あなたの家には雪止めがありますか?
あなたの家には雪止めがありますか?
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
冬も本番となり寒い日が続きますが、2月3月は雪が降る日も多くなります。雪が降ると路面凍結や鉄道の遅延などが生じて困ってしまいますが、住宅などの建物に与える影響も大きいので注意が必要です。
以前紹介した水道管の凍結や結露などのほかに、最も注意しないといけないのが屋根に降り積もる雪。
水分を多く含んだ雪は非常に重く、まとまった積雪で屋根に雪が積もった場合、かなりの重さが屋根に掛かります。
建築基準法では雪が積もることによる重さ、積雪荷重は1cmの積雪で20N/㎡となっています。
これは、1cmの積雪が1㎡の屋根に積もった場合、2kgの重さという計算です。
10m×10mの屋根であれば100㎡ですので、積雪1cmで合計200kgの重さが屋根に係ることになります。10cm積もれば2,000kgにもなりますので、馬鹿にできませんね。
屋根に積もった雪がかなりの重さになることはわかっていただけたと思いますが、住宅の積雪対策として「雪止め」というものがあります。これは、金属製の金具で、屋根に積もった雪が下に落ちないように引っ掛ける役割があります。
昔からある雪対策ですが、なぜ重たい雪を落とさないようにしないといけないのでしょうか?
簡単に言ってしまうと雪止めが必要な理由は「自分の建物を守るため」と「周りに迷惑を掛けないため」です。
自宅の屋根をよく見てみると、屋根の下に樋があると思います。雨水を適切に排水する樋ですが、雪の重さには耐えられません。
また、屋根の軒下にカーポートなどもありませんか? 屋根の雪が下に落下してカーポートやウッドデッキなどを破壊してしまう事故は非常に多いです。
他にもエアコンの室外機や給湯機などが軒下にあると雪が落下すると危険ですね。
また、お隣さんとの距離が近い場合は、隣家に雪を落とさないためにも雪止めが必要でしょう。隣の家から雪が流れ込んできたら近隣トラブルに発展してしまう可能性もあります。
こういったトラブルを防ぐために雪を不用意に下に落とさないように設けるのが雪止めなんです。
以前は積雪の少ない関東地方以南では珍しかったのですが、最近は年に1度か2度は雪が降ることも多く、隣地との間隔も狭い都心部では設置する家が増えています。
ただし、豪雪地帯では前述したように雪の重みがすごいことになるので、豪雪地帯では雪止めは設けないのが一般的です。
お住いの地域を確認して、雪が降る前に自宅の雪止めについて確認してみましょう。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す