「事業承継」をカル~イ感じで勉強してみた NO.3
「任意後見制度」の勉強をしてみた
今日のテーマ「認知症になる「前」なら、任意後見人を自分で決める!」
認知症になる前なら、自分の事を自分で決める事ができます。
誰にどんな内容で自分の看護や財産管理を任せるか、自分で決める事ができます。
これを任意後見制度と言います。
ただし、自分で判断する契約なので、法定後見人のように全部オマカセと言うわけではありません。
代理権の内容は自分で契約の中で決めなくてはならないし、費用も自分の契約で決めることになります。
今回も4匹の会話を楽しんで下さいね。
任意後見人とは
今回は、任意後見制度について話をするね。
前回は、法定後見制度の費用が高いと言う声が多かったね。
それじゃあ、家族や信頼できる人がいれば、任意後見制度を利用した方が安いのかな?
確かに任意後見制度を使うことができれば、後見人は家族なので、後見人の報酬は無報酬とする事も可能です。
しかし、任意後見契約をする場合は最初の時点で公正証書(注)で契約をする必要があるので公証役場に費用がかかります。
報酬について言えば、家族なら無料という事もありますが、
司法書士や弁護士のような専門家に頼んだら、職業人としての報酬が必要です。
これは契約で決められるから、裁判所のような基準があるわけではないのです。
だから誰に頼むかによって違ってきます。
ただ、これは個人的な見解だけど
任意後見人と法定後見人の仕事内容が同じなのだから、裁判所の報酬基準は参考にされるのではないかな。
もちろん、知り合いの場合には安くなるだろうけど。
それに加えて、裁判所が選任した後見監督人の費用が加算されます。
法定後見人の基準の半分くらいだと思いますが、これは裁判所が決めるのです。
結局、合計したら、報酬だけで法定後見制度とどれだけの差があるかは分かりませんよね。
後見監督人の制度は、裁判所が選んだ後見監督人によって任意後見人を監督する制度で、
裁判所が間接的に任意監督人を監督します。
法定後見人の場合でも家族が選ばれる場合で、多額の預貯金があったり不動産がある場合など
管理財産が多い場合には後見監督人が選ばれる場合があります。
関連契約
費用はそれだけで済むのかな?
実は、任意後見契約の場合には、後見契約の他にも多くの関連契約があるので
その相談費用や公正証書の作成費用も、最初にかかると考えた方が良いでしょう。
関連契約 と言うのはどういう契約なの?
高齢になると、今は元気だけどいつ具合が悪くなるのかが不安だから
今のうちから継続して自分の様子を見ていて欲しいという希望があるよね。それに応えられるような契約のことだよ。
例えば…
1. 継続的見守り契約
定期的に連絡をしたり面談をして、生活や健康状態を継続的に見守る。そして、事理弁識能力(判断能力)が劣ると判断した時には、市番所に対して後見監督人の選任の申し宛をするという契約。
2.財産管理等委任契約
事理弁識能力には問題がないのだけど怪我等で入院して動けないと、お金の支払等に困ることになります。その時に限定しての財産管理に関する委任契約をします。これは認知症とは関係ないですが、高齢者の場合には怪我をする危険性が高いので契約をします。
3.任意後見契約
今説明してきた通りで、事理弁識が低減した時の代理権限の付与に関する契約。
4.死後事務委任契約
死亡後の事務処理を委任すること。お寺の指定と葬儀方法の指定とかをします。
5.尊厳死宣言
不治の病の時の延命措置等の治療方法の希望を決めておきます。例えば、「胃ろう」は断りたいとか。これがあれば、治療をする医者のある意味で指針になります。
6.遺言
次回に説明しますが、 自分の死後に自分の財産の承継先をあらかじめ決めておく作業です。事業譲渡に有効な方法の1つです。 管理財産額にもよりますが、関連契約の書類作成だけでも、30万円から50万円程度は考えておいた方が良いでしょう。
ウワー、高いね!
しかも、それに加えて、もしも専門家に頼んだら
それぞれの契約の履行の報酬が発生するから事前確認が必要だね。
じゃあ、費用だけでは、法定後見制度と任後見制度の優劣は決められない ということかな。
そうですね。
専門家と相談しながら、両制度の相違点を検討して、自分の希望や自分の家庭に合う制度を利用したいですね。
2.任意後見制度は、後見人を自分で選べる自由がある
3.任意後見人には、取消権と同意権はない
4.任意後見人の代理権の範囲は、本人が契約で決めている範囲に限定
任意後見人の辞任
任意後見人も、一度頼むと原則として辞任できないのかな?
任意後見人の場合は
家庭裁判所が任意後見監督人を選任する前なら、いつでも解除や辞任ができるんだ。
しかし、任意後見監督人が就任した後は、家庭裁判所の許可を得てから、解除・辞任をする事になります。
もちろん、後見人に不正行為等があれば、本人や親族の請求で解任することもできます。
しかも、後見制度というのは、あくまでも本人である親(被後見人)の保護のための制度なので、
任後見制度も親(被後見人)の利益のために使わなければなりません。
もちろん、任意代理契約の代理権目録に記載されている行為に限定されるという事は大前提です。
代理権限目録にかいてあれば、大丈夫なのかな?
具体的に明確に書いていないと問題だね。
後見監督人から、事前相談を要求されることはあるね。
だからその財産の使用方法は、親の利益になる事を基準にして、不明瞭な場合には使えないと考えた方が良いんだ。
ただし、取消権はありません。任意後見は、①補助(判断能力不十分)の程度で発動できます。
法定後見と任意後見の比較
事業承継をしたいと思う側の問題としては、
認知症になってからでは遅い という事を理解しなくてはならないんだね。
つまり、まだ大丈夫だと思っている時から考えておく必要があるということなのだね。
しかも、承継先だって、認知症の危険性はあるのだから
相手先もしっかり調査をしなくちゃならないという事なんだね。
そのとおりです。
しかも、会社だけでなく、家庭人としても家庭を守る事も忘れてはならないのです。
ところで、後見制度では生前の事はできるけど、死後の事はできないのかな?
法定後見・任意後見制度にかかわらず、後見制度は、身上監護と財産管理だから、財産承継までは決められないんだよ。
親の財産は守れても、親が財産承継先を決めておかないと、お金をめぐる子供達の争いが発生して
かえって、親が憎しみ作る事にもなってしまいます。
だから、後見制度で自分のためにお金を使った後は、残ったお金の承継先まで必ず決めておくべきです。
むしろ、決めておく義務があると思っても良いぐらいです。
なるほど、それで遺言が必要なんだね。
そういうことだよ。
つまり、生前の事は後見制度で対応ができるのだけど、亡くなった後の事は、遺言で財産の処分先を決める必要があるのさ。
じゃあ、次は遺言の話だね。
小冊子「親と子供の未来を守る家族信託物語 認知症と「お金」の話」もぜひ読んでみてくださいね。