建築士が教える!失敗しない家づくりの進め方|一級建築士による建設アラカルト

コラム

【Written by 独学一級建築士 nandskさん】


人生で一番高い買い物である住宅。
当然、何度も住宅を購入したことがある人なんて一握りで、多くの人は初体験ですよね。私自身、設計者として何棟も建物を建ててきましたが、自宅の購入にはかなり悩みました。初体験だからこそ失敗してしまうことも多いものですが、そうならないように自分自身の体験も踏まえ、建築士としてアドバイスしていきたいと思います。




住みたい地域を決める

家づくりの進め方の第一歩は、まず住みたい地域を決めましょう。

住みたいエリアが決まらないと、ハウスメーカー探しが進みません。この段階ではピンポイントで絞る必要はなく、「○○駅から○○駅らへん」とか、「○○市内」など広範囲でも構いません。




予算計画を立てる

住みたい地域を決めるのと同時に、予算計画を立てましょう。

予算によって、住みたい地域が変わることもあるので、資金計画は早めに建てた方が良いです。こちらも、この時点では詳細まで詰めなくて良いですが、ローンの事前審査が不安な人はしておくと良いでしょう。

また、将来の資産形成なども含め、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもオススメです。




住宅展示場に行ってみよう

いよいよお待ちかねの住宅展示場です。

早い段階で展示場に行くことを推奨していないサイトもありますが、私は早い段階で一度行ってみることをオススメしています。一度行ってみることで、家づくりになじみがない人もイメージが湧きますし、展示場の空気にも慣れることができます。

舞い上がった状態で高額の契約を結ぶようなことは避けたいですからね。




家を建てる業者の選択肢

注文住宅を建てる際の業者の選択肢は、ハウスメーカー、地元工務店、設計事務所の3つです。○○工務店という名前でも、大規模展開しているハウスメーカーであることも多いので、会社名だけで判断しないようにしましょう。

ハウスメーカーは工業化による大量生産で価格を下げているのが特徴です。例えば、海外工場で安く建材を生産したり、同じサイズの部材を大量生産して組み合わせたりすることで費用を安くします。中には、マンションに導入する住宅設備(キッチンやトイレなど)を使いまわし、高級住宅設備を格安導入できるメーカーもあります。

地元工務店は地域密着の小規模ハウスメーカーで、地域の風土にあった家づくりにこだわるなど、様々な特徴があります。ハウスメーカーに比べると、テレビCMや営業に掛ける費用は少ないです。

設計事務所は建築士に依頼して特注の家をつくるのが得意です。ハウスメーカーや工務店と違い、施工は担当しないので、工事業者は提携業者にお願いするか自分たちで探す必要があります。オンリーワンの家ができますが、特注品になるのと、設計と施工で二重にお金が掛かるため、一般的には費用は高額です。

前述の住宅展示場には、ハウスメーカーと工務店のモデルハウスが展示されているケースがほとんどです。




ハウスメーカーごとの特徴を知ろう

ハウスメーカーや工務店など、家を建てる業者の特徴を知りましょう。

再び住宅展示場に足を運んでもいいと思います。このメーカーは水害対策に強い、この工務店はデザイン性重視、このメーカーは鉄骨の家ができるなど、各ハウスメーカーに特徴(強み)があります。

そして、話を聞いたり、調べたりしているうちに、自分たちが求める家がだんだんとわかってくるはずです。間取りでこだわりたい部分はどこか、断熱性や気密性などの性能はどの程度ほしいか、家の保証はどこまで求めるかなど、希望がまとまったら予算とも合わせて検討してみましょう。




土地探しの前に家を建てる業者を決める

いよいよ、どの会社で家を建てるか決めましょう。

土地探しから始めてしまう方がよくいますが、その土地に家が建てられるか、ご自身で判断できますか? 購入したものの、希望の家が建てられなかったり、予想以上に追加の費用が掛かったりすることもあります。まずは、家を建てる業者を決めて、一緒に土地探しを行うのが失敗しないコツです。

予算や住みたい土地を振り返りつつ、家を建てる業者を決めましょう。どうしても決めきれない場合は、3社程度までに絞るだけでも構いません。

また、この段階であらためてローンの事前審査をしておくと安心です。




希望の間取りで見積もりを出してもらう

ハウスメーカーが決まったら、間取り作成と見積もりを依頼しましょう。

具体的な土地が決まっていないので、あくまでも想定で構いません。これにより、建物の費用が概ねわかるので、土地に使える予算が決まってきます。




待ちに待った土地探し

いよいよ本格的な土地探しです。ここまで来たらあと少し。

土地に使える予算をもとに、ハウスメーカーと一緒に土地を探しましょう。不動産会社は土地を売ることだけが仕事なので、土地の調査は実際に家を建てるハウスメーカーの人にも見てもらいましょう。

そして、「希望の家が建てられそうだ」となったらいよいよ土地の購入です。




いよいよ着工、そして完成

土地を購入したら、後は家を建てるだけ。

間取りを決める打ち合わせや各種手続きをして、申請や工事に移ります。ここまで来たら、後は業者が流れるように進めてくれます。

工事中は、なるべく現場にも足を運び、写真を多めに撮っておくと後々安心です。




まとめ

家づくりはとても長い行程があり、多くの業者が関連してくるためトラブルも多いです。今回の手順はあくまでも一例ですが、「こんなはずでは…」と後悔しないためにも参考にしてみてください。




【独学一級建築士 nandskさん】

独学により一級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。二級、一級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す。

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