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BIM/CIMとは?今さら聞けない基本、2D施工の限界を超える理由と可能性を解説

【この記事を執筆したのは…】

飴田ちさとさん
一級土木施工管理技士|Webライター|SEO対策など建設業界向けマーケティング支援|建設会社で9年間勤務した後に起業|学術論文執筆経験あり

「BIM/CIMという言葉は聞くけど、正直あまり理解できていない」
「BIM/CIMって、簡単にいうと何のこと?」

建設業界ではなじみ深いBIM/CIMという言葉ですが、BIM/CIMを導入していない企業からすると、少し距離を感じるような、他人事のような、そんなイメージを持つかもしれません。

実は、日本全国の土木工事に9年間従事したわたしも、業務にBIM/CIMを活用したことは一度もありませんでした。

建設業界の仲間からBIM/CIMの話を聞くことはありますが「本当に2次元モデルの欠点を補えるの?」と、疑問を感じたことは何度もあります。

今回の記事では、BIM/CIMの基本的な内容を詳しく解説し、BIM/CIMでできることやメリット・デメリットなどを紹介します。BIM/CIMの活用事例や今後の取り組み方針、現状抱えている課題なども解説します。

最後まで読み進めることで、BIM/CIMの基本的な内容をふまえて自社で何ができるのか、BIM/CIM導入の第一歩を踏み出せるきっかけになるでしょう。

ぜひ、参考にしてみてください。

目次

【わかりやすく解説】BIM/CIMとは

BIM/CIMとは、簡単に解説すると「3次元モデルを活用すること」です。

国土交通省は、直轄土木業務・工事において、2023年度からBIM/CIMを原則適用することとしています。国土交通省「令和5年度BIM/CIM原則適用について」では、BIM/CIMの意義について以下のように言及しています。

BIM/CIMの意義
データ活用・共有による受発注者の生産性向上

【引用】国土交通省|令和5年度BIM/CIM原則適用について

国土交通省では2024年度に「BIM/CIM取扱要領」を策定、2025年度以降もBIM/CIMの普及に向けてさまざまな検討を進める方針です。

ここからは、BIM/CIMの概要、2次元モデルと3次元モデルの違いを解説します。

【参考】国土交通省|直轄土木業務・工事におけるBIM/CIM適用に関する実施方針

BIM/CIMの概要

BIM/CIMには、以下の意味があります。

【BIM/CIMの意味】

BIM(Building Information Modeling,Managementの略) 建築分野において3次元モデルを活用すること
CIM(Construction Information Modeling,Managementの略) 土木分野において3次元モデルを活用すること

BIMもCIMも“3次元モデルを活用すること”を意味していますが、建築と土木のどちらの分野に活用するかという点が異なります。

また、国土交通省のBIM/CIMポータルサイトに掲載されている「初めてのBIM/CIM」によると、BIM/CIMモデルは「3次元モデル」と「属性情報」を組み合わせたものとされています。

3次元モデルと属性情報の意味は、以下のとおりです。

【3次元モデルと属性情報の意味】

3次元モデル 構造物などの形状を3次元で立体的に表現した情報
属性情報 3次元モデルに割り当てる部材の情報(部材の名称・形状・寸法・数量など)

2次元モデルと3次元モデルの違い

2次元モデルと3次元モデルには、設計において以下のように大きな違いがあります。

【2次元モデルと3次元モデルの大きな違い】

2次元モデル 概略・予備・詳細設計の段階に応じて、1/2500、1/1000、1/500と地形図の精度を上げる
3次元モデル 全体形状の把握や細部構造の検討など、3次元化の内容に合わせて、範囲・構造・部材ごとに詳細度を使いわける

ここで「詳細度」とは何かを押さえておきましょう。詳細度とは、3次元モデルの使い分けをするための共通用語です。

たとえば、詳細度が100なら対象構造物の位置がわかる程度のモデル、詳細度が200になると対象の構造形式までが確認できるくらいのモデルになります。つまり、詳細度が「100→200」のように数値が大きくなるほど、構造物がより詳細に表現されるということです。

詳細度を上げて、より詳しいモデルを作成するには時間やコストがかかります。ただし、3次元モデルは構造や部材ごとに、部分的に詳細度を変えることができるので、図面上のすべてを詳細にするのではなく、より詳しく把握したい一部分のみ詳細度を高めたモデルを作成することも可能です。

そのため、BIM/CIMは目的に応じて詳細度を使い分けることが重要といえます。

【表でおさらい】BIMとCIMの違い

BIM/CIMの概要、2次元モデルと3次元モデルの違いなどを解説したので、ここでBIMとCIMについて、あらためて整理しましょう。

【BIMとCIMの違い】

BIM
  • Building Information Modeling,Managementの略
  • 建築分野において、調査・計画・設計段階から3次元モデルを導入すること
CIM
  • Construction Information Modeling,Managementの略
  • 土木分野において、調査・計画・設計段階から3次元モデルを導入すること

BIM/CIMの導入が必要とされる背景

BIM/CIMの導入が必要とされる背景には、建設業界が抱える課題と関連があります。

建設業界の大きな課題は、建設業就業者の“高齢化”と“若手人材不足”です。そうした状況を補うため、建設現場の生産性向上が叫ばれています。

そこで、2016年度に国土交通省で策定されたのがi-Constructionで、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指し、さまざまな取り組みが進められてきました。

建設現場の労働者不足に中長期的に対応するため、生産性向上施策として制定されたi-Constructionの具体的な取り組みの一つが“3次元データの活用”です。

3次元モデルを計画・調査・設計段階に導入、施工・維持管理で活用することで、建設事業全体において、発注や受注などに関わるすべての人が情報を共有し、業務効率化や高度化の達成を目指すとされています。

i-Constructionの取り組みの一つである3次元データの活用で言及されている内容こそ、BIM/CIMの導入や活用です。

つまり、BIM/CIMの導入が必要とされる背景には、建設業界の大きな課題である建設業就業者の“高齢化”と“若手人材不足”の影響があると考えられます。

【参考】国土交通省|i-Constructionの推進 令和4年3月

以下の記事では、i-Constructionについて詳しく解説しています。BIM/CIMの導入背景を深く理解したい方は、本記事とあわせてチェックしてみてください。

BIM/CIMを導入する目的

BIM/CIMを導入する目的を解説します。

国土交通省の「BIM/CIM 取扱要領 令和7年3月」では、以下のようにBIM/CIMを導入する目的が述べられています。

BIM/CIMの導入の目的は、建設事業で取り扱う情報をデジタルデータとして統合管理することで、受発注者のデータ活用・共有を容易にし、建設生産・管理システム全体の効率化を図ることである。3次元モデルや点群データ、GISなど、目的に応じたデータやツールを活用し、建設事業で取り扱う情報を統合管理することで効率的に事業を進めていくことが可能となる(図-1)。

【引用】国土交通省|BIM/CIM 取扱要領 令和7年3月「1 総則 1-1 目的【解説】」

つまり、BIM/CIMを導入する目的は以下のように整理できます。

【BIM/CIMを導入する目的のまとめ】

  • 発注者と受注者によるデータの活用・共有を容易にする
  • 建設生産・管理システム全体の効率化を実現する

3次元モデル・点群データ・GISなどのデータやツールを活用し、建設事業で取り扱う情報をデジタルデータとして統合管理する動きは、今後も加速していくことでしょう。

BIM/CIMでできること

「設計」「施工」「維持管理」の3つのカテゴリーに分類し、BIM/CIMでできることを紹介します。

ぜひ、自社の事業内容と照らし合わせてチェックしてみてください。

「設計」でできること

「設計」においては、以下のようにBIM/CIMを活用できます。

【「設計」でできること】

  • 鉄筋の干渉チェック
  • 構造計算や解析
  • 土量計算などの数量計算
  • 照査作業
  • 概算コストの比較
  • 打ち合わせなどで使用する3次元モデルの作成

「施工」でできること

「施工」においては、以下のようにBIM/CIMを活用できます。

【「施工」でできること】

  • 仮設構造物や埋設構造物との干渉チェック
  • ICTを活用した情報化施工
  • 施工管理の最適化
  • 3次元データによる出来形管理や品質管理
  • 危険箇所や作業内容の事前確認

「維持管理」でできること

「維持管理」においては、以下のようにBIM/CIMを活用できます

【「維持管理」でできること】

  • 「設計」「施工」の3次元データの活用
  • 点検や補修の履歴の反映
  • 現地変状センサーや3次元レーザースキャナーによるリアルタイムの計測

BIM/CIMを導入する5つのメリット

BIM/CIMを導入するメリットは、以下の5つです。

生産性向上が実現できる

従来の業務にBIM/CIMを導入することで、生産性向上の実現が期待できます。

一般社団法人全国建設業協会の「令和6年度 生産性向上の取組に関するアンケート 報告書 令和6年7月」によると、設計段階で作成した3次元モデルを活用した工事において、『施工段階の生産性が向上した』と回答した企業は14.3%。

このアンケートの回答数は同協会の会員企業1,496社としているため、生産性の向上を実感した企業が200社程度いることがわかります。

現場管理の簡略化につながったり、測量の図面作成・数量計算の手間が省けたりするなど、施工管理業務における生産性向上が実現しているといえます。

スムーズに情報共有ができる

スムーズに情報共有ができるのも、BIM/CIMを導入するメリットです。

i-Constructionに次いで2024年度に策定されたi-Construction2.0では、建設現場のオートメーション化を目指し、3本の柱を掲げています。

その一つ「データ連携のオートメーション化(デジタル化・ペーパーレス化)」では、BIM/CIMを活用することで建設生産プロセス全体の情報共有を加速させるとしています。

また、BIM/CIMモデルに時間軸を加えた4Dモデルを作成することで、作業のシミュレーションの共有も可能です。デジタルツインの技術を活用すれば、AR・VRによって設計情報を現場に反映できるようにもなります。

スムーズな情報共有により、結果的に作業の手戻りや施工ミスの防止にもつながることが期待できます。

労働災害の減少につながる

BIM/CIMの導入は労働災害の減少にもつながります。

先ほど紹介した全国建設業協会のアンケートには、BIM/CIMを活用して良かった点として『安全性がアップした』との声もあります。3次元データによって施工計画や施工ステップの理解度が向上し、安全性アップにつながっているようです。

建設現場において、作業員が安全に仕事ができるよう安全対策を実施することは重要です。建設現場で実際に行う安全対策だけでなく、3次元データを活用すれば計画段階から現場のイメージがしやすくなり作業員の安全に関する意識が高まるため、労働災害の防止につながります。

危険の芽を摘むうえで、BIM/CIMが果たす役割は大きいでしょう。

働き方の多様化に対応できる

BIM/CIMを導入すると、働き方の多様化に対応できるのも魅力といえます。

i-Construction2.0の3本の柱の一つに「施工管理のオートメーション化(リモート化・オフサイト化)」があります。

現場作業にBIM/CIMを活用できれば、リモート化・オフサイト化の実現も可能です。

たとえばデータ連携のオートメーション化により、現場の進捗状況などが3次元モデルにリアルタイムに反映されるようにすることで、現場に常駐できなくてもリモートで施工管理を行うことができます。

何らかの事情により現場での施工管理が難しい場合でも、現場事務所やサテライトオフィスなどの室内から仕事ができるようになるので、現場作業の効率化・省力化につながります。

BIM/CIMの導入は働き方の多様化、働き方改革の推進にもプラスの影響を与えるでしょう。

コストの削減が見込める

BIM/CIMの導入により、コストの削減が見込めます。

BIM/CIMを計画・調査・設計・施工・維持管理の各段階で活用すれば、業務における手戻りやミスの防止につながります。

たとえば、現場で使用する材料の数量を算出する際にBIM/CIMを活用し、正確な数字を算出できれば材料ロスを防ぐことができます。施工段階では、施工管理の最適化も実現可能です。

BIM/CIMを活用することで実際の現場のイメージや共有がしやすくなり、無駄のない工程管理を組めるようになるため、人件費の削減にも寄与します。

結果的に、建設プロジェクトにおけるコストの削減が実現できるでしょう。

BIM/CIMを導入する3つのデメリット

BIM/CIMを導入するデメリットは、以下の3つです。

導入費用がかかる

BIM/CIMを実務に活用するためには、ハイスペックのパソコンなどのハードウェア、BIM/CIMのソフトウェアを準備しなければならず、導入費用がかかります。

また、BIM/CIMのソフトウェアは買い切りのものばかりではなく、毎月ライセンス使用料を支払わなければならないものもあります。BIM/CIMを実務で継続的に活用するなら、ランニングコストがかかる点も押さえておきましょう。

さらに、BIM/CIMに関する基礎知識や技術の習得のために、社員の教育・研修費用などもかかります。

設計担当者や現場責任者などが「BIM/CIMを導入して業務を進めよう!」と思っても、企業の事業・経営計画の関係からすぐに導入できないこともあるでしょう。

膨大なデータを取り扱う

BIM/CIMを導入する際、膨大なデータを取り扱うことになります。

BIM/CIMの導入目的は、計画・調査・設計・施工・維持管理において3次元モデルを活用し、建設生産・管理システム全体の効率化を図ること。つまり、一つの建設プロジェクトにおいて、計画から維持管理までに取り扱う情報を統合管理しなければなりません。

そのためには膨大なデータを処理できるだけの高性能なパソコンや通信環境が必要となります。

また、建設プロジェクトの詳細情報が外部に漏えいしないよう、情報セキュリティ対策を整備することも重要です。

人材確保・人材育成が欠かせない

BIM/CIMを活用するためには、BIM/CIMの知識・技術を持った人材が必要です。

建築や土木の現場で培った技術ももちろん必要ですが、BIM/CIMの知識がないとBIM/CIMそのものを扱えないこともあるでしょう。BIM/CIMを扱える人材の採用や業務の外注、社員にBIM/CIMに関する知識・技術を身に付けさせるなど、人材確保が必須です。

以下の記事では、BIM/CIMも含め建設現場のICT業務を担う建設ディレクターについて詳しく解説しています。BIM/CIMを活用できる人材確保・人材育成に力を入れたい方は、ぜひチェックしてみてください。

【活用事例】BIM/CIMでこんなことができる!

国土交通省関東地方整備局「BIM/CIM 活用事例集(令和7年3月)」をもとに、最近のBIM/CIMの活用事例を3つ紹介します。

BIM/CIMの導入を検討する際に参考にしてみてください。

活用事例1:3次元モデルを活用した安全対策を実施

「R5 野門沢上流左岸崩壊地対策工事」では、受注者である中村土建株式会社が3次元モデルを活用し現場条件の可視化を行いました。

現場状況を3次元モデルで把握できるようになり、作業員のKY(危険予知)活動も活発になったという効果が出ています。

労働災害を防ぐためには危険の芽を摘むことが重要ですが、作業員全員が安全意識を高める必要があります。3次元モデルによって現場のイメージや施工計画がより具体的に共有できれば、発注者・受注者・協力会社全員の安全意識を高めるきっかけにもなるでしょう。

現場経験が浅い若手人材や外国人材へ作業ごとの危険箇所を周知する際は、言葉だけでは十分でないときもあります。3次元モデルを活用して危険箇所を視覚的に伝え、現場の安全性向上に努めてみてはいかがでしょうか。

【参考】国土交通省関東地方整備局|BIM/CIM 活用事例集(令和7年3月) P.22「施工管理での活用」

活用事例2:3次元モデルを活用した打ち合わせの実施

「R6 利根川左岸斗合田築堤その2工事」では、受注者の伊田テクノス株式会社が協力会社との打ち合わせに3次元モデルを活用しました。

3次元モデルを活用することで、1日に20分かけていた打ち合わせを半分の10分に短縮できたとのことです。また、設計照査にも3次元モデルを活用し、照査時間の短縮も実現しています。

3次元モデルは、言葉だけでは伝えきれない部分を視覚的に表現できるツールにもなります。

わたしは以前、施工計画を進めている際に「2次元の図面で詳細まで伝えるのは難しい」と感じることがありました。

たとえば、クレーンの架設計画では、架空線や仮設構造物の位置関係を考慮する必要があります。類似工事の写真や動画、手書きのイラストを使って相手に架設計画を説明していましたが、全員がイメージできるように説明することは本当に難しいと感じました。

3次元モデルを活用していれば、説明の仕方に悩まなかったかもしれません。

経験が浅い若手技術者や、関係者への説明力に課題を感じている方にとって、3次元モデルは強力な味方になるでしょう。

【参考】国土交通省関東地方整備局|BIM/CIM 活用事例集(令和7年3月) P.46「打合せに3次元モデルを活用」

活用事例3:3次元モデルを鉄筋の干渉チェックに活用

「R5 荒川下流右岸板橋地区連絡通路下部工事」では、受注者の伊藤組土建株式会社東京支店が鉄筋工において3次元モデルを活用しました。

設計変更で組み替えを行った鉄筋の形状を3次元モデルを活用して可視化しています。

3次元モデルでは鉄筋の干渉チェックの精度が上がるため、鉄筋工の施工ミスを防ぎ、出来形管理を効率的に行えるようになるでしょう。

現場打ちコンクリートの鉄筋の干渉や配置に問題がないかをチェックする際、2次元の図面では限界があります。かぶりや空きなどを考慮して鉄筋を配置しなければならないため、2次元の図面だけで3次元の位置関係を理解するのは簡単ではありません。

わたしも、鉄筋の干渉チェックをしていたとき「問題ありませんでした!」と報告したものの、先輩のチェックで鉄筋の干渉を指摘されたことが何度かあります。

3次元モデルの活用は、施工ミスを確実に防ぐという目的でもメリットは大きいでしょう。

【参考】国土交通省関東地方整備局|BIM/CIM 活用事例集(令和7年3月) P.66「鉄筋工の3次元モデル化による活用」

【今後の進め方】国土交通省のBIM/CIM推進委員会の方針

国土交通省は、2025年6月17日に「第14回BIM/CIM推進委員会」を開催しました。

同委員会では、i-Construction2.0における「データ連携のオートメーション化」の取り組みの一つであるBIM/CIMの活用について、今後の取り組みが議論されました。

これまでは、建築分野・土木分野でBIM/CIMの推進や普及における目標・方針を検討してきましたが、新たに港湾分野を追加し同様に検討を進めることとしています。

また、3次元モデルの工事契約図書化とBIM/CIM積算について、下図のようなロードマップ案が示されました。

現在(記事公開日:2025年9月11日)は、設計段階で3次元モデルを作成したとしても、工事契約時は“契約図書”ではなく“参考資料扱い”となっているのが現状です。3次元モデルで工事を実施するときには2次元図面の修正が必要となり、非効率になることもあります。

今後、3次元モデルが工事契約図書として扱われるようになれば、BIM/CIMの普及拡大につながるでしょう。

【参考記事】3次元モデルの工事契約図書化目指す BIM/CIMの活用推進向け:2025年6月17日(火)配信

BIM/CIMの活用において課題もある

受発注者のデータ活用・共有の容易化、建設生産・管理システム全体の効率化の鍵を握るBIM/CIMですが、現状では課題があることも事実です。

前述の全国建設業協会によるアンケートでは、BIM/CIMの活用に関する課題が示されています。

同協会のアンケート結果から、BIM/CIMの課題をまとめました。土木分野・建築分野においてBIM/CIMを活用した経験がある企業(回答数:1,496社)は、以下の点を課題と感じているようです。

【BIM/CIMの課題点】

  • ハードウェアやソフトウェアの導入コストが高い
  • 既存社員だけで対応することが難しく、外注する場合はコストがかかる
  • 3次元データの作成に時間がかかる
  • 3次元データの作成ツールが複数あり、互換性がない場合もある
  • ICT施工に積極的に取り組んでも、工事成績に反映しているのかわからない
  • 施工だけではBIM/CIMの効果の最大化が難しいため、設計も含め建設プロジェクト全体で活用した方が良い

上記から、BIM/CIMの導入に関連する費用、業務に活用するための専門知識やスキル、ツールの利便性・操作性などの点で、BIM/CIMを活用した企業それぞれが課題を感じているという現状がわかります。

今後、BIM/CIMを推進・普及させるためには、発注者・受注者それぞれがBIM/CIMを活用できるように体制を整えることが重要といえます。

一方でBIM/CIMの推進に関する意見の中には、『技術者の技術力の低下』を懸念する声もあります。

BIM/CIMによる生産性向上の実現のために、これまで以上に人材教育に目を向ける必要があるでしょう。

BIM/CIMの可能性を一緒に探りませんか?

今回は、BIM/CIMで何ができるのか、基本的な内容からメリット・デメリットなど、活用事例を交えて解説しました。

BIM/CIMという言葉を聞いたことがあっても、具体的に業務では活用したことがない方もいるでしょう。

わたしは日本全国の土木工事に9年間関わってきましたが、業務でBIM/CIMを活用した経験は一度もありません。協力会社の立場で土木工事の施工管理業務を担当してきた中で「BIM/CIMを活用しなくても実務に影響はなかった」というのが正直な感想です。

また、BIM/CIMを業務に活用した企業がさまざまな課題を感じていることからも、BIM/CIMの推進・普及のためには、何をどう改善するべきかという議論を進めることが求められます。

一方、BIM/CIMを活用して生産性向上を実現できた企業がいるのも事実です。成功事例に共通する要因を明確化・一般化し、建設業界全体で解決策を模索する必要があるでしょう。

BIM/CIMに積極的に取り組む企業とそうでない企業が二極化しないように、建設業界で連携することが重要なのではないでしょうか。

国土交通省のBIM/CIM推進委員会では、BIM/CIMに関する取り組みの方針について議論され、公式ホームページにて報道発表資料を公開しています。BIM/CIMに関する各企業の取り組み、現状の課題などを把握できる場でもあるので、何から取り組むべきかのヒントを得られるかもしれません。

今後もBIM/CIMの可能性について、ぜひ一緒に探っていきませんか?

著者:飴田ちさと

著者:飴田ちさと

一級土木施工管理技士。建設会社にて9年間勤務。大好きな上司と二人三脚で日本全国の土木工事に携わる。
「令和6年能登半島地震」をきっかけに起業。現在は、個人で建設業界向けのSEO対策などマーケティング支援を行う。X(旧Twitter)では「建設業の3K脱却姉さん」として情報を発信中。
好きなものは、プロレス観戦と焼酎。

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