港町東京が変わる
港町東京が変わる
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
東京都と言うとどんなイメージを持つでしょうか?
日本の首都として、様々な面がある東京都ですが、「海がある」というのが真っ先に出てくる人は少ないのではないでしょうか?
あまり海のイメージが無い東京ですが、実は古くからの港町であり、都心にも近い中央区晴海に晴海客船ターミナルという港があります。
晴海客船ターミナルは東京港の開港50周年に合わせ1991年に建設されました。東京港では唯一出入国機能があり、外国からの客船の受け入れも可能な港になっています。
そして、この晴海客船ターミナルがオリンピックの閉幕後に解体され、新たに建設された「東京国際クルーズターミナル」にその役割を引き継ぐことになっています。
コロナ禍の今でこそクルーズ船のイメージは良くないかもしれませんが、富裕層の旅行手段として、クルーズは非常に人気が高く、世界では次々と大型客船が建造され人気を博しています。クルーズ人気と共にクルーズ船も大型化してきており、レインボーブリッジの内側である晴海客船ターミナルでは大型客船を受け入れられないことから、港の位置を移動するということです。
現在、世界最大のクルーズ船は全長362メートル、全幅65メートルのシンフォニー・オブ・ザ・シーズです。船内には22のレストラン、42のバー・ラウンジ、複数のシアター、スケートリンク、ワイヤースライダー、流れるプールとウォータースライダー、スパ、ロボットバーテンダーがカクテルを作るバーなどの施設があり、客室は2700を超えます。船内だけで2万本を超える樹木が植えられており、もはや中規模な街と言えるでしょう。
こういった大型客船が寄港すると、観光バスが何百台も押し寄せて乗客を陸の観光地へ運びます。まさにドル箱で、インバウンドの恩恵を受けるにはこういった大型客船が寄港できる港が必須になっています。
晴海客船ターミナルへ行くためにくぐる必要があるレインボーブリッジは橋桁高52mであり、最近の大型客船はマスト高が70m前後もあるため、東京港への寄港ができない状況でしたので、この問題は解決されるでしょう。
新しくできた東京国際クルーズターミナルはすでにオープンしており、新しい施設に入ることもできます。最寄り駅であるゆりかもめの船の科学館駅も駅名を「東京国際クルーズターミナル駅」に変え、受け入れ準備は万端です。コロナウイルスの影響で船の寄港は無さそうですが、空いている今のうちに東京港の新たな玄関を見に行くのもいいかもしれません。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す