第12回：あくまでも、やるのは人【若手社員向け建設業界の豆知識】
りゅう坊です!
人材は不可欠
時代は、言うまでもなくデジタル化です。
建設ICTなどの自動化施工も進化の最中で、現場作業のあり方も変わってきました。建設機械の性能も一段と向上していますし、測量機器などもますます進化しています。
とは言え、それらを扱うのは結局、人です。いくら性能のいい機械や器具を用意しても、扱えなければ望むものはできあがりません。あくまでも人の手が左右するのです。
ものづくりの世界で、いわゆる職人が不可欠なのは、こういった背景もあるのです。
担い手不足の現実
そんな中、現状で課題になっているのが少子高齢化による担い手不足です。
建設業に限ったことではありませんが、近年、建設業においては特に取りざたされています。
オールマイティさが求められる時代ではあるのですが、やはり建設業は専門的な技術が必要な職種が多岐にわたります。
そういった意味で、いくら機械化が進んでも、人の手の絶対数が必要なのは変わりません。
しかし、人の手でしかできないもの、これらの継承はすでに危機的な状況にあるのです。
そして、機械があれば施工可能とは言え、それもまた、扱い方によって出来栄えに違いが出ることも否めない事実です。
時代は人工知能
AIがいよいよ全盛になりつつあります。
ChatGPTも話題になり、利用する方向性もいろいろ議論が始まってきました。
技術が発展して、どんどん便利になるのは歓迎すべきことです。使わない手はないことは言わずもがなです。
ただ、建設業に当てはめて考えた場合、人工知能が爆発的に活躍するかと言えば、そうは思えません。
けっして否定するわけではありませんが、ケースバイケースで利用していくべきであり、時代の波に逆らわず、上手く利用することが重要です。
施工計画書はオリジナルなものを
施工計画書の話をします。
専用ソフトがありますが、すべてそれに頼ってしまうのはあまりお勧めできません。
それは、なぜか？ 個人的な見解になるので、参考として理解してもらえると幸いです。
ソフトに頼らずオリジナルにすべき理由、それは施工方法と仮設計画にあります。
すべての現場にマッチする汎用的な技術論は、もちろんどこでも使うことができますが、それぞれの現場にはさまざまな条件の違いがあり、それらに合わせて適宜掘り下げていく必要があるでしょう。
あくまでもその現場に沿った方法、計画にすることで管理もしやすくなります。
ポイントをお伝えしますと、①現場独自の環境や条件を加味する ②現場を観察して施工イメージを描く
実計画なき実践は、行き当たりばったりでやるのと同じです。
機械の操作であっても、やるのは人。実践をイメージしながら計画することで、ロスや手戻りの防止に繋がります。
計画書の作成時は、便利とはいえソフトばかりに頼らず、自分の言葉で文章にすることを強くお勧めします。
『機械・機器の進化の影に人の退化あり』
『人ができることは人がやる』
〈あくまでも、やるのは人〉なのです。臨機応変に、柔軟に対応していきましょう。
デジアナな技術者であれ
さまざまな画期的な機器が登場し、便利な時代になりました。書面管理ひとつをとっても、Web上で通信連絡や管理ができるようになったことは非常に大きいです。
- 各管理ソフトのデータの充実
- 連絡、決済のスピード
- 測量などのデータ整理の速さ
昔話は時代にそぐわないのであえて割愛しますが、かなり進化しました。
ただ、どうしてもお伝えしたいのは、技術者であるならデジタルばかりではなく、アナログな部分も大事にせよ、ということです。
少し、細かな例を挙げて説明しますと、
- Excelなどの表計算機能は非常に便利だが、必ず手計算でも検算してみる
- 計画書などの文章は、誤字や脱字がないか声に出して読み返してみる
- パソコンやスマートフォンに予定を打ち込むのもいいが、用紙にメモする
- 図面上で手法や対策を練りながら、現場を自身の足で歩いて考えを巡らせる
- 測量機器によって設置したポイントや寸法は、巻尺などで実測して確かめる
などなど。他にもいろいろあるはずです。
一見、二度手間のように思うかもしれませんが、これが現場を動かす上でとても大事なことなのです。機械任せにせず、人の手を必ず加えることで仕事そのものが確信に変わっていきます。
デジタルな部分、それはそれで大いに利用し、アナログな部分、これを加味すること。両面を兼ね備えた“デジアナな技術者”であるべきだと思うのです。
今回のまとめ
機械を動かせば、現場が回り出します。
ですが、起点は人です。人が考え、動き出さないと始まりません。
すべてが自動化されようとも、人の監視下でやらなくては管理もできません。
さまざまものが便利になったお陰で、作業の効率も良くなっていくのはいいことです。
一方で、建設業・ものづくりにおいて、人の思考や技術が必要不可欠なのはこれからも変わらないものと考えます。
上手く機械のチカラを借りながらつくっていくのが現場の作業であり、〈あくまでも、やるのは人〉なのです。
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん
