若手社員向け建設業界の豆知識_~経歴35年土木現場監督のあるある話~

ナレッジ/ノウハウ

第8回『遊び心も持たないと、身が持たない!』





今回は、仕事に余裕をつくる話と建設用語の2部構成でお届けします。


遊び心について

“仕事は真面目にやるものです!”
これって、あたりまえのことなので、やはり真面目にやることは必須です。
なので、報連相は必然です。これが欠けているとミスやトラブルの原因にもなります。
労力の対価を頂くためのものなので、不真面目にさぼったりするのはどう考えても良くはありません。
ただ、「仕事だから、遊びじゃないから、と楽しんではいけない」という考え方。
これは、少し考え方に融通を利かせたほうがいいと思うのです。

実際、仕事中に遊んじゃダメですが、言いたいのは、“遊び心を持つ”ということ。

真面目に、一生懸命に取り組むのは、非常に素晴らしいことです。しかし、人間の特性から言っても四六時中、仕事に集中するなんてできません。そのために休憩があり、休日があるわけで息を抜く間も必要になってきます。そこに加えたいのが、“遊び心を持つ”ということです。遊びと言っても、仕事中に遊ぶのではなく、あくまで、気持ちに余裕をつくるのです。

今回、ひとつ定義するとすれば、“仕事が楽しめるよう、工夫をする”ことです。

建設のような、ものづくりの仕事場であれば、段階ごとにやることもはっきりしているのでその中でひとつテーマを決めるのです。

たとえば、
・職人さんの性格や特徴を観察し、メモする。
・同じ作業のスピードを数回計測し、記録する
・その日にチェックするものを数回、実施する

このように何かしら決めて現場管理をすることによって、ただ眺めているだけでなく、集中できたりします。

上記は、あくまで参考なので自分なりに考えて仕事が楽しめるよう、工夫してみてください。

“遊び心を持つ”という内面の話に戻すと、この感情を持つことによって得られるのは、単純な毎日ではなくなる、精神的ストレスが緩和される、コミュニケーションのきっかけになる、仕事を進めるチカラの基礎になる、などが考えられます。とは言え、仕事を覚えていく段階では、なかなか余裕などありません。なので、覚えたことの何かひとつを楽しめる工夫を考えてみてください。考えるだけでも楽しい作業になります。ただ、深刻になって考えること自体が苦痛にならないように注意してください。
仕事は、真面目にしなければならないですが、楽しむことができないと、つらいだけのものになります。
しかし、元来つらいのが本質なのかもしれませんが、仕事は毎日続くものです。
遊び心も持たなければ、身も持たないのです。どうか、自分なりの工夫をしてみてください。
“遊び心”を持って余裕ある人を目指すことで視野も広がります。
視野が広がれば、視点もワイドになります。
危険の予知、危険の回避、工程・予定の先読みや見通しのチカラにも繋がります。

続いて余談の話、建設用語についてお伝えします。

【今日の建設用語】

”たっぱ” という言葉があります。”建端、とも 立端” とも書きます。
建物や構築物の高さのことを言いますが、建物なんかを見たとき、「これってかなり”たっぱ”があるなあ」という具合です。高さを示す言葉ですね。
ここから最近、仕事先で実際にやりとりのあった会話の内容を紹介します。

お相手は、業界関係者の20代男子。
自分:「あぁ、あの高さなら、あの人の身長であれば、手が届く高さですよ、彼は、“たっぱ”があるから」
男子:「“たっぱ”ですかぁ~ そこで“たっぱ”という言葉を使いますかぁ~」
自分:「えっ、普通に使わないですかぁ?」
男子:「はっはっはっ」 といった会話でした。

この20代男子、業界に入って2年目です。

現場のみで使う用語だとおもっていたそうなのでかなり、ウケました。この日の夜、家に帰り、妻に“たっぱ”についてたずねてみたところ、「会話で普通に使うわよ!」と、即答されました。そして、自分もまだまだ、無知であることを実感したのです。

それから用語を調べ進めてみると、“たっぱ” というのは、【建築用語】 【演劇用語】という分類でした。
演劇では、大道具などの高さの表現に使われているようです。そして、人の身の丈に関しても俗語として使うということもわかりました。自分自身も業界用語のみだと思い込んでいたので、その意味について深く認識はなく、使っていたのが現状でした。
このとき、反省したのは、何事に対しても ”無知であることを前提に無知であることを知る” ということです。またひとつ、反省を踏まえ、ひとつ学びました。

そして、おもわず一句詠みました。
”足らぬなら足るまで学べ、なにごとも”

自身の知らぬことは、まだまだ社会にはたくさんあるということです。
同時にいくつになってもいくらでも学びは必須ということです。

いい機会でしたので、このタイミングにいろいろ調べてみると人の”さま”を表現する場合の“ことば”の中に、土木建築をはじめとする業界の関連用語が数多くあることがわかりました。
今回は、一部紹介します。

◆叩き上げ◆  もともとは、職人世界のことば

◆釘を刺す◆  釘を打ち付ける意からきている

◆打って付け◆ 釘を打ち付けてピタリとつけるからきている

◆筋金入り◆  構築物の骨組になる金属からきている

もとをたどると、ものづくりの世界から応用されている言葉がたくさんあります。
せっかく、この業界に居るのなら用語の語源を調べてみるのも学びにもいいかもしれません。


◆作者紹介 りゅう坊さん
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。

りゅう坊さんのブログ   DIYとWorkを簡単に! りゅう坊の楽楽ブログ

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