建設現場の働き方改革は浸透するか
建設現場の働き方改革は浸透するか
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
コロナ禍もあり最近話題になることが多い「働き方改革」。時間外労働割増賃金の見直しやフレックスタイム制の見直し、高度プロフェッショナル制度の創設などはコロナ以前より話題になっていましたし、昨今では何かと話題のテレワークも「働き方改革」に繋がります。
そんな「働き方改革」ですが、建設現場ではどうでしょうか? モノづくりの現場である建設現場では難しいという意見もありますが、はたして。
まずは、休日について調べてみました。従来の建設現場では月曜日から土曜日までが稼働日で日曜日が休日という週休1日が多かったと思います。しかし、国土交通省は週休2日の実現にむけて、完全週休2日を履行した工事を対象に取得証を発行し、総合評価で加点する優遇措置を検討しているそうです。
総合評価は価格以外の要素も加味して落札業者を決める入札制度ですので、現場を週休2日にすることで、入札時に加点されるということですね。
また、建設業協会は2018年度から「休日月1+(ツキイチプラス)運動」という運動を行っており、この運動では4週8日の休日を目指しているそうです。
週休2日制は一般的なことではありますが、現場が始まると工期に追われる工事現場で導入するとなれば、たしかに「働き方改革」かもしれません。
次に調べたのが新技術の導入です。
現場作業になるのでテレワークですべての業務を行うのは難しい建設業ですが、国土交通省はi-ConstructionというICT技術を建設現場に導入し生産性向上を図る取組を推進しています。
重機を遠隔操作し危険な場所での作業を行うことや、無人運転による効率向上などはメディアでも取り上げられていたりしますね。他にもドローンを使った橋梁の点検や航空レーザーを用いた測量技術など、近年はどんどん新技術が出てきています。こちらも、「働き方改革」は進んでいると言えるでしょう。
建設現場での「働き方改革」もたしかに進んでいるようです。しかし、そのスピードはまだまだ他業種ほどではないと感じています。
建設現場の作業員は高齢化や外国人労働者の増加が進み、新技術導入へのハードルが高くなっており、それがさらに若者が働き手として入りづらい業界になるという悪循環に陥っている状況です。少しづつでもこの流れを変えていかないといけませんね。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す