若手社員向け建設業界の豆知識_~経歴35年土木現場監督のあるある話~
第11回『4Sは現場の身だしなみ』
りゅう坊です!
古くは、3Sから始まり近年は4Sと言われているのが、整理・整頓・清掃、そして清潔。
これは、現場の身だしなみと言っても過言ではありません。
この業界に入って幾度も耳にしてきたのは、"キレイな現場に事故はなし"というものです。事故や災害は、100%起こらないとは絶対言えません。ただ、4Sは、そうでない現場に比べると事故や災害の確率が下がるのは、なんとなく理解できるとおもいます。足の踏み場もなく、材料や道具などが散在していると、あたりまえに確率は上がります。
確率を低減させるためにも4Sは、大事な要因のひとつとなります。
今回は、4Sについて4つの立ち位置から見てみようと思います。
工事の工程を確実に進めるのが前提ではありますが、まずは、環境の整備が肝心です。現場は整然としていることが良好であり、求められる状態です。意識的に心掛けていないとできないものだと思います。
- 現場事務所の内外
- 材料の置場
- 駐車スペース
- トイレ、手洗い
- 休憩所
- 重機、車両置場
- 撤去発生材置場 など。
現場の4Sは当然ですが、同時に自分のデスクや移動用のクルマも同様に実践できればいいですよね。あまり神経質になり過ぎる必要はないですが、最低限の身だしなみは意識して取り組みたいものです。
4Sを4つの立ち位置から見てみましょう!
では、4Sについて4つの立ち位置から見ていきましょう。
【4つの立ち位置】を以下のように定義しました。
①自己管理 ②施工現場 ③協力業者 ④周辺住民
それぞれ解説していきます。
①自己管理
まずは、自分自身が身の回りを整理できているか?ということです。
・事務所の机上、書類があちこち散乱していないか
・身に着けるものや道具は整理・収納されているか
・計画性に沿って4Sの準備かできているか
②施工現場
主戦場となる現場に関しては、着手前の計画段階から細かく考えておくことをおススメします。なぜかと言うと、いざ、工事が始まってしまうと、なかなか整理や整頓がつかないことが多いためです。
現場の状況、広さにより、駐車スペースや重機置場などの確保が困難なケースもあります。資材、材料の保管場所も同様です。また、トイレも必須であり衛生面も含めて考える必要があります。住宅街であれば、なおさらです。
工事には、仮設備計画というものがあります。
これは、整理整頓ができており、清掃しやすく、なおかつ清潔さが維持できるよう併せて計画する必要があります。これができていなくて施工途中に対処することになると、余分に労力を要することになります。
- 作業車両の駐車スペース
- 重機の稼働位置、設置位置
- 休憩施設や場所、トイレの位置
- 安全通路、避難経路や場所
当初段階で必要なくても少々、細かな決め事に関しては、検討しておくことで瞬時に対処が容易となります。工事を進めていくうえで諸問題、諸事情は付き物であり、
“備えあれば患いなし”と言えます。
③協力業者
実作業をやってくれる業者さん、個人の方に対して、工事の内容や工程、品質、出来形に関することを伝えるのは必須です。加えて、欠かせないのが大きな枠で括って言うと、安全管理を含めた現場のルールです。
先の施工現場の内容で書いたように
・駐車場
・重機などの置場
・トイレを含めた設備の種類
・避難通路などの移動ルート
これらの使用ルールについても徹底しておくことで管理面がスムーズになります。
また、現場独自のルールがあるのであれば、併せて伝えるようにしましょう。
4Sを実行、管理する上で一番の肝(きも)になるのが、実作業を支える協力業者さんや個人の方です。材料・機械・施工・仮設・安全施設、すべてが揃っているのが現場であり、直接関連する人・物がメインステージ、メインイベントだからです。
現場は、対外的な第三者の視覚にパッと入ります。第一印象がとても大事であり、この印象が後々、工事を進めていくうえでも影響してきます。外周の見た目だけ良くても意味がないですが、まず、見た目がわるいといい印象を与えられません。
対外的な第三者の見た目の印象もさることながらその場で作業をする業者さんにおいては、最低限の身だしなみを守ることを伝える必要があります。
ここで、3つのポイントをお伝えします。
1、服装、保護具の正装
・ヘルメットのあごひもをしっかり締める
・ボタン付きの服装はボタンを留める
あたりまえなこととおもわれるかもしれませんが、あたりまえなことほど粗雑にしがちなのが人間なのです。
2、個人で持ち込んだ物の処理
・飲食料の容器の後始末
・タバコの吸い殻
・不要な部品類(使用済みの釘や木片など)
3、持ち場の整理整頓清掃
・材料や道具の片付け
・材料集積や保管
この3ポイントは最低限守りたいものです。あたりまえのことをあたりまえにやることが基本です。
④周辺住民
周辺住民の方に対しては、外部からの見た目のほか、コミュニケーションも必要です。
1、あいさつ
工事着手のあいさつは当然ですが、着手後も何かと気を配ることも大切です。
・大きな音が出る作業
・材料や機械の出入りがある場合
・交通規制を行う場合
声かけは、忘れがちになり得る常識な行為です。一言があるかないかによって思わぬ苦情が来たりする場合もあります。あいさつや声かけを意識しましょう。
2、期間の周知
周辺住民の方には内容説明のほか、予定期間を確実に伝えましょう。『いつまでやるの?』ここが気になる部分だからです。
3、住民ファースト
トラブルを未然に避けるためにも意識が大事です。
・通行車両、歩行者を優先する習慣
・通勤通学の時間帯における出入りに配慮
・住民からの声に耳を傾ける行動
ここまで4つの立ち位置から挙げてみました。どれも基本の基本ですが、この基本をおろそかにすることなく、あたりまえにやることです。それぞれの単語ひとつひとつを単純に片付けることなく、そこにいろいろ埋め込んで実践すると、より効果的な4Sになると考えます。
まずは、"身だしなみ"から整えましょう。
『4Sは現場の身だしなみ』
ぜひ、意識してみてください。
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。
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