デジタルツイン

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デジタルツイン

【コラム 1級建築士による建設アラカルト【独学1級建築士 nandskさん】

 

デジタルツインという言葉を聞いたことはありますか? デジタルツインとはIoTやAI、ARなどの技術を用いて仮想空間に物理空間の環境を再現する新しい技術です。

簡単に言うと、ヴァーチャル世界と言えばいいでしょうか。ゲームの世界のようにまったくの異世界では無く、現実と同じ空間を作るというのがポイントです。今話題のデジタルトランスフォーメーションの取組として注目されています。

  

  

デジタルツインの活用は世界では古くから行われており、フィンランドでは1980年代からヘルシンキを3Dモデル化しています。ヨーロッパでは他にもバルセロナなどで事例があります。アジアでもシンガポールは2014年にスマート国家構想を提言し、ヴァーチャルシンガポールを作成しました。

デジタルツインは、その時の世相や国により、ヴァーチャル都市やデジタルレプリカ、3Dデジタルマップなど、様々な呼び名があり、再限度もまちまちです。

    

では、こういった仮想空間に現実世界を再現することのメリットはなんなのでしょうか?

例えば、仮想空間上での海外旅行が可能になります。VR技術を駆使することで、実際には行っていないのに、世界各都市の観光ができるわけです。

もちろん、実際に現地に行くことには勝りませんが、過去の街並みと見比べたり、行きたいところだけを移動時間なしで移動したりといったメリットもあります。今の時代では飛行機に乗らなくてもいけるし、人混みを気にせずに観光できるのは大きなメリットです。

観光でなくても、現地に行かずに不動産の確認などもできますね。

    

他には、各種シミュレーションの実施ができます。

先ほど紹介したバルセロナの事例ではサッカーチームのFCバルセロナが試合日の人の動きをデジタルツインで解析し、交通渋滞や事故の防止などに活用しています。

日本で期待されるのは津波や豪雨などによる水害のシミュレーションでしょうか。一般的な地図では高さのデータが不十分ですが、デジタルツインであれば、立体的なデータも確認しやすく、何mの津波でどこまで水が来るのか、入り組んだ形状の土地ではどうやって水が流れ込んでくるのか。地下街があるような駅で大雨に見舞われた場合に雨水があふれやすいのはどこなのか。こういった情報を得ることができます。

    

その他にも風や熱を分析し環境負荷低減への利用や、自動運転のシミュレーション、ドローンの航路の検証など、様々な分野への利用が期待されています。

みなさんが住んでいる街のデジタルツインも、もしかしたら出来ているかも知れませんよ。

   

  

今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】

独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す

 

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