令和4年度税制改正

税理士コラム

〈目次〉
税制改正の流れ
改正のポイント
 1.所得拡大促進税制の拡充(減税)
 2.住宅ローン控除(増税)
前回の事業復活支援金の補足


税制改正の流れ

 毎年税制改正が行われます。流れとしましては、12月に税制改正大綱が出され、何もなければ翌3月の通常国会で決議されて4月から施行という流れになります。

 昨年の年末頃から税制改正の情報をちらほら聞いている方もいらっしゃると思いますが、正確にはまだ確定していません。基本的にはほぼ今度の3月の通常国会で決まりますが、よっぽどのことがない限りは税制改正大綱の通りに決まります。
 以前、自民党政権と民主党政権が衆議院と参議院で過半数が逆転していた、ねじれ国会というのがあったかと思います。この時は3月の通常国会で可決せず、ダラダラと税制改正が伸びて税が複雑になってしまったことがあります。
 現在は自民党政権が過半数を占めているので、可決されないことはないでしょう。

 ということで、昨年の12月に出された税制改正大綱のうち主なポイントとなる新しい税制についてのお話をしたいと思います。

 実は今回の税制改正ははっきり言って目玉となるものがないというか、あまり面白味のない改正案だったなという印象でした。
 その中でも、ポイントとなる2つの改正について解説をします。



改正のポイント

1.所得拡大促進税制の拡充(減税)

 これは第一回のコラムでもお話ししましたが、節税対策としてはとても良い制度です。
 従業員の給料が前年比で一定割合アップしていれば、その分税額控除(法人税から一定額引ける)ができるというものでした。
 今回の改正内容としては、大法人については継続雇用者の給与等支給額が前年度比で4%以上増加し、かつ教育訓練費が前年度比で20%以上増加していれば、雇用者給与等支給額の増加額の最大30%が税額控除できることになります。
 また、中小企業については、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加し、教育訓練費が前年度比で10%以上増加していれば、雇用者給与等支給額の増加額の最大40%が税額控除されるというものです。
 ただし、法人税額の20%までが控除の限度となります。
 アベノミクスから引き続き賃上げはしていきましょうという流れは変わらないようです。

・リーフレット(経済産業省HP)
chinagesokushinzeisei20220114.pdf (meti.go.jp)


2、住宅ローン控除(増税)

 住宅ローン控除とは、10年以上ローンを組んで住宅を取得した場合等、年度末の住宅ローン残高の1%を所得税から控除できるという制度です。
 なお令和3年中に一般の住宅を購入して入居した場合のローン控除は、10年間は年末の借入残高の1%が控除(最大40万円)されるのと11年目から13年目は年末の借入残高の1%と建物購入価格×2%÷3のいずれか少ない方を控除となっており、13年間控除ができます。今までは10年間の控除が一般的でしたが、消費税の増税やコロナの影響などにより3年間延長して13年間となっております。
 これが令和4年の改正では、下記のとおり控除率が0.7%、借入限度額が3,000万円、2,000万円と下がっているので、要するにそれぞれ控除額が最大210,000円、140,000円と大幅に下がってしまったのと、令和6年、7年居住にいたっては控除期間が元の10年となってしまいました。大幅な増税ですね。

居住年 借入限度額 控除率 控除期間
令和4年・5年 3,000万円 0.7% 13年
令和6年・7年 2,000万円 10年

 理由としては借入の金利が年々下がっていて利息の負担が軽くなっていることが理由とされています。ローン控除の割合が下がってしまったから住宅を買うのを辞めようという方はいないとは思いますが、やはり所得税の負担が少しでも増えてしまうことは、消費者にとっては良くないことです。
 あと所得要件として、所得が3,000万円を超える方はローン控除を受けられなかったのですが、この要件が2,000万円を超える方は対象外と、適用を受けられる方の対象も狭まってしまいました。コロナ禍の現在ですが、これから経済を立て直していかなくてはいけないというこの時期に、実質的な増税をするということは歓迎できないですね。

 その他には住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直しや、5G導入促進税制の見直しなど細かな改正はありますが、今回はこの2つだけを取り上げました。



前回の事業復活支援金の補足

 前回事業復活支援金のお話をしましたが、1月下旬に細かな要綱がでましたので、その補足を最後に行います。

 事業復活支援金の対象者は従前の情報によりますと、コロナの影響を受けた全ての事業者が対象ということでした。ですが、今回も一時支援金や月次支援金と同様に、それなりにコロナの影響を受けた理由が必要で、場合によってはその裏付けとなる資料の提出を求められることがあるとされています。
 コロナの影響を受ける場合とはこのような場合ですという事例があげられているのですが、また今回もあやふやな基準で給付を受けられる、受けられないの問題は続きそうです。
 その他基本的な計算方法は当初の予定通りですが、申請の方法はg-bizというシステムが使われるという前情報でしたが、蓋を開けてみると、一時支援金や月次支援金と同様の申請の方法でした。申請IDなどもそのまま引き継がれるようです。
 申請期間は令和4年1月31日から5月31日までとなっておりますので、申請できる方は是非申請を行ってみてください。

・詳細資料(経済産業省HP)
summary.pdf (meti.go.jp)

・リーフレット(経済産業省HP)
leaflet.pdf (meti.go.jp)

・給付規定(経済産業省HP)
kyufukitei.pdf (meti.go.jp)

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