日本のまちづくりとは
日本のまちづくりとは
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
大阪都構想の住民投票がありましたが、みなさんは自分の街のまちづくりについて、関心はありますか?
おそらく、多くの人は関心があるでしょう。いつも渋滞する道路はなんとかしたいですし、線路を渡るために遠回りをしないといけない場所もありますし、家の近所に素敵な公園ができたらうれしいですもんね。
だけど、そんな私たちの生活に密接に関わるまちづくり、意外と詳しくは知らないんじゃないでしょうか。今回は、そんなまちづくりの一部をご紹介。
●自分の街のまちづくり
まちづくりは国や区市町村が勝手にやっている、そう思っている人も多いと思いますが、しっかりと民意を反映させて様々な計画を立てて進めています。
自治体のまちづくりで最も上位の計画は都市計画マスタープランというものです。おそらく、ほとんどの人が見たことがないでしょう。しかし、見てみると意外と面白いことが書いてありますよ。
例えば、私が住んでいる東京都八王子市の都市計画マスタープラン(八王子市では都市づくりビジョンと呼んでいる)を見てみましょう。
前半の基本的な情報の後に、地域づくりの方針が書かれています。八王子駅を含む中央地域を見ますと、JR八高線・高麗川駅間の複線化をすることや、多摩都市モノレール八王子ルートの早期事業化などが書かれています。他にも公園の整備や大型施設の移転に伴う跡地利用などについて書かれています。
意外と身近な話が書かれているんですね。
●最近のまちづくりは官民一体
まちづくりは、やはり行政側が整備する面も大きいですが、最近は官民が一体となった取り組みも多いです。駅前デッキや広場でイベントなどを行う許可をもらう代わりに、その管理をする仕組みなどもあり、多くのまちづくり団体が自分たちの街のために活動しています。
他にも、建物の規模が制限される建築基準法の容積率の制限を緩和する代わりに、様々な取組を民間に行わせる場合もあります。
例えば、東京のランドマークとして定着した六本木ヒルズは、ビルの足元に芝生の広場を整備して開放していますし、敷地内に地下鉄の出入口を造るなど大規模なまちづくりを行い、その結果あれだけ高い建物を建てる許可を得ているんです。
収入が限られ、使い方も制限される行政ではできない大胆な取組ができるのも官民一体のメリットです。
●まちづくりについて興味を持とう
家自分の暮らす街が良くなれば生活も豊かになります。生活していれば、街の不便に感じるところ、守っていかないといけないところ、災害時に危険な場所、いろいろと見えてくると思います。
そういった思いを反映させるためにも、まずは街づくりに興味を持ちましょう。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す