若手社員向け建設業界の豆知識 ~経歴35年土木現場監督のあるある話~
第1回 新卒最初の壁!戸惑う業界用語 「掛矢」って何?
新卒や転職によって初めてこの業界に飛び込んできた人たちが戸惑うもののひとつ、これが『業界用語』です。
自分の入社当時を思い出してみる、というよりも忘れようにも忘れられない思い出の品が存在します。それは、ある道具でした。その呼称を言われたのですが、どうしてもわからなかったのです。
「掛矢?何ですか!?」
知らないこと、わからないことは「その場で解決する」ことが大事
恥ずかしながら告白します。
入社から2ヶ月目でした。現場の中を探し回った記憶があります。
上司に「〇〇を取ってきてくれ」と言われ、「はい、わかりました!」と元気よく返事はしたものの、
直後に「ヤバい、わからない、なんだっけ?どれだっけ?」
結果、どうにもわからず教えてもらうことになったのですが、その道具とは?
そうそう、あれ、あれですよ!あなたも現場でよく使いませんか?
掛矢(かけや)というものです。
ご存じだとおもいます。これ、丁張り掛けには、欠かせませんよね。
一般の人に掛矢のことを聞いてみると3人に2人は知らないようです。
話を戻しますが、ただ、このときは後々、この掛矢という道具と長い付き合いになるなど思ってもいませんでした。
大きめの木槌あるいは小槌と言ってくれって感じですね。木製のハンマーのほうがわかりやすいかもです。
初めから聞けばよかったのにという思い出です^^
以来、掛矢は未だ身近にある道具として存在しています。
この件で学んだことは、
知らないことを恥じてはいけない。
知らないことを知った風にしてはいけない。
知らないことを放置してはいけない。
わからないことはわかるようにする。
わからないのにわかった風にふるまってはいけない。
わからないことを放置してはいけない。
知らないこと、わからないことは「その場で解決する」ことです。
そこからは、次から次へと出てきました。
一輪車は、ネコって呼ぶし、犬走りってなに? ネコちゃん、ワンちゃん?
なんだかユニークな業界だな、なんて感じたりしました。
ほかにもさまざまな用語が存在するこの業界ですが、用語が多い分、あらゆるライフラインを担っていることを考えればあらためて市場の大きさに気づくのです。
同時に以前からあまりいいイメージを持たれない空気のある業界ですが、個人的には、ものづくりニッポンの最たる仕事であると自信を持って言えます。
なので、一般の方にイメージを聞いてみると、やはりうわべの判断で思われていることがほとんど。
専門性や技術性の高さは、認知されていないようです。
ただ、少しでも興味のある人は結構、熱心に話を聞いてくれて『あぁ、そうなのか 知らなかった』だったり、『えぇ、すごい仕事だな』とか、反応してくれます。
イメージというものは、描くものであるのですが、自分で描くものは、良いイメージにして描きます。
逆にほかから受動的に感じるイメージは、良いものも悪いものもあります。
仮に良くないイメージにとってしまうと、それがすべてを覆ってしまい、イメージだけが判断基準になってしまうのです。
私が定義するとしたら、建設業界の3Kは『考える・感じる・気づく』
3Kなんて用語もありましたが、それもイメージが先行していると言えます。
最近はほとんど言われなくなりました。
あえて自分の定義する建設業界の3Kを表すとするなら『考える・感じる・気づく』
建設現場では、この繰り返しだと思っています。
現状、建設現場は改善を含め、IT化などさまざまな取り組みがなされていてイメージも以前とは違うはず。
とは言え、一番に願うのは、“ものづくり”というこの世界観を感じたい!という人が飛び込んできてくれることです。
デジタル化が進み、先の未来はAIが仕事をするとか、いろいろ言われています。
機械や工具も楽で利便性のいいものがたくさん出てきていますが、最終的にそれらを扱うのは人の手です。
人の手でできないものは、機械などに任せることにしても人の手じゃないとできないものは残りますし、アナログは古いという一言で片づけられるものではないと考えます。
三十数年前に掛矢(かけや)という道具がわからず、右往左往した自分を思い起こしてみたとき、まだ見ぬ未来であった現在も欠かせない道具として存在しているそのことが意味するところではないかと実感しています。
業界用語として土木用語、建築用語が多数ありますが共通するものもあれば、それぞれ独自のものもあります。
長く、この業界にいても知らない用語が存在します。知ろうとしなければいつまでも知らないままです。調べてみると、意外に楽しいものです。
思うのは、知らないということは寂しい。そして知ったかぶりをすると空しい。
新卒の方や転職の方が知らない、わからないのは当たり前です。
なので、丁寧に伝える必要があります。
知ってもらえればコミュニケーションもとれますし、自分の再認識にもなります。
“ものづくり”建設業界は、技術が重要なのは言うまでもありません。
また、今回お話したように技術にくわえて用語や言葉も必要です。
これらを次世代に伝えていくのも責務ではないかと考えます。
◆ 作者紹介 りゅう坊さん
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。
りゅう坊さんのブログ ▶ DIYとWorkを簡単に! りゅう坊の楽楽ブログ
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。
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