第5回:サラリーマンではなく技術屋であれ【若手社員向け建設業界の豆知識】

今回のタイトルは「サラリーマンではなく技術屋であれ」。
あなたが会社に所属して給料をいただいているならサラリーマン。こう聞くと、「なにあたりまえのことを言っているの」と思いますよね。
今回の話、結論から申します。建設現場においては『サラリーマンという意識を捨てて、あくまでも“技術屋”として振る舞いましょう!』ということです。
「どういうこと?」と思うかもしれません。僭越ながら自身の経験を基に持論を展開していきます。
“技術屋”という意識
せっかく建設業界に入ったのなら、ぜひ意識してほしいのが、この“技術屋”というところです。
なぜなら、ものづくりは技術の塊(かたまり)だからです。
そう言っている自分自身、若手のころは正直、それほど意識することがありませんでした。
この業界に身を投じた当初は、ブルーカラーな世界であり、3Kなどと言われ、グレーなイメージを持っていました。
時代も建設需要の絶頂期であったため、工事の件数も多く、当然ながら労働時間も長くなっていきました。
意識する間もなかった、というのが実際のところですが、逆に主戦場がリアルな建設現場であるため、“サラリーマン”という感覚も無に等しいものでした。
時を経て、経験を重ねるうちに、自分は“技術屋”なんだと意識し始めました。
建設業界は、技術の宝庫です。学びや気づきがたくさんあります。能動的に取り組むことでいろんな知識も得られます。
単に会社勤めの枠に収まらず、技術屋として腕を磨き、高めて、やりがいを見出すことで、きっと自分の資産になります。
「向き不向き」よりもやりがいを見出す意識を持つこと
人には向き不向きがあるかと思います。
オフィスでデスクワークがメインとなる、いわゆるホワイトカラーな世界に向くタイプと、屋外で動き回るブルーカラーな世界が向くタイプ。
さながら、自分はブルーカラーが合っているというよりも「この働き方で良かった」と思っています。
一日中デスクワークをしていたら、お尻がソワソワしておそらく耐えられなかったのでは、と感じています。
そうは言っても、建設業にももちろんデスクワークはあるので、フルに現場作業というわけにはいきません。ですが、両方を経験できるところは建設業の魅力でもあります(つらいときも多々ありますが)。
加えて言うと、わりと時間の融通が利くのもいいところです。
「自分には向いてないかな」と感じても、意識を持つことで合ってくるようになることもあります。
向いている・向いていないというのは人によってもちろんありますが、それ以上にやりがいを見出す意識を持つことが本質だと思うのです。
建設の仕事は、技術を要するものです。
あなたがこの世界に飛び込んだのなら、向き不向きもありますが、大事なのは“サラリーマン感覚”よりも“技術屋”という意識を持つこと。これを強くおすすめします。
技術屋として振る舞い、ものづくりを楽しんで、それが自分の仕事だと自信を持って言えたら最高じゃないでしょうか!
建設現場はリアルなステージ
建設業界も課題が山積みであるのは事実です。
- 働き方改革
- 技術者や労働者の減少・不足
- イメージアップ・ブランディングの推進
考え方、捉え方も時代と共に変化しています。
以前の“3K”に変わる“新3K”として提言されているのが、『給与が良い・休暇が取れる・希望が持てる』。
民間企業の中でも、いろいろ考えて“独自の3K”が提唱されていることもあります。
もちろん、業界全体でも危機感は否めないため、働く担い手の確保やイメージアップに向けて、みんなが考えて取り組んでいます。
時代に合わせた改革が必要不可欠なところに来ているのは確かです。
そんな中、技術屋として根底に持っておきたいことがあります。
新3Kに関して、行政サイドでさまざまな施策を提言してもらっているのは非常にありがたいことですが、行政だけでは実現できないですし、あくまで企業側に委ねられている部分も大きいということです。
新3Kに対して企業側とすれば、
- 給与が良い…利益を少しでも多く残さなければならない
- 休暇が取れる…作業を予定どおりか、それ以上に進めなければならない
- 希望が持てる…業界の魅力を感じてもらわなければならない
このような課題が浮き彫りになります。
では、個人としてはどう向き合っていけばいいのか?
少し触れておきますので参考にしてもらえれば幸いです。
【給与】
与えられた課題(仕事)を着実にこなしていくことにより、自分自身の経験値の積み重ねやスキルアップにつなげることで評価を上げる
【休暇】
与えられた課題(仕事)に対して、工程を考え抜く中で、気象状況やトラブルを想定して工事予定に独自の余裕時間を設定する工夫を考えてみる
【希望】
与えられた課題(仕事)に対して真摯に向き合うことにより、自分自身の働き方や行動が会社の評価につながり、建設業のイメージアップの一端になる
これらは、技術屋として最低限押さえておきたいところです。
建設業における技術者とは、建設業法第26条で次のように定義されています。
「建設工事の技術上の管理をつかさどるもの」
ここをベースにすることはもちろん、“技術の宝庫”である建設現場において、技術屋として貪欲に技術と向き合うことを期待します。
あなたの振る舞いが業界のイメージアップにつながります。
“6K”を生かすために“6N”にならないこと
会社に所属するサラリーマンだからといって、その感覚しか持たず、課題(仕事)になんとなく取り組んでいても、第3回でお伝えした私の考える6つのK『6K』が実現しません。
- 考える
- 感じる
- 気づく
- 感謝される
- 感動できる
- 快感がある
『考える・感じる・気づく』これに対して
1.工夫することを考えない
2.やりがいを感じない
3.大事なポイントに気づかない
『感謝される・感動できる・快感がある』これに対して
4.まわりから真の感謝をされない
5.出来上がりに感動がない
6.やりきったという快感がない
このように6つのK(6K)がない(None)という、6つのN(6N) にならないことが大事です。
最後にあらためて、強く言わせてください!
『サラリーマンという意識は捨てて、あくまでも技術屋として振る舞え!』
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん
