快適な工事が品質向上につながる 工事現場の仮設計画のコツについて

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快適な工事が品質向上につながる 工事現場の仮設計画のコツについて

【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】



仮設工事はどの工事でも必要なものですが、工事完了後には残らないものです。
そのため、費用圧縮などを要望されることも多く、ないがしろになりがち。ですが、仮設計画がうまくできていると、現場もスムーズに回り、事故のリスクも減らすことができ、最終的には工事の品質向上にもつながるのです。

今回は工事現場で必ず必要となる仮設計画のコツについてお話します。



まずは、工事を行う上で必要な給排水設備。
工事で水道と下水を利用する場合は、水道局と下水道局に事前に申請が必要です。その後、給水支柱を立てて水を使いますが、ホース接続用と手洗い用で二つ設けておくと便利でしょう。
給水場には排水を合わせて計画しておくことで敷地内が水でビチャビチャになることも無くなります。
事前申請を早めにやる、仮設トイレの位置や水道メーターの検針を考えた配置にするのがコツです。


給水・排水ときたら次は電気です。電気も当然、電力会社に事前申請が必要になります。
申請後、電力会社が引き込み工事を行いますが、それまでに敷地内に引き込み用の仮設ポールを立てておく必要があります。仮設ポールを立てたら、分電盤や電力メーターをポールに取り付けていきますが、容量が少ないと工事が制限されたり、工具が動かなくなることがあるので注意しましょう。
新築戸建てであれば30A程度はほしいところです。仮設計画のコツとしては、電気は大事故になりやすいので、事故が起きないようにすることが重要です。ポールが倒れて電線に接触してしまうことが無いようにしましょう。


重大事故につながるリスクが高い仮設足場。安全最優先順守を!

最後に、仮設工事で最も大きな比率を占める仮設足場です。
特に外部足場については外壁との離れや、足場間の隙間、巾木の設置など、細かく規定があるので守る必要があります。作業しやすいように逸脱するケースがありますが、重大事故につながるのは大体こういうケースです。

内部足場についても、足場の設置は費用や時間がかかるので脚立作業でするケースがありますが、脚立での作業は労働安全規則などで禁止されています。
足場における仮設計画のコツとしては、とにかく安全第一を考えることにつきます。
面倒だから、手間だから、ちょっとだけだから、こういった考えが命取りです。墜落防止対策はもちろん、風速10m以上の予報ではメッシュシートをたたむなど、安全第一を心掛けましょう。


新人現場監督では経験不足から仮設計画がうまくできないこともあります。
ですが、経験を積めば、自分が工事をやりやすいように仮設計画をするコツがわかってくるので、いろいろと試してコツをつかみましょう。



今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】

独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す

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