現場ノウハウ

第2回:何をやるにもベースが大事 ~現場作業の基礎となる測量【若手社員向け建設業界の豆知識】

一般論としてもよく語られることですが、何をやるにもすべては“ベース”が重要です。
ここで言うベースとは、基礎や土台の部分。

スポーツの場合でたとえると、野球においてはキャッチボールが基礎となります。まずここができていないとミスが起こる要因。プロであってもこれが基礎中の基礎なのは、いわずもがなです。

私たちがつくる構造物も同様であり、基礎がガチッとしていないともろく崩れる要因となるうえ、致命傷となってしまいます。

そう考えると、基礎をおろそかにしてしまうと、ものすごくデンジャラス!

何ごとにおいても、ベースに関しては慎重かつ絶対に手を抜かないこと。また、緊張感を持ちつつ向き合いましょう。

ただ、あまり神経質になるのはNG!肩にチカラを入れ過ぎないことです。

測ることが“基本のキ”

これを踏まえて今回は、建設現場における作業の基礎となる「測ること・測量」について深掘りしてみようと思います。

まず、測ることは納得できるまで何度でも繰り返しやっちゃえ!と強く言っておきたいです。なぜなら建設は、測ることなしではあり得ないワークだからです。

仮におろそかにしてしまい、求めるカタチにならなかったりするとどうなるか?

納品できなかったり、やり直しが発生したりします。そう、二度手間になると大きな損害です。時間、労力、そして予算の面で余分な出費になってしまいます。

測ることや確かめる作業を適当にやってしまうと、こういったケースに陥るので、気をつけたい大事な要素です。

測ることを当たり前にやる

意外に当たり前のことが当たり前にできないのが人間の特性。これも意識しておくことでエラーを回避できるはずです。

測量でいうと、測り間違いだってありますし、例外はなく誰にでも言える“あるある”なのです。
かくいう自分もこの“あるある”の経験は何度かあり、測ることに関しては結構痛い目に遭ってきました。

  • 測り忘れをしたために現場へ戻って再測定するケース
  • 図面と現場が一致しないため、再測量するケース
  • あきらかに測り間違いだと気づくケース

などなど。

こういった経験が実体験としてあるため、測量の際には慎重かつ正確に行うことをおすすめします。まずは測ることを大事にしましょう!

測る機材や道具いろいろ

測量に使用するものはたくさんあります。その中から今回は少し用語を紹介します。
題して「業界用語 測量編」!

3つピックアップしました。

1.スタッフ(箱尺)

「スタッフ」と聞くと、仕事や作業のメンバーのこと?と思われる方が多いのではと察します。私も新人のころは、そんな感じに思っていました。

スタッフは箱尺のこと。当たり前に呼んでますね。なぜスタッフと言うのか?明確な語源は定かではありませんが、通称になっています。

【スタッフ(箱尺)の豆知識】
アルミでつくられています。7m級のものもあり、高さの計測に便利ですが、高圧線などがあると感電の危険性に注意が必要です。

2.リボンロッド

これは、リボンのように巻き取れるところからきているようです。帯状のものさしですが、計測よりも写真撮影に使われます。

【リボンロッドの豆知識】
2m程度のショートサイズのものから50m級のものまであります。
長さのある構造物や残土の数量検収時の写真撮影に効力を発揮します。

3.野帳(やちょう)

水準測量の計測記録に便利な手帳です。記帳面が紙質のものと防水加工が施されたものがあります。

【野帳の豆知識】
屋外現場においては、防水用だと雨天でも記帳できるのでおすすめです。価格は少し高めになります。

若手技術者が初めて聞いたときの印象は?

今回は3つお伝えしました。それぞれについて、ある若手技術者に初めて耳にしたときの印象を質問してみました。
回答、見解はこちら。

▼スタッフ
若手「土木系の学科なので学校で教わりました」
自分「なんだぁ~、残念な回答」

▼リボンロッド
若手「なんですか?それ!リボン?」
自分「だよねぇ~、わかんないよねぇ~」

▼野帳
若手「野鳥のことかと思いました!文字をみせられたら全然違うものだということはピンときました。帳という文字から帳面のことかなと」
自分「おおっ!すばらしいですぅ!」

こんな感じの回答でしたが、あなたはどんな印象を持っていますか?

そのほか測量に関するものだけでもたくさんの業界用語があります。
一般の方に尋ねてみるとホントに「なにそれ?」「なんのこと?」と言われるものがいっぱいです。実際、私も知らないものだらけでした。

現場には学べること、知り得ることが超たくさんあるので、遠慮なくどんどん吸収しちゃいましょう。

基礎に関する3つの助言

基礎に関する大事な助言を3つお伝えします。

1.知らぬことを放置しない

ことわざに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というものがあります。
知ったかぶりは厳禁です。どんどん疑問は解消していくべきです。

2.疑問を持って、うのみにしない

いい意味で、差し出されたもの(例えば設計図書や仕様書)は本当に正確なものかどうか自分で確かめてみることが大事です。

3.確認することにやり過ぎはない

確認に遠慮することはありません。何度も何度も確認した方がいいです。確認不足はエラーの要因となります。

やっぱりベースが大事

測量の話に戻ると、今ではトータルステーションをはじめ、測量機器の進化は認めざるを得ません。
ですが、あくまで基本は巻尺などを使い、自分の目で確かめることが大切。これが原則であるといっても過言ではないのです。

精度が求められる重要なものやそのタイミングでは、機器と自分の目で確認。
一方、目安程度の場合に役立つのが歩測。自分の歩幅のことです。自分の一歩の歩幅が何cmであるか、あらかじめ知っておくと目安に使えます。

日本地図を初めてつくった伊能忠敬も歩測を使っていました。
多分に使える場面があるので、把握しておくと役立つ場合があるでしょう。

ヒューマンエラーという言葉がありますが、人間は間違える、そして忘れる生き物です。
これを自分の基礎部分に埋め込んでおくとエラーも少なくなります。

あらためて、何事も基礎が大事であり、加えてそのための準備、段取りが物を言います。

“何をやるにもベースが大事”

物事の根幹、しっかりした土台がないと、その上に積み上げるものも不安定となります。すべてはここがスタートであるのだと思います。

作者紹介 りゅう坊さん

作者紹介 りゅう坊さん

関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。

◆りゅう坊さんのブログ:DIYとWorkを簡単に! りゅう坊の楽楽ブログ

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