。
作業は無理をせず、
作業を無理だと言わない。
3つ目:無知(ムチ)
これは倫理的な話かもしれませんが、人間はそもそも“無知”であって、知らないことがたくさんあります。
現場の責任者であれば当然すべてを知っていなければならない、という考え方はいささか危険です。ましてや知ったかぶりなど言語道断。知らないことは知らないと素直に認めることも大切です。
知らないことに対して知っているフリをしてしまうと、取り返しのつかないような状況になりかねません。
第1回のコラムで書きましたが、これは自分が新入社員の時に学んだことであり、今でも自分の根底に置いていることです。
知らないことを恥じてはいけない。
知らないことを知った風にしてはいけない。
知らないことを放置してはいけない。
経験を重ね、年数を経ていくと、「知らない」ことに恥ずかしさを感じてしまいがちですが、人間はそもそも“無知”であるということを知っておくと、下手なプライドなど必要ないと思えるものです。
働き方改革が叫ばれる今は、時間に関しての制約があります。
リアルな現場での作業に従事する者にとって、理不尽な時間を過ごさなければならないケースもあるかと思います。
現場は“生もの”です。
杓子定規にはいかない場面も多々あります。
だからこそ、本当の意味で“無駄”なものを排除し、物理的に“無理”なものを修正して、“無知”であることを認める。
3つの“無”を好転させていけば自己成長にもつながるでしょう。何事も考え方ひとつです。
現場の対応力を高める行動10選
“生もの”である現場を管理する上では、様々な場面に対応する力が必要です。
次の行動10選をぜひ参考にしてみてください。
1.「確認する」
現場での作業にはミスが許されない場面が多いため、疑問点や不明点があれば必ず確認することが重要です。
確認を怠ると大きなトラブルにつながる可能性があります。
2.「報告する」
進捗状況や問題発生時は迅速に上司やチームメンバーに報告しましょう。
現場では情報共有がスムーズな対応につながります。
3.「相談する」
1人で抱え込まず、問題があればすぐだれかに相談することです。
経験豊富な先輩や上司のアドバイスを得ると、より良い解決策が見つかることが多いです。
4.「計画する」
作業を始める前に全体の計画を立て、必要なステップやリソースを確認することが重要です。
計画性があることで、効率的に作業を進めることができます。
5.「予測する」
事前にリスクや問題点を予測し、対策を考えておきましょう。
予期せぬ事態にも冷静に対応できるように準備をしておくことが大切です。
6.「連携する」
チームメンバーや他部署との連携を密にし、コミュニケーションを取ることで、全体の流れを把握しやすくなります。
7.「記録する」
作業内容や問題点、対応策をしっかりと記録に残すのはとても大切です。後から振り返る際に役立ち、次の作業の参考になります。
8.「安全を優先する」
すべての作業において安全が最優先。安全規則や手順を守り、危険を感じたら即座に作業を中断し、対策を講じることが必要です。
9.「責任を持つ」
自分の行動や発言に責任を持ちましょう。責任感を持って取り組むことで、信頼を得ることができます。
10.「改善する」
常に現状に満足せず、より良い方法を模索し改善を続けること。PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を意識して実践することが重要です。
以上、行動10選でした。
現在、建設業界は厳しい状況が取りざたされることも多いですが、個人個人としては自分のやるべきことを淡々とやること。それが大切です。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん