地震だけじゃない、自然災害から自宅を守ろう|一級建築士による建設アラカルト
【Written by 独学一級建築士 nandskさん】
家づくりにおいて地震対策はかなり注目されるようになってきました。“地震大国”といわれる日本では、地震に対して建築物を守る技術はとても高いんです。
ただ、昨今は地震以外の自然災害も増えてきており、こういった様々な自然災害から自宅を守る必要にも迫られています。
豪雨被害は侮れない!しっかりとした雨仕舞を
地震に次いで昨今話題となるのが豪雨ではないでしょうか。
家として雨漏りしないことは当然ですが、ゲリラ豪雨などにより排水設備に異常をきたしたり、河川の氾濫などにより浸水したりと、雨による被害は侮れません。雨と強風が合わさることで、通常は上から降る雨が下から巻き上げ、建物内に浸水するケースもあり、雨仕舞はしっかりとしておく必要があります。
ゲリラ豪雨のように短時間に大量に雨が降り、排水能力がオーバーしてしまった場合、屋外の排水桝が勢いよく吹き飛び、人や建物にぶつかって被害が出ることもあります。場合によってはトイレの逆流などが生じるケースも…。
自宅でできる豪雨対策のポイントを紹介!
こうならないためにも、雨水の宅内処理能力を高めておくことが必要で、浸透桝などを設置することが対策になります。自治体によっては設置補助金が出ることもあるので、確認してみるといいでしょう。
また、近隣に被害がないのに自宅だけ被害が出た場合は、排水設備の高さ処理に不備があるなど、設計ミス、施工ミスの可能性もあるので注意したいです。
河川の氾濫については自治体のハザードマップなどで被害想定を確認できるので、危険な地域では準備しておく必要があります。江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)といわれる東京の東側の低地帯や大田区などは被害想定が大きいので、特に注意が必要です。
【風対策】軒の状態を確認し窓には雨戸を設置
豪雨と合わせて確認したいのが風対策。建物で最も風を強く受けるのは軒先です。台風の接近などが予報されているときは、軒が外れやすくなっていないか確認する必要があります。
また、飛散した物によりガラスが割れると建物内部に風が入り込み、崩壊にもつながります。ガラスに傷がないか確認し、雨戸などでガラスを保護するといいでしょう。
近年は関東地方や東北地方にも大型台風が来るので、雨戸の設置は検討してもいいかもしれません。
火災、豪雪、猛暑… 自然災害は増加傾向
最後に火災。木造建築物は火災に弱いと思われがちですが、炭化現象により意外と構造体は火に強いです。
それよりもカーテンやカーペットなどのインテリアが燃えることが多いので、防火地域などではカーテンを不燃性能があるものにするなど、建物内部の火災対策にも気を配りましょう。
その他にも豪雪や猛暑など、自然災害は増加傾向にあります。自宅を自然災害から守るためにも、法令を順守し、しっかりと安全対策を行いましょう。
著者:独学一級建築士 nandsk
独学により一級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。二級、一級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す。