第8回:遊び心も持たないと身が持たない!【若手社員向け建設業界の豆知識】

りゅう坊です!
今回は、仕事に余裕をつくる話と建設用語の2部構成でお届けします。
仕事における“遊び心”とは
「仕事は真面目にやるものです!」
これはあたりまえのことなので、やはり真面目に仕事に取り組むのは必須です。
そして、前回お伝えした『報連相』が当然必要で、これが欠けているとミスやトラブルの原因にもなります。
労力の対価をいただくのであれば、不真面目にさぼったりするのはどう考えても良くありません。
ただ、仕事だから、遊びじゃないから、「楽しんではいけない」という考え方は、少し融通を利かせたほうがいいと思うのです。
実際、仕事中に遊んじゃダメですが、私が言いたいのは「“遊び心”を持つ」ということ。
真面目に、一生懸命に取り組むのは非常に素晴らしいことです。
しかし、人間の特性からいっても、四六時中、仕事に集中することなんてできません。そのために休憩があり、休日があるわけで、息を抜くことも必要になってきます。
そして、さらに加えたいのが仕事に“遊び心”を持つ。遊びといっても仕事中に遊ぶのではなく、あくまで気持ちに余裕をつくるということです。
ひとつ定義するとすれば、「仕事が楽しめるよう工夫をする」ことです。
建設業のようなものづくりの現場であれば、段階ごとにやることもはっきりしているので、その中でひとつ、何かテーマを決めるのです。
たとえば、
- 職人さんの性格や特徴を観察してメモする
- 同じ作業のスピードを数回計測して記録する
- その日にチェックするものを数回見直してみる
このように何かしらのテーマを決めて現場管理をすることにより、ただ眺めているだけでなく、集中できるようになります。
上記はあくまで参考なので、自分なりに考えて、仕事が楽しめるよう工夫してみてください。
“遊び心”を持つことで得られるメリット
遊び心を持つことによって得られるのは、「単純な毎日ではなくなる」「精神的ストレスが緩和される」「コミュニケーションのきっかけになる」「仕事を進めるチカラの基礎になる」などが考えられるでしょう。
もちろん、仕事を覚えていく段階であればなかなか余裕などありません。
その場合は覚えたことの何かひとつを楽しめるよう、工夫を考えてみてください。考えたり探したりするだけでも、楽しい作業になりますよ。
ただ、深刻になり過ぎて考えること自体が苦痛にならないように注意してください。
仕事は真面目にしなければならないものですが、楽しむことができないとつらいだけのものになります。
元来、仕事はつらいのが本質なのかもしれませんが、毎日続くものでもあります。遊び心を持たなければ、身も持ちません。
どうか、自分なりに仕事が楽しめる工夫をしてみてください!
“遊び心”を持ち、余裕のある人を目指すことで視野も広がります。視野が広がれば、視点も多角的になります。
建設現場における危険の予知、危険の回避、工程・予定の先読みや見通しのチカラにもつながります。
“たっぱ”という言葉をご存じですか?
ここで、建設用語に関するお話をします。
“たっぱ”という言葉があり、漢字では“建端”とも“立端”とも書きます。
建物や構造物の高さを指し、建物なんかを見たときに「これってかなり“たっぱ”があるなあ」という具合に使います。
最近、仕事先で実際にあった会話のやりとりを紹介しましょう。
お相手は業界関係者の20代男性。
自分:「あぁ、その高さだったら、あの人の身長であれば手が届きますよ。彼は“たっぱ”があるから」
男性:「“たっぱ”ですかぁ~?そこで“たっぱ”という言葉を使いますかぁ~」
自分:「えっ、普通に使いませんか?」
男性:「はっはっはっ」
この20代男性、業界に入って2年目。“たっぱ”を建設現場で建物や構造物の高さを指すときのみに使う業界用語だととらえていたそうです。
この日の夜、家に帰って妻に“たっぱ”についてたずねてみたところ、「日常会話でも普通に使うわよ!」と即答。
実は私自身、一般的に使われている言葉という認識はなかったため、自分もまだまだ無知であることを実感したのです。
それから“たっぱ”について調べてみたのですが、【建築用語】【演劇用語】という分類であることを知りました。
演劇では、大道具などの高さの表現に使われているようです。そして、人の身の丈に関しては、俗語として一般的にも使うということがわかりました。
自分自身も建設業界用語のみだと思い込んでいたので、その意味について深く考えずに使っていたのが実情でした。
このとき反省したのは、何事に対しても『無知であることを前提に、無知であることを知る』ということ。反省を踏まえ、またひとつ学びました。
そして、思わず一句詠みました。
“足らぬなら 足るまで学べ なにごとも”
自身の知らぬことは、まだまだ社会にたくさんあるということです。
同時に、いくつになっても、いくらでも、学びは必須ということも実感しました。
いい機会でしたので、これを機にいろいろ調べてみると、人の“さま”を表現する言葉の中に、土木・建築業界の関連用語が数多くあることがわかりました。
たとえば、
【叩き上げ】
もともとは職人世界のことば
【釘を刺す】
釘を打ち付ける意からきている
【打って付け】
釘を打ち付けてピタリとつけるところからきている
【筋金入り】
構造物の骨組になる金属からきている
もとをたどると、ものづくりの世界から応用されている言葉がたくさんあります。せっかくこの業界にいるのなら、用語の語源を調べて学ぶのもいいかもしれません。
これもまた、仕事における“遊び心”のひとつです。
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん
