建築士が街を歩く①

コラム

建築士が街を歩く①

【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】



建築士仲間や建築学生時代の友人には街歩きが好きな人が多い。私も街歩きは好きで、旅先などでは海外・国内を問わず電車2駅分くらい歩いたりもする。
建築士がなぜ街歩きを好きなのかは置いておいて、どういった点に着目しながら街を歩いているのか紹介していきたい。



台湾の都市部は、落ち着いた雰囲気の街並み

まず、街歩きで印象に残っている台湾について話したい。

私が行ったのは台北周辺であるが、印象的だったのが日本に似ていること。台湾の直前に香港、バンコクとアジアの各都市を回っていたこともあり、これらに比較して台北市はまるで日本の都心部を歩いているような印象を受けた。
それもそのはずで台湾は日本統治時代の1936年に「台湾都市計画令」を日本の当時の建築基準法である「市街地建築物法」に習い制定している。
その後のインフラ整備も統治していた日本が主導で勧めたこともあり日本的な街並みが形成されているのだ。

日本の建物と同じように、道路に面して建物が整然と建てられ、高さ制限により隣接する建物と高さが揃っている様は規則正しい日本の街並みに近いと感じた。実際にどういった規制があるのか、詳細は調べていないが台湾の都市部の街並みは非常に落ち着く。


隣接する建物に「境界がない」不思議

逆に街を歩いていて気になった点もある。アジアの都市部では非常に多く見られたが隣接する建物との境界がない点だ。
これはイタリアなどのヨーロッパの街にもある。

日本の場合は、どんなに建物が密集していても隣の建物との間には隙間がある。隣接する建物と建物の距離(隣棟間という)がまったく隙間ないように建てられている。これにより通りを歩いていると切れ間なく商店が続き、歩行者を飽きさせない魅力的なストリートだと感じたが、防火性や防音性など心配になる点も多い。

アジアの都市では実は隣接する建物と建物の間に隙間はあるが、表通りからは見えないように目隠し壁で隠していることがあったが、地震の心配が少ないヨーロッパの場合は、隣接する建物同士をくっつけて造っていると聞いたこともある。構造的にどうなっているのか興味があるところだ。


海外に多い「広場」。コミュニケーション醸成にも一役

海外の街歩きで非常に面白いのが広場だ。特にヨーロッパに多いが、街の至るところに広場がある。
道を作り道に沿って建物を立ててきた日本では広場の文化は無い。だがヨーロッパでは広場こそが街の中心となっている。そこではイベントが行われていたり、人々が足を止めて歓談したり、子どもたちが遊んでいたりする。道の交点であり日本の公園ともまた違う独特の空間。

ちなみに、ニューヨークではこの広場を意図的に作り出そうと計画し、格子状に道を作り、そこに斜めの道を一本通し、それぞれの交点を広場(スクエア)として名付けた。一番有名なのはタイムズスクエアだろう。これはこれで面白い空間となっている。


今回は海外の街を歩いた時に感じたことを雑筆ながら記したが、建築士がどういった点に注目しながら街を歩いているのか少しはわかってもらえただろうか。機会があれば、国内の街歩きなども紹介できればと思う。



今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】

独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す

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