不動産営業が混乱する道路の話

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不動産営業が混乱する道路の話

【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】



昔、建築指導課で働いていた時によく来るお客さんが不動産営業の方でした。○○ハウスや○○不動産など、設計事務所からの相談を1とすると大体5から6くらいがそういった不動産営業の人です。当然、建築については素人であるため、色々と説明に苦労したのを覚えています。

そんな人たちが一番最初につまづくのが「道路」の話。みなさんは「道路」ってなんだか知っていますか?



実は建築基準法では「道路」について定められています。この建築基準法の「道路」と言うのがポイントで、普段何気なく歩いている道も実は「道路」ではない場合があるのです。
まず建築基準法では「道路」は幅員4m以上のものと定められています。しかも次の五つのどれかに該当する幅員4m以上のものです。

一つ目は道路法による道路。こちらは国道、都道、市道などと言ってもよいでしょう。
二つ目は都市計画法などによる道路。道路法以外の法律によるものということですが、都市計画法の開発行為により造った道路が多いです。
三つ目は建築基準法が出来たときにすでに存在した道。こちらも珍しいです。
四つ目が2年以内に事業執行される予定の道。主に都市計画道路などが該当しますが、2年以内に事業執行の予定があるものに限られます。
五つ目が位置指定道路。こちらは一般の人が自分で作ることができる道です。
この五つの条件に合致し、しかも幅員4m以上のものが「道路」なんです。

さらに、2項道路と言われる、建築基準法が出来たときに建物が立ち並んでいて4m無い道も「道路」とされています。この二項道路は「道路」の基準である幅4mを満たすために、建物を建てる際にセットバックが必要になる道です。

非常に分かりにくいですよね。しかし建築基準法では建物を建てる際に「道路」に接することが条件とされています。そのため、「道路」か「道路」ではないただの道や通路なのかは非常に重要になってくるんです。(もし自宅の前の道が「道路」では無かったら建て替え時には道路を造るか特例の許認可が必要になります)

「道路」に接している土地しか原則建物を建てることはできないので、「道路」に接しているかどうかで資産価値も変わってきます。当然、不動産営業にとっては重要な問題となるわけです。しかし、「道路」の基準は複雑で、現地を見ただけでは「道路」かそうでないかはほとんどわからないので苦労するんですね。

一般の人には意外と知られていない「道路」の話。あなたが普段歩いている道は「道路」ですか?



今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】

独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す

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