第19回:人間観察は欠かせない【若手社員向け建設業界の豆知識】
あらためまして、りゅう坊です。
今回は、あなたを取り巻く人間関係において、興味を持って観察すること、すなわち“人間観察”の重要性について考えてみましょう。
後半は、私の過去の現場でのエピソードをお話ししながら、建設業界で働くうえで必要となる考え方をお伝えします。
相手の人となりを知ることは大事な要素
会社という組織の中で活動する環境には、人間関係が存在します。
私の新入社員の頃は、出逢う人が新鮮でワクワクしかありませんでした。
もちろん初めは、部下はいませんし、上司や先輩、協力業者ばかりです。
時間と共に、それぞれの人がどんな考えをしていて、どのように仕事に向き合っているかが徐々に見えてきます。
おまけに性格までわかってくるようになります。
そして必ずと言っていいほど、苦手意識が働く相手がひとりはいるものです。
誰とでも関係がうまくいく、なんてことは稀ですよね。これは覚悟しておかなければなりません。
そうした中で、相手を観察すること、すなわち“人間観察”をおすすめします。
上司、同僚、グループやチームを組む場合はメンバーそれぞれの人となりを知ることは、仕事をするうえで大事な要素になるからです。
人間観察の重要なポイント
グループワークや仕事でチームリーダーの役割を担うことになった場合、各メンバーを人間観察してみてください。
その際の重要な着眼点を以下に挙げます。
1.コミュニケーションスタイル
- 他のメンバーとどのようにコミュニケーションを取っているか
- 口頭でのやり取りが多いか、書面でのコミュニケーションが主か
- 明確で効果的な伝達をしているか
2.貢献度と協力性
- 各メンバーがどれだけ積極的にプロジェクトに貢献しているか
- 他のメンバーと協力してタスクを進めているか
3.問題解決能力
- 困難や予期せぬ問題に直面した際の対応
- チームの中で創造的な解決策を提案できる人物は誰か
4.リーダーシップと影響力
- 自然とリーダーシップを取っているのは誰か
- 他のメンバーに影響を与え、動機付けているか
5.個々のスキルと専門知識
- チームメンバーが持っている特技や専門知識がどのようにプロジェクトに貢献しているか
- スキルの適切な活用方法や、さらなるスキルアップが必要かどうか
いずれの項目も人間観察をするうえで大事なポイントです。
これらのポイントを観察することで、各メンバーの強みと弱みを理解し、チームとしての効率と成果を最大化するための戦略づくりに役立てることができるでしょう。
ぜひ、参考にしてみてください。
相手も“あなたのことをよく見ている”
チームリーダーとしてメンバーを観察しながらチームをまとめることの重要性をお話ししてきましたが、ここで忘れてはいけないことがあります。
それは相手、すなわちチームメンバーも“あなたのことをよく見ている”ということ。
あなたの言動により「あなた自身が信頼・信用を得られるかどうか」もチーム運営に影響を及ぼすということを頭に入れておく必要があるのです。
人は、よく見ています。チームがまとまるのもまとまらないのも、リーダーの態度や振る舞いがそれを左右する一因となり得ます。
人と対峙するとき、逃げたくなることもあります。自分も幾度となくありました。
ですが、踏ん張ってやるべきことは、
- 真摯な態度で接する
- 相手の意見も聞く
- 問い掛け、声掛けをする
そのうえで、自分の意見・意志をはっきり伝えることも忘れてはいけません。
ただ、ゴリ押ししないように気を付けましょう。
人間観察することで、
- 結構楽しい作業になる
- 自分に足らないものがわかる
- 反応してくれるポイントが掴める
苦痛になっては本末転倒です。どうせなら楽しんでみてください。
建設業界で働くうえで抑えておきたいこと
続いて、
ここからは少し自分のエピソードについて2点、お話ししてみようと思います。
これは、いずれも入社当時の話です。
入社して1ヶ月間は、室内での講習と、実際に稼働している現場での実践体験の研修期間でした。
その年のゴールデンウイーク明けから土木メインの事業所に配属となり、最初に担当したのが林道建設の現場でした。
施工位置も伐採前の森林の中で、測量からスタートです。起工測量は、設計段階で測量会社がポイントを設置していました。工事を請け負った自分たちは、そこから構造物や法切りの位置と丁張を設置する作業をやることになります。
1点目のエピソードは、ここから冷や汗・あぶら汗が吹き出す経験をすることになるのです。
学生時代に測量機械に触れていたので違和感はありませんでしたが、如何せん経験が乏しいわけです。
上司の指示で測量機器をセットするのですが、法面の多い山の中です。思うようにセットできず、1箇所設置するのに20分ぐらいかかり、大汗ものでした。
今でこそ笑い話で言えますが、当時は逃げ出してしまいたくなるような精神状態だったことを覚えています。
辛抱強く見守ってくれた上司の方には今でも感謝しています。
2点目も、先ほどと同じ現場でのこと。
山の中なので、土砂を動かす作業が多くありました。
安全上のこともあるのであまり大きな声では言えませんが、法面から測量機器を背負って駆け下りて、毎日作業着が土だらけになっていました。
仕事が終わって家に帰るのを見たご近所さん達は
『りゅうちゃんはいつも土を掘って頑張っている』と言っていたそうで、
誰も私が現場監督をやっているとは思ってなかったことを両親から聞きました。
いわゆる現場監督の修行時代の話です。
ふんわりした、のどかな昭和の時代でした。
今の社会に言いたいのは、
『もっと気持ちに余裕を持って仕事しよう!』
時間の抑制を叫ばれる時代です。
リアルな現場では、時間で測れないものがあります。
杓子定規な思考だけではやっていけないこともあるという考え方を、自身の内面に持っておくべきだと思います。
ここを理解していれば、この業界で長くやっていけます。
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん