現場ノウハウ

木造住宅の2×4(ツーバイフォー)工法とは?一級建築士がわかりやすく解説

【Written by 独学一級建築士 nandskさん】

これから家を建てようと考えている方や建築業界に入ったばかりの方は『2×4(ツーバイフォー)工法』という単語を聞くことがあると思います。木造やRC造といった言葉に比べるとなんともわかりにくい字面ですが、2×4とはどういう意味でしょうか?

この記事では2×4工法の概要や特徴、施工上の注意点などについてわかりやすく解説します。

「2×4(ツーバイフォー)工法」とは

2×4工法とは、「枠組壁工法」とも呼ばれる木造戸建て住宅などの建築工法です。

アメリカで生まれた工法で、正式名称は「プラットフォーム・ウッド・フレームコンストラクション」といいます。使われる木材の断面寸法である2×4インチから“ツーバイフォー”の呼び名が来ています。

使う材料が違う2×6(ツーバイシックス)工法なども存在しますが、木造2階建て住宅であれば2×4インチの木材を使うことがほとんどなので、“ツーバイフォー”を耳にすることが多いと思います。

「2×4(ツーバイフォー)工法」と「在来工法」の違い

もう少し詳しく見ていきましょう。

住宅建築において、柱と梁による従来の木造建築手法を「在来工法(木造軸組工法)」といいますが、これは割りばしで骨組みをつくることを想像してもらえればわかりやすいでしょう。建物の角には柱があり、柱の頂部をつなぐように横架材(梁)があります。これが柱と梁による在来工法です。

一方の2×4工法は柱ではなく壁をつくっていきます。こちらは段ボールを想像するとわかりやすいでしょうか。柱は立てずに、面材をパネルのように組み合わせて空間をつくっていきます。実際には2×4インチの断面の木材をパネルの裏に配置して補強していくのですが、「壁で建物をつくっていくのが2×4工法」と考えてもらえればいいかと思います。

「2×4(ツーバイフォー)工法」の特徴

次に、2×4工法の特徴を紹介します。

まず構造的な特徴として、柱ではなく壁(耐力壁)で建物を支えるのが2×4工法です。そのため、壁を不用意にぶち抜いたり、大きな窓を付けたりすることには制限があります。それから、ホールのような天井が高い空間などをつくることも難しいです。

一方、面で構成する2×4工法は気密性が高く、現在主流の「高気密高断熱住宅」とは相性が良いです。工場で加工された規定サイズの木材を使うので、資材が安く、施工も機械的にできるため、低価格・高品質になりやすい点も特徴ですが、逆にオンリーワンの特注設計は難しいともいえるでしょう。

「2×4(ツーバイフォー)工法」の施工上の注意点

ここまで、2×4工法の概要や特徴、在来工法との違いについて説明してきましたが、ここからは2×4工法を施工する際に注意したいことを簡単に紹介したいと思います。

施工上の注意点① 基礎工事

まずは建物の土台となる基礎工事。最も大事な工事ともいえる基礎工事では、その精度がとても重要です。

トランシットなどを用いて精度高く仕上げたいところ。基礎のズレは上にいくほど大きくなってしまうので、細心の注意を払って施工しましょう。

それから基礎ではもう1つ。2×4工法では床もパネルで仕上げるので、床下に潜って工事をすることが難しいです。そのため、床を仕上げるまでに配管工事をするのですが、ここでミスがあると後々、床パネルを剥がして再工事になってしまうので注意する必要があります。

施工上の注意点② フレーミング工事

次にメインとなるフレーミング工事。建物を組み立てていく、いわゆる建て方工事を2×4工法では「フレーミング」といいます。

RCの基礎の上に土台を設置するところから始まりますが、床に近い部分には防蟻処理が求められます。最近話題の長期優良住宅でも、土台周辺のシロアリやカビ対策は必須です。

土台、根太を並べたら床を張りますが、前述したように床を張った後に床下を工事することは難しいので、隠蔽部の検査や写真撮影などは入念に行っておきたいところ。

床が終われば壁に移りますが、壁を立てる時に最も時間がかかるのが開口部回りです。「まぐさ」という専用部材を使って開口部をつくっていきますが、複雑な納まりになる場合は釘の打ち忘れなどに注意しましょう。開口部が大きく、上枠・下枠が長くなり継ぎ手が生じる場合は、釘打ちによる木口割れを防ぐためにも、継ぎ目をたて枠の真上ではなく“たて枠とたて枠の中間”につくるのが理想です。

その後は2階床、天井へと進んでいきます。

まぐさ・窓台とは?

出入口、窓などの開口部の上下に水平に設ける部材で、開口部の上部の壁を支えるものを「まぐさ」、窓の下枠を受けるものを「窓台」と呼びます。

施工上の注意点③ 防水工事

最後に屋根(小屋組)。2×4工法でも陸屋根や切妻屋根、寄棟屋根なども対応可能です。

それぞれの屋根形状に合わせて施工していくことが大切ですが、ここで最も重要なのが防水工事。2×4工法に限った話ではありませんが、屋根の防水が悪いと建物の寿命が一気に短くなります。防水工事にはしっかりと時間を取り、丁寧に施工していきましょう。

まとめ

日本の住宅建築は「在来工法(木造軸組工法)」が主流ですが、2×4工法も気密性の高さや低価格・高品質といった特徴から広く普及しています。

当然のことながら、工法が違えば注意点も変わってくるので、2×4工法には2×4工法の特徴があることを意識して施工したいですね。

著者:独学一級建築士 nandsk

独学により一級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。二級、一級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す。

関連するBLOG

TOP