第3回:ブルーカラーな建設業の世界【若手社員向け建設業界の豆知識】

第3回となる今回は、建設業を“ブルーカラーの世界”として、私の経験も踏まえたお話をします。
3Kといわれた建設業界ですが…
3K(きつい・汚い・危険)といわれたこの建設業界ですが、肉体労働のイメージや安全性への不安による部分は否めないところもありながら、現状は改善されてきています。
とはいえ、そもそも論として、危険を伴う作業場面はあるにしろ、自分がこの業界に入ったころから3Kという呼称は疑問でした。
- キツイ…そんな業界はたくさん存在するはず
- キタナイ…どこを見て言っているのか知りませんが?
- キケン…確かに危険を伴う場面は多いですが、危険な業種は他にもあります
機械化がどんどん進んだ現状からみても、スコップやツルハシをフルに振り回すようなイメージは消え、3Kという言葉はわかりやすい誇大表現に使われていたものであると、個人的には感じています。
擁護の意味で言っているのではなく、高度成長期の誹謗中傷のように捉えています。
逆に、ねたまれるほどの誇り高き業界であるのは間違いなしです。
建設業のイメージと安全性
建設業界のイメージや安全性について、現場視点で考えてみます。
ユニフォーム
建設現場で働いていると、サラリーマンという感覚をあまり感じません。私がこの業界に入った当時、“ブルーカラーな仕事”に就いた実感があったのは確かです。
ユニフォームは年中、作業着で済むので、スーツのようにさほど気を遣わず、いい意味で雑に扱えます。スーツを着るのは年1回、正月の例会のときくらいのもの。
作業着を年中身にまとっていると、不思議なことにだんだんと似合ってくるのです。
「ユニフォームが似合う建設人でありたい」
なんて言うと、大げさだなと思うかもしれませんが、“着こなし”、これ、とても大事です!
建設業界そのもののイメージアップに直結することを意識したいものです。
ヘルメット

ヘルメットは、建設の作業現場では必需品です。
その人の大事なアタマを、ひいては命を守るもの。
なのに「かぶってください」なんて指導しなきゃならない現実があれば論外です。
即刻、出禁措置をとるべき事象ですね。

ヘルメットには耐用年数があるので、これもチェックをお忘れなく!
安全靴

つま先に材料が落ちて被災するケースは多々あります。安全靴は必ず着用すべきです。
長靴も安全長靴がありますし、ぜひ利用しましょう。
現在は、スニーカータイプなど見た目が良いものもたくさんあります。
見た目や格好で仕事をするというと違うかもしれませんが、“カッコ良さ”も大事だと考えます。
保護手袋
人間の肌は、敏感にいろいろな情報を受け取ることができる、いわば“与えられた賜物”です。
触手により材料の状態を確認する場合もあり、コンクリートや鉄筋、土砂など様々なものに触れる機会が多いですが、だからこそ保護手袋は必需品として考えましょう。
現場作業においては、手先のケガをする可能性が最も高いです。
安全管理
総じて、安全管理に完璧はありません。いくらやっても何かしら出てきます。
ヒューマンエラーという言葉があるように、人間はミスを犯す生き物だからです。
誰しも好んでミスをしようとしているわけではないですし、ミスしたくないのは当然のこと。
しかし、エラーは付きものなのです。どんな世界を例にとってみても必ずあります。完全には避けられません。
小さなミスが重なって大きな事故につながります。
そのために、安全管理は「完璧のない継続作業」として捉えておくべきです。
建設現場における労働時間の実情
建設業はものづくりの世界です。
ましてやリアルな現場作業という意味では、途中でストップが掛けられない場面が多くやってきます。
時間が超過するケースもある半面、段取りによっては早仕舞いになることもあるでしょう。
“工期”という期日の約束事があるため、時間配分の設定が重要ポイントになります。
ただ、裏を返せば期日内でのペース配分は現場に委ねられているので、その中なら融通が利くという利点もあるわけです。
労働面でブラック化するのは、工期に無理がある場合に起こります。これは確実にキツイです。
時間の制約。これはどの業界にも言えることであり、何かを提供するために避けては通れないものだと認識していれば、あらがうこともないでしょう。
ただ、時間と作業量が比例していないと必ずひずみは出ます。これが単純に問題なのです。
建設現場は「1現場が1店舗」
建設現場は、ひとつひとつが、1つのお店です。
店舗ごとに資本が投じられて、予算を組み、施工の計画を立て、準備作業を経て店舗(現場)の営業が始まります。
あなたが責任者であれば、その店舗のオーナーとして経営していくわけです。
さまざまな責任が付いてまわることにはなりますが、その分、やりがいも感じられます。
緊張感を持ってやりきった先には、自信と経験値が身に付くほか、自分をひと回り成長・前進させてくれるはずです。
苦しいことも、つらいときも、逃げ出したいときもあるのは必然です。
それでも場数を多く踏むことによって、やりがいと自信が爆上がりするのは間違いなしだと思います!
あらためて考える建設業の3K
『きつい・汚い・危険』の3Kに代わる、“新3K”というものが公表されています。
- 給料が良い
- 休暇が取れる
- 希望が持てる
個人的な見解としては、第1回でお伝えした『考える・感じる・気づく』という3K。
さらに、これによるリターンを考えた場合、『感謝される・感動できる・快感がある』という3Kもあるでしょう。
この後者の3Kを得られる業界でなければ、魅力も感じないのではないかと思うのです。
つまり、『給料が良い・休暇が取れる・希望が持てる』業界で、『考える・感じる・気づく』ことにより、『感謝される・感動できる・快感がある』仕事を。
“3Kに始まり6Kと成す”。結果は倍増すると考えています。
建設業は、人間の根底に存在する“ものづくり”という欲情、これをリアルに体感できる臨場感たっぷりのライブスペースだと感じています。
自分が長く続けてきた、そして続けてこられた要因は、ここにあります。
建設業も人手不足の課題を指摘されている現状は否めません。
労働環境が良くないというイメージや人気・不人気の面も言われています。
そうした現状を受け、オートメーション化が進むのは非常に歓迎すべきことだと思います。
ただ、個人的には疑問に感じる部分もあります。
これによって“職人”といわれる人たちの出番が減少し、技術も伝承されず、ものづくり本来の枠組みが狭小化することに危惧を感じるのです。
今後、業界の流れはどのようになっていくのか?
私ごときの一個人が伝えられることは、微々たるものかもしれません。
ですが、伝え続けていくことも使命だと自分に言い聞かせ、発信していきます!
作者紹介 りゅう坊さん
作者紹介 りゅう坊さん
