地震に対しての知識
地震に対しての知識
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
地震大国の日本は、建築技術の進歩は地震対策の進歩でもありました。年々新しい技術が出てきていますが、みなさんは地震対策についてどのくらい知っていますか?
専門的で難しい部分もありますが、わかりやすくまとめてみました。
●地震に対する安全対策
日本でもっとも高い建物である東京スカイツリー。
高さは634mです。
このスカイツリーの地震対策は日光東照宮の五重塔に使われた制震技術を基にしているのは有名な話ですよね。
建物の地震に対する安全対策は、スカイツリーのような制震の他にも、免震や耐震というものがあります。
●建物で地震の揺れを吸収する制震構造
建物に設けた制震装置により自身の揺れを吸収するのが制震構造と言われるものです。建物の柱と柱の間に斜めの筋交いと言われる部材は、最近よく目にする機会もあるかと思います。この斜めに入れた筋交いが地震のエネルギーを吸収してくれます。
筋交いを入れることが可能であれば、完成後に後付けすることも可能ですし、風などによる建物の揺れも低減できるのが特徴ですね。
●地面からの揺れを建物に伝えない免震構造
地震に対してもっとも効果的と言われている免震構造。積層ゴムや油圧式のダンパーの免震装置を使い、地震の揺れを吸収します。
一般的なのは建物の基礎部分に免震装置を設ける基礎免震で、地面と建物の間に免震装置を設置し、地面からの揺れが建物に伝わらないようにします。
地震のエネルギーを大幅に吸収できますが、費用も高くメンテナンスも必要です。
●地震に強い建物にする耐震構造
耐震構造は特に特殊な装置は用いずに、地震に強い建物を造るものです。
例えば構造は、木造住宅よりも鉄筋コンクリートの方が地震には強くできます。
間取りについても、細長いような建物よりも、四角に近い整形の建物の方が地震には強いでしょう。それから、荷重なども重要で、1階よりも2階が重い頭でっかちの建物よりも、1階に近いほど重い、どっしりした建物の方が地震には強いです。
ただし、この構造というのは難しく、強ければいいかと言うと必ずしもそうではなく、建物が壊れる時にゆっくりと壊れる靭性破壊なども考慮する必要があります。万が一の時に、いきなり崩れると逃げることができませんもんね。
●まとめ
地震が多い日本では地震対策は必須になります。建物の地震対策や地盤の強化について、きちんと知っておきましょう。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す