若手社員向け建設業界の豆知識_~経歴35年土木現場監督のあるある話~
第5回 サラリーマンではなく技術屋であれ
第5回目は「サラリーマンではなく技術屋であれ」。あなたが会社に所属して給料をいただいているならサラリーマンということです。
こう聞くと、「なにあたりまえのこと言っているの」と思いますよね。
今回の話、結論から申します。
サラリーマンという意識は捨てて あくまでも技術屋として振る舞え
ということです。
どういうこと?となると思うので、精悦ながら経験を基に持論を展開していきます。
「技術屋」・・・という意識
せっかく、この業界に入ったのならぜひ意識してほしいところです。
なぜなら、ものづくりは技術の塊(かたまり)だからです。
とは言え、そう言っている自分自身、若手のころは正直、それほど意識することがありませんでした。
この業界に身を投じた当初に感じたのは、ブルーカラーな世界であり、3Kなどと言われグレーなイメージを持っていました。時代も建設需要の絶頂期であったため、工事も件数も多く、当然ながら労働時間も長くなっていきました。意識する間も無かったというのが実際のところですが、逆に主戦場がリアルな建設現場であるため、サラリーマンという感覚も無に等しいものでした。時を経て経験を重ねるうち、“技術屋”なんだと意識し始めました。
建設業界は、技術の宝庫です。学びや気づきがたくさんあります。能動的に取り組むことでいろんな知識も得られます。単に会社勤めの枠に収まらず、技術屋として腕を磨き高めてやりがいを見出すことで、きっと自分の資産になります。
「向き不向き」・・・という話
人には向き不向きがあるかと思います。
オフィスでデスクワークが主の仕事、いわゆるホワイトカラーな世界に向くタイプと屋外で動き回るブルーカラーな世界が向くタイプ。
さながら、自分は、ブルーカラーが合っているというよりもこの働き方で良かったと思っています。一日中デスクワークだったらお尻がソワソワしておそらく耐えられなかったのではと感じています。そうは言ってもこの仕事は、もちろんデスクワークもあるのでフルに現場作業というわけにはいきません。ですが両方を経験できるところは建設業の魅力でもあります(つらいときも多々ありますが)。加えて言うと、わりと時間の融通が利くのもいいところです。(デスクワークオンリーだと動けないですから)
建設の仕事は、技術を要するものです。
あなたがこの世界に飛び込んだのなら向き不向きもありますが大事なのは、サラリーマン感覚よりも技術屋という意識を持つ、これを強く進言します。
「自分には向いてないかな」と感じても意識を持つことで合ってくるようになります。なので、向いている、向いていないというのは、論外にすべきであって意識とやりがいを見出すことが本質です。
技術屋として振舞い、ものづくりを楽しんでそれが自分の仕事だと自信を持って言えたら、最高じゃないでしょうか!
●建設現場はリアルなステージ
ここからは、建設業の今、という話。~この業界も課題は山積であるのは現実~
- 働き方改革
- 技術者、労働者の減少・不足
- イメージ・ブランディングアップの推進
考え方、捉え方も時代と共に変化しています。現状も理解できないとは言えません。
以前の3Kに変わる新3K(国交省)として提言されているのが、
・給与が良い
・休暇が取れる
・希望が持てる という新3K。
民間企業の中でもいろいろ考えて独自の3Kも提唱されていたりします。
もちろん、業界全体でも危機感は否めないため、働く担い手の確保やイメージ向上のためにみんなが考えて取り組んでいます。時代に合わせた改革は、必要不可欠なところに来ているのは確かです。
そんな中、技術屋として根底に持っておきたいことがあります。
新3Kに関して行政サイドでさまざまな施策を提言してもらっていることは非常にありがたいことです。しかし、行政だけでは実現できないし、あくまで企業側に委ねられているということです。
新3Kに対して企業側とすれば、
・給与が良い ・・・利益を少しでも多く残さなければならない
・休暇がとれる・・・予定通り、それ以上に進めなければならない
・希望が持てる・・・業界の魅力を感じてもらわなければならない
このように浮き彫りになります。
では、個人的にどう向き合っていけばいいか?
少し触れておきますので参考にしてもらえれば幸いです。
【給与】
与えられた課題(仕事)を着実にこなしていくことにより、自分自身の経験値の積み重ねやスキルアップにつなげることで評価を上げる
【休暇】
与えられた課題(仕事)に対して工程を考え抜くなかで、気象状況やトラブルを想定して工事予定に独自の余裕時間を設定する工夫を考えてみる
【希望】
与えられた課題(仕事)に対して真摯に向き合うことにより、自分自身の働き方や行動が会社の評価につながり建設業のイメージアップの一端になる
これらは、技術屋として最低限押さえておきたいところです。
建設業における技術者とは”「建設工事の技術上の管理をつかさどるもの」
建設業法によると、第26条に謳われています。
あくまでここをベースにすることはもちろんですが、技術屋として技術の宝庫で貪欲に向き合うことを期待します。
あなたの振舞いが業界のイメージアップにつながります。
6Kを活かすために6Nにならないこと
サラリーマンだからといってその感覚しか持たず課題(仕事)になんとなく取り組んでいても以前お伝えした6つのK『6K』が実現しません。
『考える・感じる・気づく』これに対して
1 工夫することを考えない
2 やりがいを感じない
3 大事なポイントに気づかない
『感謝される・感動できる・快感がある』これに対して
4 まわりから真の感謝をされない
5 出来上がりに感動がない
6 やりきったという快感がない
このように6つのK(6K) がNone(ない) という、6つのN(6N) にならないことです。
最後になりますが、あらためて強く進言させていただきます!
サラリーマンという意識は捨ててあくまでも技術屋として振る舞え
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。
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