第11回:4S(整理・整頓・清掃・清潔)は現場の身だしなみ【若手社員向け建設業界の豆知識】

りゅう坊です!
古くは『3S』、近年は『4S』ともいわれているのが、整理・整頓・清掃、そして清潔。
これは“現場の身だしなみ”と言っても過言ではありません。
この業界に入って幾度も耳にしてきたのは、「キレイな現場に事故はなし」というもの。
事故や災害が100%起こらない、とは絶対に言えませんが、『4S』ができている現場はそうでない現場に比べると、事故や災害の確率が下がるというのは理解できると思います。
足の踏み場もなく、材料や道具などが散在していると、あたりまえに事故や災害の確率は上がります。
安全に工事を進めるためにも『4S』は大事な要素のひとつです。
今回は『4S』を実践するうえで、4つの立ち位置から考えてみようと思います。
工事を確実に進めるための環境整備
工事は工程を確実に進めるのが前提であり、そのためにはまず環境の整備が肝心です。
現場は整然としていることが良好で、求められる状態といえます。
これは、意識的に心掛けていないとできないものだと思います。
- 現場事務所の内外
- 材料置場
- 駐車スペース
- トイレ、手洗い
- 休憩所
- 重機・車両置場
- 撤去発生材置場
などなど。
現場の4Sは当然ですが、同時に自分のデスクや移動用の車でも実践できていれば、なお良いですよね。
あまり神経質になり過ぎる必要はないですが、「最低限の身だしなみ」は意識して取り組みたいものです。
『4S』を4つの立ち位置から考える
では、4Sについて【4つの立ち位置】から見ていきたいと思います。
4つの立ち位置とは、今回以下のように定義しました。
①自己管理
②施工現場
③協力業者
④周辺住民
それぞれ解説していきます。
①自己管理
まずは「自分自身が身の回りを整理できているか?」という視点です。
- 事務所の机上、書類があちこち散乱していないか
- 身に着けるものや道具は整理・収納されているか
- 工事の計画に沿って4Sの準備ができているか
繰り返しですが、最低限の身だしなみを意識しましょう。
②施工現場
主戦場となる施工現場に関しては、着手前の計画段階から4Sについて細かく考えておくことをおすすめします。なぜかと言うと、いざ工事が始まってしまうと、なかなか整理や整頓がつかないことが多いためです。
現場の状況や広さによっては、駐車スペース、重機置場などの確保が困難なケースもあります。資材・材料の保管場所も同様です。
また、トイレなど衛生面もしっかり考える必要があります。現場が住宅街であるなら、なおさらです。
工事には仮設備計画というものがありますが、整理・整頓ができ、清掃しやすく、なおかつ清潔さが維持できることも考えて、計画する必要があるでしょう。
これができておらず、施工途中に対処することになると、余計な労力を要することになります。
- 作業車両の駐車スペース
- 重機の稼働位置、設置位置
- 休憩施設やトイレの場所、位置
- 安全通路、避難経路の場所
当初段階では必要がないケースでも、少々細かな決め事に関しては事前に検討しておくことで、途中で必要になった場合でも、瞬時に、かつ容易に対処ができます。
工事を進めていく上で、諸問題・諸事情は付き物ですので、“備えあれば患いなし”ということを意識しましょう。
③協力業者
現場の4Sを実行、管理する上で一番の肝になるのが、実作業を支える協力業者さんや一人親方さんです。
材料・機械・施工・仮設・安全施設など、工事に直接関連するすべてがそろっている現場こそメインステージ・メインイベントであり、その中心にいるのが実作業を担う協力会社さんたちだからです。
協力業者さんや一人親方さんに対して、工事の内容や工程、品質、出来形に関することを伝えるのは必須。
加えて欠かせないのが、安全管理を含めた“現場のルール”です。
先の施工現場の内容でも書いたように
- 駐車場
- 重機などの置場
- トイレを含めた設備
- 避難通路などの移動ルート
これらの使用ルールについても徹底しておくことで、管理面がスムーズになります。
また、現場独自のルールがあるのであれば、あわせて伝えるようにしましょう。
現場は、対外的な第三者の視界にパッと入ります。
第一印象がとても大事であり、この印象が後々、工事を進めていく上でも影響してきます。
外周の見た目だけ良くても意味はないですが、少なくとも見た目が悪いといい印象を与えることはできません。
そして、現場の外周もさることながら、その中で作業をする協力業者さんたちに、最低限の身だしなみを守ってもらうことを伝えるのも重要です。
ここで4Sについて、現場作業に直接関わる3つのポイントをお伝えします。
【1.服装、保護具の正装】
- ヘルメットのあごひもをしっかり締める
- ボタン付きの服装はボタンを留める
【2.個人で持ち込んだ物の処理】
- 飲食物の容器の後始末
- タバコの吸い殻
- 不要な部品類(使用済みの釘や木片など)
【3.持ち場の管理】
- 材料や道具の片付け
- 材料の集積・保管
あたりまえのことをあたりまえにやるのが基本ですが、あたりまえなことほど粗雑にしがちなのが人間です。
この3つのポイントは最低限守りたいものです。
④周辺住民
周辺住民の方に対しては、外部からの見た目のほかコミュニケーションも必要です。
【あいさつ】
工事着手のあいさつは当然ですが、着手後も何かと気を配ることが大切。
- 大きな音が出る作業
- 材料や機械の出入りがある場合
- 交通規制を行う場合
きちんと声をかけることは常識ですが、忘れてしまいがちな行為でもあります。
一言あるかないかで印象は大きく変わり、声かけを忘れてしまったことにより、思わぬ苦情が来てしまう場合もあります。
あいさつや声かけは必ず意識しましょう。
【工事期間の周知】
周辺住民の方には工事の内容説明のほか、予定期間を確実に伝えましょう。
「いつまでやるの?」
住民の方にとってはここが気になる部分だからです。
【住民ファースト】
トラブルを未然に避けるためにも、周辺住民の方を一番に考える意識が大事です。
- 通行車両、歩行者を優先する習慣
- 通勤通学の時間帯における出入りの配慮
- 住民からの声に耳を傾けること
まず身だしなみから整えましょう!
ここまで4つの立ち位置から、4Sについて考えてみました。
どれも基本の基本ですが、この基本をおろそかにすることなくあたりまえにやることで、スムーズに工事を進められるかどうかが変わってきます。
整理・整頓・清掃・清潔
それぞれの単語を単純に捉えるのではなく、そこに様々な意識を埋め込んで実践すると、より効果的な『4S』になると考えます。
まずは身だしなみから整えましょう。
“『4S』は現場の身だしなみ”
ぜひ、意識してみてください。
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん
