RC建築物のサッシ工事で活躍? アヒルとは?
RC建築物のサッシ工事で活躍? アヒルとは?
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
前回、コンクリート工事の型枠と支保工の違いやその重要性を説明しましたが、今回もコンクリート工事の話です。
少し視点を変えて、マニアックな話になりますが、コンクリート工事の現場でたまに聞く「アヒル」について説明します。
まず、コンクリート工事の現場で聞く「アヒル」ですが、正式名称は「サッシアンカー」という金物です。検索してみると画像が出てくると思いますが、たしかにアヒルのような形をしていますね。使い方は、名前の通りなのですが、まずコンクリートで壁を作ります。
前回説明したように、型枠や支保工を使って壁の形を作り、そこにコンクリートを流していくのですが、窓がある壁の場合は、窓の形状に型枠を組んで窓部分にコンクリートが流れ込まないようにします。
この時に、あとから窓を取り付けられるようサッシアンカー、通称アヒルを埋め込んでおきます。
コンクリートが固まり脱型すると、窓の形に合わせてコンクリートの壁に穴が開いているような状態になりますが、アヒルだけがピョコンと壁の穴に飛び出た形になります。
そのアヒルに窓枠(サッシ)を溶接して窓枠を固定するんですね。基礎と柱を固定するアンカーボルトなどと役割は一緒で、コンクリートに事前に金物を埋め込んでおくことで、あとから冊子を取り付けられるという部材がアヒル(サッシアンカー)なのです。
工事現場でこわもての職人さんに急に「アヒル持ってこい」なんて言われると戸惑っちゃいますが、アヒルとはサッシアンカーの通称なんです。
アヒルの取り付け。コンクリートの未充填に注意!
このアヒルですが、実は施工に際して注意が必要です。
そもそも、窓廻りはコンクリートの充填が最もしにくい部分であり、バイブレーターによる十分な締固めや型枠の叩きによるコンクリートの充填不足を防止する策が必要です。一般的には、開口部を形作る型枠の一部に穴を開け、充填したコンクリートが穴からあふれ出てくるのを確認することが多いです。
アヒルを取り付けた部分のコンクリート強度が低いと窓を取り付けた際に破損したりすることがあるので、コンクリートの未充填には注意しましょう。
また、アヒルの取り付け位置などがズレてしまうと、窓枠を取り付けられなかったり、窓に歪みが出ることもあります。
アヒルという和みやすいネーミングですが、施工には注意が必要ということを覚えておきましょう。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す