事業復活支援金について

税理士コラム

今回も節税という観点ではないですが、コロナ禍でもらえる補助金についてのお話をしたいと思います。
今まで営業時短協力金、家賃支援補助金、一時支援金、月次支援金など様々な補助金や助成金等がありました。岸田内閣に代わってから新たな政策として事業復活支援金というものができました。今回はその支援金についてお話ししたいと思います。


事業復活支援金の概要

 まずこの支援金の制度は「2022年3月までの見通しをたてられるよう、コロナ禍で大きな影響を受ける事業者に、地域・業種問わず、固定費負担の支援として、5カ月分の売上高減少額を基準に算定した額を一括給付します。」という趣旨となっております。
今回も一定期間の売上を比較して、要件を満たせば法人では最大250万円、個人事業主は最大50万円支給されるというものです。

 そして事業復活支援金の最大の特徴は、地域や業種を問わず、固定費負担の支援として支給するということですので、ここはとても大きいと思います。
以前にもコラムで書いたことはありますが、一時支援金や月次支援金の申請対象者は、コロナの影響を受けた一定の事業者でした。この対象者がいったい誰なのか、誰がどう巡り巡ってコロナの影響を受けたのか、とても証明が難しいものでした。審査側もとてもこの点は苦労されたと思います。

 実際私のクライアントでも、月次支援金を申請して、どの月も売上の基準は満たしているのに、この月は支給されたのにこの月は対象でないので不支給、とされたりしました。審査する人によって、この法人はコロナの影響を受けたから対象だ、ある人は対象ではないという判断となってしまうので本来こんな事はあってはいけないですよね。
そのあたりの煩雑さや公平さを求めたのか、事業復活支援金は地域や業種を問わず、売上の基準を満たしたら支給されることになりました。
これは申請側も審査側もシンプルでわかりやすくて嬉しい基準かと思います。



対象者

 「新型コロナの影響で2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上または30%~50%減少した事業者」が給付の対象となります。

 今回の判定のポイントは、2021年11月~2022年3月の売上高と任意の同じ月の3年間の売上高をそれぞれ判定できるということです。
今までの支援金は基本的に2年間が判定の対象でしたが、更にもう一年さかのぼって判定できるということになりますので、給付される可能性が広がったことになります。

判定についての簡単な事例をあげますと、
 ・2021年12月の売上  80万円
 ・2020年12月の売上 150万円
 ・2019年12月の売上 200万円
 ・2018年12月の売上 180万円
としますと、2021年と2019年を比較し200万円×50%=100万円≧80万円 ∴50%以上減少なので給付の対象ということになります。



給付額について

 給付額は、法人・個人、売上高の減少額、年間の売上高に応じて金額が変わりますが、それぞれの上限額は次の図の通りとなっております。

売上減少率 個人 法人
年間売上高
1億円以下
年間売上高
1億円超~5億円
年間売上高
5億円超
▲50%以上 50万円 100万円 150万円 250万円
▲30%~50% 30万円 60万円 900万円 150万円

※ 基準月(2018年11月~2021年3月の間で売上高の比較に用いた月)を含む事業年度の年間売上高

 売上高の減少率は先ほどの判定で行いました。年間の売上高についてはどのように算定するのかが少し難しいですが、先ほどの例で2019年12月を判定月としました。例えばこの会社が3月決算だとしますと、この判定月を含む事業年度の売上高が1億円以下なのか、5億円以下なのか判定することになります。つまり、この場合は2019年4月から2020年3月の事業年度の年間の売上高をつかって判定することになります。

 なお、個人事業主については、売上高に応じて給付額が変動することはないので、50%以上や30%以上の減少をしていれば、一律50万円、30万円の支給となります。

 では次に算出式ですが、上記で定めた上限を超えない範囲で、下記の計算によります。

 給付額 = (基準期間※1の売上高) - (対象月※2の売上高) ×5 

※1 2018年11月~2019年3月、2019年11月~2020年3月、2020年11月~2021年3月のいずれかの期間のうち、売上高の比較に用いた月を含む期間
※2 2021年11月~2022年3月のいずれかの月

 少々ややこしくなってしまうのですが、上限額の判定で用いた基準の売上高は年間ベースでしたが、給付額の算定では判定基準で用いた年の11月から翌3月までの5カ月分の売上高がベースとなります。その金額と、最初に判定で使った月の売上高を5倍した金額との差額が給付されるということになります。

判定で使った例を用いますと、
 ・2021年12月の売上  80万円 (対象月)
 ・2019年12月の売上 200万円 (基準月)
 ・2019年4月から2020年3月の事業年度の売上高3千万円(3月決算と仮定)
 ・2019年11月から2020年3月までの売上高1,000万円

給付額は、 1,000万円-80万円×5カ月分 = 600万円
  ただし、上限額は50%以上減少、年間売上1億円以下で100万円なので、上限の100万円が給付される。
ということになります。

①まず対象月と各月3年分を比較して50%以上か30%以上下落しているか
②次に基準の事業年度の売上高で限度がいくらになるか
③最後に基準の売上高5カ月と、対象月の売上高×5カ月との差額で給付額が決まる。
という流れになります。



申請方法や時期

 私がこのコラムを書いているのは2021年12月の下旬ですが、現在はまだ給付額の算定方法までしか要綱がでておりません。申請方法や時期については未定なのですが、申請方法はgBizというシステムを使用すると思われます。
また、新設の法人の取り扱いやその他細かい要綱もまだでていない状況ですので、随時ご確認いただければと思います。

 まだまだコロナ禍は続くと思いますので、事業活動に影響を受けている法人で対象となる場合には是非申請をしていただければと思います。

関連するBLOG

~様々な節税~

税理士コラム

節税というテーマを元に色々と今までお話をしてきましたが、今回は法人の利益を下げるような少しテク...

令和4年度税制改正

税理士コラム

毎年税制改正が行われます。流れとしましては、12月に税制改正大綱が出され、何もなければ翌3月の...

TOP