若手社員向け建設業界の豆知識_~経歴35年土木現場監督のあるある話~

コラム

第2回 何をやるにもベースが大事





基礎はホントに重要という話



ここで言うベース・・・基礎、土台の部分。すべてはベースが重要ということです。
一般論としても語られることがよくあるのも当然であり、何をやるにもベースありき。

たとえば、スポーツの場合でたとえると、野球はキャッチボールが基礎となります。
まずここができていないとミスが起こる要因。プロであってもこれが基礎中の基礎なのはいわずもがなです。

ボクたちのつくるものも同様であり、基礎がガチッとしてないともろく崩れる起因となるうえ致命傷となります。
そう考えると、基礎をおろそかにしてしまうと、ものすごくデンジャラス!

なので、ベースに関しては慎重かつ絶対に手を抜かないこと。また、緊張感を持ちつつ向き合いましょう。
ただ、あまり神経質になるのはNG!肩にチカラを入れ過ぎないことです。

さらに冒頭で書いたようにベースは他のすべてに共通する、ということでもあると言えます。


測ることが基本のキ



これを踏まえて今回は、建設現場における作業の基礎となる「測ること・測量」について
深掘りしてみようと思います。

測ることは、納得できるまで何度でも繰り返しやっちゃえ!と強く言っておきたいです。
なぜなら建設は、測ることなしではあり得ないワークだからです。

仮におろそかにして求めるカタチにならなかったりするとどうなるか?
納品できなかったり、やり直しという作業が発生します。そう、二度手間になると大きな損害です。
時間、労力、そして予算の面で余分な出費になってしまいます。

測ること、確かめる作業を適当にやってしまうと、こういったケースに陥るので気をつけたい大事なことです。

”測ることを当たり前にやる” 
意外に当たり前のことが当たり前にできないのが人間の特性。
これも意識しておくことでエラーを回避できるはずです。
測り間違いだってありますし、例外でなく、誰にでも言えることからアルアルなのです。

かく言う、そんな自分もあるあるが何度かあり、測ることに関しては、結構痛い目に遭ってきました。

・測り忘れをしたために現場にもどって再測定するケース
・図面と現場が一致しないため、再測量をするケース
・あきらかに測り間違いだと気づくケース などなど

経験から実感としてあるため、慎重に且つ正確に測ることを進言します。

まずは、測ることを大事にしましょう!


測る機材や道具いろいろ



測量に使用するものはたくさんあります。その中から今回は少し用語を紹介します。
題して「業界用語 測量編」

3つピックアップしました。
1.スタッフ(箱尺)
2.リボンロッド
3.野帳(レベルブック)


1.スタッフ



「スタッフ」と聞くと仕事や作業のメンバーのこと?とおもわれる方が多いのではと察します。
ボクも入社した頃は、そんな感じを持っていて、なぜスタッフと言うのか?
未だわかりませんが、今じゃ通称になっているようです。
スタッフ=箱尺、あたりまえに呼んでますね。明確な語源の由来は定かではありません。

スタッフ(箱尺)の豆知識
アルミでつくられています。
7メートル級のものもあり、高さの計測に便利ですが、高圧線などがあると感電の危険性に注意が必要です。


2.リボンロッド



これは、リボンのように巻き取れるところからきているようです。
帯状のものさしですが、計測よりも写真撮影に使われます。

リボンロッドの豆知識
2メートル程度のショートサイズのものから50メートル級のものまであります。
長さのある構造物や残土の数量検収時の写真撮影に効力を発揮します。


3.野帳(やちょう)



水準測量の計測記録に便利な手帳です。記帳面が紙質のものと防水加工が施されたものがあります。

野帳の豆知識
屋外現場においては、防水用だと雨天でも記帳できるのでおすすめです。価格は少し高めになります。


今回は、3つお伝えしました。
それぞれについてなんですが、ある若手技術者の方に初めて耳にしたときの印象を質問してみました。
回答、見解はこちら。


【スタッフ】
若手技術者「土木系の学科なので学校で教わりました」
ボク「なんだぁ~、残念な回答」

【リボンロッド】
若手技術者「なんですか?それ!リボン?」
ボク「だよねぇ~わかんないよねぇ~」

【野帳】
若手技術者「野鳥のことかと思いました!文字をみせられたら全然違うものだということはピンときました。帳という文字から帳面のことかなと」
ボク「おおっ!すばらしいですぅ!」


こんな感じの回答をいただきましたが、あなたはどんな印象をもっていますか?

そのほか測量に関するものだけでもたくさんの業界用語があります。
事実、一般の方に尋ねてみるとホントに「なにそれ?なんのこと?」と言われるものがいっぱいです。
実際、ボクも知らないものだらけでした。

なので、学べること、知り得ることが超たくさんあるので遠慮なくどんどん吸収しちゃいましょう。


基礎と成り得る助言3つ



助言を3つお伝えします。

1.知らぬことを放置しない
ことわざに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というものがあります。
知ったかぶりは厳禁です。どんどん疑問は解消していくべきです。

2.疑問を持って鵜呑みにしない
いい意味で差し出されたもの(例えば設計図書や仕様書)は本当に正確なものかどうか自分で確かめてみることです。

3.確認することにやり過ぎはない
確認に遠慮することはありません。何度も何度も確認した方がいいです。確認不足はエラーの要因となります。

これらの視点を持っていると、ベースを固めるにも作業を進めるにも強固な姿勢がとれます。


やっぱりベースが大事



最後に測量の話にもどります。

今じゃトータルステーションを始め測量機器の進化は、認めざるを得ません。
ですが、あくまで基本は巻尺などを使い、自分の目で確かめることが大切。
これが原則であると言っても過言ではないのです。

精度が求められる重要なものやそのタイミングでは、機器と自分の目で確認。
一方、目安程度の場合に役立つのが歩測、自分の歩幅のことです。
自分の一歩の歩幅が何センチであるか、あらかじめ知っておくと目安に使えます。

日本地図を初めてつくった、伊能忠敬さんも歩測を使っていました。
多分に使える場面があるので把握しておくと役立つ場合があります。

ヒューマンエラーということばがありますが、人間は間違える、そして忘れる生き物です。
これを自分の基礎部分に埋め込んでおくとエラーも少なくなります。

あらためて何事も基礎が大事であり、加えてそのための準備、段取りが物を言います。

”何をやるにもベースが大事”

物事の根幹、しっかりした土台がないと、その上に積み上げるものも不安定となります。すべてはここがスタートであるのだと思います。



◆作者紹介 りゅう坊さん
関西在住。1級土木施工管理技士。中堅ゼネコンで土木工事現場監督35年の経歴を持つ。
現在も請負で施工管理業務のほか土木建設工事のお悩み相談、管理書類の作成補助を行うなど、趣味のDIYと合わせて人生を謳歌中。自身のブログ『りゅう坊の楽楽ブログ』では、サラリーマン時代の経験をもとに人生、人間関係について考察中。また、ウッドデッキのつくり方やネットビジネスの始め方などの無形商品(コンテンツ)の作成・販売にも対応している。

りゅう坊さんのブログ   DIYとWorkを簡単に! りゅう坊の楽楽ブログ

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