新型コロナウイルスの影響による助成金について
新型コロナウイルスの影響による助成金について
現在新型コロナウイルスの影響で様々な企業活動に影響があると思います。去年はそれを補う政策として持続化給付金や家賃支援補助金など様々な補助金がありました。
今回は税務の内容では無いですが、トピックな話題でもありますので補助金についてお話をしたいと思います。
一時支援金について
今年の3月上旬より一時支援金という補助金の申請が始まりました。
そもそもの始まりですが、2回目の緊急事態宣言の発令により飲食店が営業短縮などの要請により大きな被害を受け、その補填として東京都では1日6万円を給付する営業短縮協力金という制度ができました。これは多くの飲食店にとって有利な制度で、営業をしなくても毎日6万円が給付されるので、個人で飲食店を経営しているようなところはかなり恩恵を受けていると思います。
これがあまりにも飲食店に贔屓な制度だと、飲食店ではないが飲食店に食材を卸している会社や飲食店にサービスを提供している会社等も、「我々だって飲食店の休業で売上が下がっている」のだと声を大にした結果、経済産業省が一時支援金という制度ができたとされています。この制度の要件は、「(今年1月の)緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けて対象月の売上が50%以上減額した場合」には、法人で最大60万円、個人で30万円を支給するというものでした。また、この一時支援金は税理士等の認定機関が事前確認をするという新たな手続きも増えましたが、これは持続化給付金で不正受給をしたケースが多かったため、事前確認という手続きで少しでも不正を減らそうとしたものです。
そしてこの申請が始まる前に、飲食店だけでは無く飲食店に直接取引がある企業も補助金がもらえるという情報がニュースで流れたりしました。この一時支援金の詳細をホームページで見ると、この補助金の対象となり得る業者の例として、ホテル・旅館、食品加工業者、食器などの備品業者などが想定されると具体例があげられておりました。
私のクライアントでこの具体例にマッチしそうな会社は1、2社くらいでしたので、その会社には申請をしたほうがよいというアナウンスをし、私のほうで事前確認を行い申請をして無事にクライアントが60万円を受け取りめでたしめでたしだったんですが。。。
対象会社は全ての会社?
申請が始まり1月くらいが経った頃、この一時支援金はどの会社でも受けれるよ、という話をちらほら聞くようになりました。
この一時支援金の趣旨を理解しているつもりだったので、そんなはずはないと思っていたのですが、よくよくこの制度の要件などを読み込んでいくと、「緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けて対象月の売上が50%以上減額した場合」のこの又はの後の外出自粛等の影響を受けて売上が下がった場合には対象となると確かに書いてありました。そしてQ&Aにも、例示の事業に該当しなくても、給付要件に該当すれば給付対象となります。と、しっかり書いてありました。
飲食店時短営業の影響を受けた、対象となりうる会社は、とリーフレットで書いておきながらも、結局のところ、要件の又はの後の「外出自粛等の影響を受けて売上が下がったら」のこの後半の要件を満たすだけで給付対象となるのです。
考え方にもよりますが外出自粛等の影響を受けたとは、結構広い範囲を言えるのでは多くの企業が該当するのではないでしょうか。
昨年の持続化給付金の要件も、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により対象月の売上が50%以上落ちたら給付の対象」という要件でした。これに対して一時支援金の、「外出自粛等の影響を受けて対象月の売上が50%以上下がったら」となっていますが、要件だけを見ると私にはほとんど同じように思えました。
基本的に飲食店に直接取引がある会社や旅館の類だけと勝手に思い込んでいましたが、5月に入ってから急遽、外出自粛等の影響を受けたクライアントへ申請できる旨のアナウンスをするようにしました。私の周りの税理士も、一時支援金って対象となるのは飲食店に関連する会社とか旅館業とかだから対象は少ないよねという認識の方が多く、クライアントから一時支援金もらえるって言われたんだけど、などの相談を受けたりしました。我々税理士の間でも、とてもわかりにくい制度でした。(対象範囲が徐々に拡大していったという話も聞きます)
持続化給付金を申請した事業者が約441万件ありました。これに対して、一時支援金は5月中旬頃までで約29万件とかなりの差があります。
それは持続化給付金のほうが申請の期間が長いのと、一時支援金は緊急事態宣言の対象地域が少し異なる、一時支援金は対象月が1月から3月のみでの判定というところはありますが、やはり一時支援金の要件が一見、飲食店関連の会社や旅館業のみが対象となると思わせるようなこと、持続化給付金の時のような認知度がないことから申請件数は低いように思われます。
この一時支援金の申請は2週間の特例で延長できるようになったものの基本的に申請期限は5月末までとなっておりますので、今この記事を読んでいただいている頃は申請期限の後になるかと思います。
ではなぜ長々と一時支援金の話をしてきたかといいますと、次の月次支援金につながるからです。
月次支援金は毎月20万円支給
6月の中旬以降申請が始まるとされる月次支援金ですが、今度は毎月判定し、基準月より売上が減少していたら法人で最大20万円/月、個人で最大10万円/月支給されるものです。
3回目の緊急事態宣言が行われた4月以降の各月が対象となるようです。
経済産業省HPより
そして、
①緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う、飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けている
②緊急事態措置又はまん延防止等重点措置が実施された月のうち措置の影響を受けて対象月の売上が50%以上減少していること
の2つの要件を満たせば、業種/地域を問わず給付対象となります。今回の制度の概要では業種/地域を問わず給付対象と強調して書いてあります。
やはり、一時支援金のときの対象会社がとてもわかりにくかった結果が、この業種問わずと強調されたところに表れているように思えます。
また、一時支援金で新たに事前確認という手続きを行うことになったのですが、これを一度行っている場合には、今回の月次支援金では省略されるとなっております。これは一時支援金と月次支援金がリンクしているということだと思います。一時支援金の時にももっと業種問わず対象となると周知すれば、申請者は増えたのではないでしょうか。
このコラムを読んでいただいているころは、6月以降ですのでそろそろ月次支援金の話題も増えているかもしれません。
月次支援金の対象となりそうな会社は是非要件に当てはまるかご確認いただき申請してみてはいかがでしょうか。