光触媒でウイルス撃退
光触媒でウイルス撃退
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
何年か前から建築資材の展示会などに行くと光触媒の商品を目にすることが多くなりました。実際に光触媒を導入している事例も多く、特にコロナ禍では光触媒導入のニュースも増えています。
でも、そんな光触媒ってなんだかわかりますか?
私自身、光触媒の詳しい原理は勉強不足で、光に当たることでウイルスや菌を除去してくれる衛生的な素材、くらいにしか知りませんでしたが、調べてみると「光を照射することにより触媒作用を示す物質の総称」だそうです。
建築資材に使われだしたのは最近のように感じますが、歴史は古く、1911年にはドイツで発見され、1915年には日本の論文でも述べられています。
その後は、実用性が見込めず停滞していたものの、1970年代から再び注目を浴び、現在では酸化チタンと酸化タングステンが実用化されているそうです。
そんな光触媒素材にどんな効果があるのかというと、代表的なのは超親水作用。紫外光を吸収した時に水がついても表面で水滴とはならずに流れ落ちることから車のサイドミラーや道路のミラーに使われているほか、油分が付着せず雨などで水が流れることで表面が洗浄され、セルフクリーニングになるため、ビルの外壁や住宅用窓ガラスに使われています。
外装材だけでなく、内装材にも使用されてきており、蛍光灯の光などが当たるだけで有害物質や臭気成分を分解し空気を浄化するとされ、高齢者施設や医療施設での導入が増えています。こういった効果が抗ウイルスや抗菌作用と言われる所以ですね。
特に最近では新型コロナウイルスへの対策として光触媒を導入する事例も多く、例えば、ワタミ株式会社の「焼肉の和民」では新店舗に光触媒コーティングを行いました。飲食店では餃子専門店の大阪王将も光触媒コーティングを導入したそうです。
導入事例だけでなく、本社を淡路島に移転したことで話題になった人材派遣のパソナグループが光触媒事業に参入するなど、何かと話題になってきた光触媒。
実際に、奈良県立医科大学の実験では新型コロナウイルスを99.99%無害化したとして立証されています。
コーティングであればドアノブだけとか、ピンポイントでも対応可能な光触媒。自宅への導入もお手軽にできることから、気になる人は検討してみてはいかがでしょうか。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す