型枠と支保工の違いとコンクリート工事の品質向上

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型枠と支保工の違いとコンクリート工事の品質向上

【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】



年々増加しているコンクリート工事ですが、コンクリートなら品質は一定と考えている人も多いのではないでしょうか?
当然、コンクリートの種類や配合によっても品質は変わりますが、施工技術によっても大きく差がでるのがコンクリート工事です。特に、RC建築物ではコンクリート工事・鉄筋工事・型枠工事の3つが重要視されており、今回はその中から型枠工事について説明します。



RC建築物ではコンクリート・鉄筋・型枠の3つの工事が重要。型枠を解説

型枠というのは簡単に言うとコンクリートが固まるまで形をとどめておくための枠です。そう、好きな形にクッキーを固める型枠と一緒です。
ただし、建物を形作る型枠のため、クッキーのように横と下だけ固定すればいいわけではありません。
建物の床を作るときは、その床の下にも型枠が必要になります。このコンクリートの重みを受け止めるために型枠を支えるパイプを支保工(しほこう・パイプサポート)と言います。

聞きなれない言葉ですが、現場では型枠支保工と言ったようにセットで呼称することが一般的です。型枠と支保工の違いが判っていない人もいますが、コンクリートが流れ出ないように形をとどめておく部材が型枠、その型枠が壊れないように固定するのが支保工という事ですね。


型枠と支保工。それぞれの役割の重要性とは

型枠と支保工の違いは分かったと思いますが、それぞれの役割の重要性についても説明していきます。

まずは型枠ですが、コンクリートが固まるための仮部材であるため経済性を重要視しがちです。ですが、コンクリートを注入中に型枠が倒壊してコンクリートが漏れ出たり、重みに耐えられず変形してしまい、型枠を外した後(脱型と言う)に補修工事が必要になる事例は結構多いです。充填したコンクリートが漏れ出た場合、コンクリートがスカスカになってしまうジャンカなどが生じて、建物の強度にも影響してきます。

支保工に関しても同じように、倒壊による現場事故や梁のたわみなどを招く恐れがあります。さらに、支保工の設置場所が悪く、コンクリートの流し込み作業がうまくできないなど、施工障害になることもあります。いずれもコンクリート工事の品質低下につながります。


このように非常に重要な役割がある型枠支保工ですが、施工者の技能による部分が大きいのが現実です。
工事監理者による現場検査などでも配筋だけでなく型枠や支保工もチェックしているので、ぜひ現場監督や作業員も型枠支保工の違いを理解し、きちんと施工してコンクリート工事の品質向上に努めましょう。



今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】

独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す

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