グルメ司法書士・梅先生のチョコっと舌鼓と司法相談アルアル【第7回】

司法書士コラム

グルメ司法書士・梅先生の
チョコっと舌鼓と司法相談アルアル




司法書士、梅本先生による連載第2弾。
東京都内のランチが美味しいお店を紹介しながら身近な司法書士への相談アルアルを会話形式でやさしく解説していただきます。

今日のランチの舞台は「ふぐ」専門の名店「浅草 三浦屋」。創業は昭和38年。コース料理はなく、好きな料理を好きな量で頂けます。四季を通して特別なフグの味を手軽な大衆価格で頂けるお店です。

いつも最後は夢心地の梅先生。土曜日のランチタイム。果たしてどんなお話になるのか。 お楽しみに!




・梅先生
梅先生新宿区四谷で業歴約30年の司法書士
趣味は、神輿担ぎと草野球。どちらも終われば潰れるまでの酒盛り
お酒が大好きだけど、呑むと直ぐに寝てしまう、昭和生れの頑固オジサン

・ノリスケ君
梅先生の執筆を担当して3年目の編集者
自称グルメの大食漢。守備範囲は和洋中のオールマイティー



今日のメニュー
親こそ知っておきたい相続話 あなたの秘密を相続財産にしますか?」(前編)



今日の舞台 ~浅草 三浦屋~

① 相続人を探せ。突然、兄弟姉妹が増えた?

② 相続財産は宝探しではない。財産を秘密にしていると、徳川埋蔵金になります(※ 後編で解説)


③ 相続財産の分け方は、親が子供にする最期の教育だと思いませんか(※ 後編で解説)

ピンポーン!


こんにちは、先生!先日もごちそうさまでした。




ノリスケ君は元気だね。この前のお店も美味しかったよ。料理が抜群に美味しいおかげもあるけど、やっぱりお昼から呑める土曜日のお酒は格別の味だね。ノリスケ君のおかげで癖になっちゃったよ(笑)
今日はどこに連れてってくれるんだい?




いきなりランチ酒の話ですか!まるで、土曜日のたびに僕がお酒を飲みに来ているみたいな言い方じゃないですか~




ゴメンゴメン、そんなにフグみたいに膨れっ面をしないでくれよ。君には感謝しているんだからさ。ところで今日はどうしたんだい?




実は、先日、友人のお父さんが亡くなったんです。
僕も子供の頃からとてもお世話になっていて、普段は元気なお父さんだったのに、突然に亡くなったんですよ。




それは、お気の毒でしたね。
突然なら、ご本人はもちろん、ご家族も予定していないだろうから、本当にビックリしただろうね。しかも、お亡くなりになった後も手続がいろいろと大変だったでしょう。




そうなんです。友人も、何をどうして良いのか分からなくて、かなり困ったそうなんです。




そうだろうね。普段から元気な方だったら、ご自分が亡くなって相続になる事は考えていないだろうし、家族も言い出しにくい話だから事前準備をしていないだろうしね。




今回の友人の話を聞いて、僕も考えちゃいました。
子供のためにも、親は元気なうちから相続の意識をしておいた方が良いですよね。




そうだね。老齢の病気に限らず感染症もあるし、想定外の交通事故があるからいつ何があるかわからない世の中だからね。




そこで、今日は相続の話を聞かせてもらえませんか?




そうだね。でも相続の話は、たくさんの本がでているから知識はあるよね。
だから知識の整理も兼ねて、少し視点を変えて、親の立場から「親のための相続」を考えてみようか。




子供のために相続の準備をするという話はよく聞きますけど、親自身のための相続の準備とは面白そうですね。ぜひお願いします。




今日もちょうど、お昼ご飯の時間だね。ノリスケ君、今日も美味しいお店を紹介してよ。そこで話をしないかい?




待ってました!さっき、先生からフグみたいに膨れるな、と言われた時から、フグを食べたいなぁ~と思っていたんです。
浅草に美味しい「フグ」のお店があるんですよ。創業は昭和38年で大衆価格でフグを楽しめるお店なんです。ぜひ、一度は食べておきたいですよね。



今日の舞台 ~浅草 三浦屋~



浅草 三浦屋 (東京都台東区浅草2-19-9 つくばエクスプレス浅草駅から徒歩約2分)
国際通りを西浅草三丁目交差点方面、交差点の手前を花やしき方向に入って、お店の前にあるお神輿が目印。浅草三浦屋さんです。

都営浅草線の田原町を降りて、国際通りを千束の五差路方面にまっすぐ、ビューホテルまで進んだところで花屋敷方向の右へ曲がって、最初の路地を振り返ると、ビルの上に「三浦屋」の看板が見えます。

ビルの下には、見事なお神輿が飾られています。そのお神輿の正面にお店の入り口があります。まさに浅草、三社祭を感じさせてくれる店構えです。



何度も浅草千和町会でお神輿を担がせてもらいましたが、三浦屋さんにお邪魔するのは初めて。とても嬉しい。セイヤ!ソイヤ!と声をかけながら、いざ、お店の中へ。



田原町を降りて国際通りを歩いていると右の方に東京スカイツリーが見えてきます。世代的な感覚だと思うのですけど、僕はすぐにはスカイツリーの名前を思い出せなくて、つい、東京タワーの弟分と言ってしまいます。




あはは、実は僕も業平橋駅で降りればすぐだよ、と言ってしまうんだ(笑)。駅名が、とうきょうスカイツリー駅に変わったらしいね。なかなか覚えられないんだよ。




店先のケースではフグが泳いでいますね。ランチ時に予約なしで伺いましたが、2階もあるお店なので待つこともなく入れました。1階は畳座敷で2階はテーブル席でした。入口にお店の女性がいて、「ご予約はありますか」と聞かれました。予約はしていませんと答えたら、2階に案内されました。予約していなくても大丈夫みたいです。


2階入り口にある大皿。直径は1メートルくらいありそうです。何人前のふぐ刺しが盛れるのでしょう?割れたら大変なことになりそうだから、皿に触れないように緊張しながら入りました。


2階の壁には江戸情緒がたっぷり、和洋のお酒が沢山並んでいました。でも私の狙いはヒレ酒ですから。




運よく待たずには入れたね。さあ楽しみだ。何を食べようか。




お任せください。まずは、やっぱりお酒ですよね。「ヒレ酒」ですよね。




嬉しいね~。




今では珍しくなったマッチで火をつけて、アルコールを飛ばします。自分でやると難しいですね。少しだけ炎が上がりました。昔ながらのオリジナルマッチが嬉しいです。






ヒレ酒は、やっぱり香りが良いね。座席の周りがヒレ酒の香ばしい香りに包まれて幸せな気分になるね。すぐにでも酒も欲しくなるね。




フグ刺しは綺麗だね。もったいないから1枚ずつ食べよう。今日は、贅沢に2枚取りも許されるかな?お酒がすすんじゃいますね。




今日は、フグのタタキとフグの霜降りとトラフグの白子焼きも頼んでみましょう。かなりの豪華版ランチになりますね。



  
フグのタタキはポン酢で頂きました。フグ刺しの肉厚版みたいです。歯ごたえが、いかにもフグ食べてます感が倍増されて嬉しい限りです。
フグの霜降りは、柔らかくて肉厚感もあって抜群に美味しいです。タレの味噌?が刺激的で、ミョウガと合わせて頂くとますますお酒が欲しくなります。



すみませ~ん。つぎ酒をお願いします。




つぎ酒を頂きながら、トラフグの白子焼きです。
トラフグの白子焼きは、想像通りのトロトロ感。熱いうちにぜひ食べて!説明がいらないくらいの美味さ。こんなに美味しくて、僕の痛風は大丈夫かなぁ~(笑)



ノリスケ君、かなり良い気分になって来たよ。話をしなくて大丈夫なのかい?




それは困ります。つぎの料理はいよいよフグ鍋ですけど、先に話をして頂けませんか。




そうだね。お酒が美味しくて忘れていたよ。



①相続人を探せ。突然、兄弟姉妹が増えた?




親であるご自分が亡くなったら、自分の相続のために誰が何をどうするのか、相続の作業を知っていますか?



ご自分の親の相続手続を取り仕切られた事があれば、ご存知かもしれませんね。でも、親の相続の時は混乱していた記憶ばかりで、少し落ち着いたのは3回忌法要が過ぎたころだった、という方が多いのではないでしょうか。



自分が亡くなった後の作業は考えた事もないですね。




それを知っておかないと、ご自分が亡くなった後から、生前に隠していた秘密がポロッと出て来て、赤面しちゃう事態にもなりかねないんだ。だから、事前対策をしておいた方が良いよね。




お墓の下で赤面ですか?




お墓の下でも、ほんのり赤くなるんだよ。

相続の作業は、
① 相続人の確定作業
② 相続財産の確定作業
③ 相続財産の承継作業 になります。




3段階に分けて考えれば良いのですね。



相続人の確定作業




その通り。さて、第1は相続人の確定作業だね。
最初に誰が相続人なのかを探しだして確定しておかないと、これから誰と話を進めて行けば良いのかが決まらないからね。




それは戸籍謄本を見ればわかりますよね。




ただし、単純に「見る」のではなく、記載事項を「読む」事が必要なんだよ。




記載事項を読むとはどういう事ですか?




相続の時に必要になる戸籍謄本等は、その人の死亡時から出生時まで遡って全部を集める必要があるんだ。




入学や就職の時に使う時は、現在の戸籍謄本だけで足りる事が多いですよね。なぜ、古い戸籍まで遡って集める必要があるのですか?




その理由は、亡くなった人の法律上の相続権を持つ全員の人を知るためなんだよ。




現在の戸籍謄本だけではわからないのですか?




実は、現在の戸籍謄本だけでは、わからないのだよ。


戸籍が新しくなると、古い事項は原則として転記しないのです。

例えば、結婚して新しく戸籍ができると、結婚によってお父さんの戸籍から出て行きますが、お父さんの戸籍に書いてある事は、新しい戸籍には原則として転記されません。

例えば、認知した子供がいる場合でも現在戸籍には出てこないけど、認知された子供には相続権がありますよね。


そうすると、現在戸籍に書いていないからと言って、それが全部ではないという事ですね。




そうだね。例えば、最近の戸籍の多くはコンピュータ文字で横書きになっているでしょ。それは、古い戸籍がコンピュータ化されて改正されたからなんだよ。



横書きの戸籍謄本には、コンピュータ化以降の記事だけが記載されているという事なのです。したがって、コンピュータ化以前の記事は、コンピューターによる改正原戸籍をとらないと書いていないのです。

そこで、昔の事が書いてある「改正原戸籍」や「除籍謄本」を取得しなくてはならないのですが、そのためには、1通ずつ記事を丁寧に「読む」作業が必要で、読むことで1つ前の管轄役所を探し出して、そこに戸籍謄本等を請求をする事を繰り返さなくてはならないのです。






昔のミミズが這ったみたいな筆文字を「読む」わけですね。中にはまだ江戸時代の記載もあるでしょうから大変ですよね。




しかも手書きだから個性が出るのでとても読みにくいね。



そして、戸籍にも種類があると言った通り、戸籍謄本等にはそこに書かれている事項には期間の限界があります。

1通の戸籍等謄本等を読む時には、まず、○年○月○日~●年●月●日の間の記載であるかを読んで明確にしなくてはなりません。その期間から外れる古い事項は、その前の除籍謄本等に記載されてあって、次の戸籍には転記されないシステムだからなのです。

だから、その期間に生まれた子供の記事は書いてあっても、子供が結婚して除籍されると、次の戸籍謄本には結婚して除かれた子供の記事は記載されていないのです。



全部の戸籍謄本等を読むことで、相続人が誰であるかが確定されるわけですね。結婚・離婚・縁組はもちろん、引越をするたびに転籍をする人も多いでしょうから、全部の戸籍謄本を集める作業は重労働ですね。




そうだね。その都度、管轄の役所が変わるから、時間も費用も手間もかかる作業だね。戸籍謄本等を集めてみて、今わかっている人だけが相続人なら問題はないのだけど、戸籍謄本を集めてみたら、「え~!兄弟姉妹が他にもいたの?」という事態もあるんだ。




再婚している場合もあるし、認知している子供がいる場合もありますよね。それは最新の戸籍謄本には記載されていない事も多い、という事ですね。




一番大事な「誰が相続人か」を調べるために戸籍謄本を集めていたら、突然に、兄弟姉妹が増えてビックリする事もあるんだよ。



僕が実際に経験した事例では、
・ご主人に認知した婚外子がいたけど、配偶者に秘密にしていた
・先妻との間に生まれた子供の親権者を前妻にして離婚した後、再婚して子供に恵まれたけど、子供達には説明をしていなかった
・独身の時に子供をもうけたけど、生活力がなくてその子供を養子にした後、婚姻して子供に恵まれたが子供達には説明をしていなかった など

もちろん、やむを得ない事情があっての事なのでしょう。
ただ残された家族としては、ご葬儀を終わらせてからその事実を知る事が多いので、結局ご葬儀の連絡をしていない、そもそも後からでも連絡した方が良いのか、いずれは連絡をしないと相続手続ができないし…と大混乱になるのです。

認知された子供や先に生まれた子供側からすれば、親と離れた事情は分からないかもしれないけど、自分のルーツを知ることは相続権云々以前に知りたい事かもしれないので、問題を難しくしますよね。

昔の民法には、相続分について「半血の子供は全血の子供の半分とする」という規定もあったのですが、今は法改正がされて平等になっています。感情的な部分も入って、難しい問題を残すことになりますよね。



難しい微妙な問題があるんですね。




親としては、自分に別に子供がいるという事実は、自分が墓の下にまで持って行く秘密にしたつもりでも、相続財産と一緒に必ず明るみに出るのだ、という事を知っておかなくちゃならないよね。




どうしたら良いのですか?




もちろん難しい話だけど、親としては自分のためにも、早めにご家族に説明しておく事が一番、としか言いようがないね。話しづらいでしょうが、その秘密にできるのは生きている間だけの事で、亡くなった後はトラブルになるのだからね。




相続人の確定の問題は、トラブルにならないように、親が元気な内に自身の力で解決をした方が良いという事ですね。





前編はここまで!

後編では、親のための相続対策についてさらに深掘りして解説していきます。フグ鍋の紹介もあります!お楽しみに!

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