専門知識に基づくトータルマネジメントサービスを提供

社会課題

■グリーンインフラ特集・インタビュー

パシフィックコンサルタンツ株式会社 社会イノベーション事業本部
環境・エネルギー部 環境・エネルギー政策室 課長補佐 小笠原 奨悟 氏



専門知識に基づくトータルマネジメントサービスを提供

●貴社(団体)の紹介をお願いします

「技術の力を、未来の希望に」というビジョンを掲げ、従来の建設コンサルタントが担ってきた社会資本整備に関わるコンサルティングだけではなく、国の政策立案支援や地域エネルギー事業の運営など、川上から川下まで、幅広い事業を展開しています。



●貴社(団体)の取組、考え方などを教えてください

気候変動による災害の激甚化や人口減少による管理放棄された土地の増加などの社会的課題を背景に、地域の自然環境を活用しようとするグリーンインフラの考え方は、非常に関心が高まっていると感じています。また、国際的にもグローバル企業を中心に、グリーンインフラと同様の概念である、NbS(Nature- based Solutions)やNCS(Nature Climate solutions)に対する注目が急速に高まっています。グリーンインフラは、地域の伝統・文化を育んできた自然環境の価値に再び注目するという側面から、日本古来の伝統・文化の維持とグローバルなニーズに対する対応の両立に資する取組であることから、今後ますます注目が集まると考えられます。

一方で、グリーンインフラの概念は理解できるが、地域への実装をどのように進めるのか、具体的な次のアクションに悩んでいる方々が多いのではないかと感じます。

グリーンインフラやNbSは全ての地域で画一的なアプローチができるものではなく、地域の方々の想いやその地域の伝統・文化を育んできた自然環境の特性を踏まえ、オーダーメイドでの検討が必要になると考えています。もちろん要素技術としては、様々な地域で適応可能な技術はありますが、その全体のデザインをどのようにするのかがポイントだと思っています。そこにコンサルタントとしての役割があると感じます。



●グリーンインフラに関して、印象深い仕事を教えてください

主に省庁のグリーンインフラやEco-DRR(生態系を活用した防災・減災:Ecosystem based Disaster Risk Reduction)に関連する調査・検討業務や学会の委員会、研究プロジェクト等に従事していますが、地域でグリーンインフラを進めようとしている自治体や企業の担当者の方が躓いている部分を明らかにする、それに対して活用できる情報や技術を提供することが重要だと感じています。コンサルタントの立場からの積極的に情報発信することも重要だと感じており、建設コンサルタント各社の技術者や有識者と連携して、令和2年6月には「グリーンインフラ技術レポート」を公表しました。

また、自然環境の活用という視点では、岡山県真庭市蒜山地域の草原の活用(地域循環共生圏の考え方を踏まえ、経済的インセンティブの付与を通じた保全・再生の仕組みづくり)や千葉県印旛沼流域の台地・谷津の保全・活用(北総地域に特徴的な自然環境である台地、谷津、低地の多面的な機能を活用し、防災や魅力的な地域づくりに役立てる「里山グリーンインフラ」の検討)の取組に関わらせて頂きました。
国の政策支援から具体的な地域の支援まで、一気通貫でグリーンインフラの実装に向けた支援に関われることにやりがいを感じています。


千葉県印旛沼

※参照 グリーンインフラ技術レポート.pdf
    自然とかかわり豊かに暮らす 北総地域における里山グリーンインフラの手引き【谷津編】.pdf
    総合地球環境学研究所 Eco-DRRプロジェクト:https://www.chikyu.ac.jp/rihn/project/2018-01.html



●グリーンインフラに関して、提言や課題、今後改善すべき点または展望を教えてください

グリーンインフラの実装に向けては、我々コンサルタントもこれまでの「当たり前」を疑い、分野横断的に自然環境の機能を引き出すための選択肢を提示すること、そのための技術を身に着けることが求められると考えています。また、地域の方々に主体的に取り組んで頂くことも重要です。グリーンインフラでは、地域の資源を活用し、地域の企業や住民が施工や維持管理に参画すること=グリーンコミュニティの形成も大きなポイントだと感じています。我々コンサルタントではなく、地域の方々が輝く取組を支援できるか、その点がコンサルタントに求められている役割だと思います。
当社は、今年4月、社内にカーボンニュートラル推進室という新たな組織を立ち上げ、民間企業向けのコンサルティングサービスを開始しました。カーボンニュートラルに向けての支援はもちろんのこと、気候変動の緩和と適応の両面から貢献する自然資源の活用・グリーンインフラという視点も重要な要素だと考えており、一体的な支援を展開できればと考えています。

「カーボンニュートラル推進支援サービス」を開始


HPより引用

グリーンインフラは決まった基準に基づき画一的に進められるものではないため、構想・計画段階でのデザインが重要になります。地域の課題を感じており、自然環境を活用した取組を進めたい。という気持ちがあるのであれば、何をすればよいかというところから一緒に考えさせていただければと思います。お気軽にお声がけください。



【取材後記】
グリーンインフラの概念が一般的にも広まってきた昨今、地方公共団体や地元企業の想いを汲み取り、その地域の特色に合った最適な提案をする。そこにコンサルタントとして謙虚に、実直に役割を果たしている点が印象的だった。構想・計画段階から調査・設計・事業化まで常に寄り添い、トータルコーディネートしてくれる。何から始めたらいいのかわからない方々の心強い味方になるだろうと今回の取材を通じて確信した。

【参照】
グリフラ便りNo.4(2020年11月).pdf
・パシフィックコンサルタンツ 事業紹介:
 https://www.pacific.co.jp/service/environment-energy/energy/close-up/green-infrastructure
・パシフィックコンサルタンツ カーボンニュートラル推進室:
 https://www.pacific.co.jp/news/2021/20210326-000466.html



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