建築士がテレワーク時代の住まいを考える

コラム

 

建築士がテレワーク時代の住まいを考える

【コラム 1級建築士による建設アラカルト【独学1級建築士 nandskさん】

 

コロナウイルスにより私たちの生活が変わってしまいましたが、中でも大きく変わったのは働き方ではないでしょうか? 以前のように満員電車に揺られて、都心のオフィスで集まって仕事をするという働き方が変わりつつあります。

そして、それに伴い住まいのあり方についても変化が起きています。

 

●住宅へ求めるものが変わってきている

コロナウイルスによる影響を調査したものは様々なものがありますが、「テレワーク×住まいの意識・実態調査」(リクルート住まいカンパニー)を見ると、住まいに求めるものに変化が起きているのがわかります。

コロナウイルス拡大前の2019年の調査では、「電車・バスの移動が便利」「職場など決まった場所にいくなら電車・バス移動が便利」などの公共交通機関での移動利便性を重視した回答が多いです。これに対し、コロナウイルスの拡大後に行われた調査では、「通勤利便性より周辺環境重視」「自宅近くにシェアオフィスやコワーキングスペースがあるところに住みたい」といった項目が増えています。

また、コロナ拡大後では、「部屋数の多い家がいい」「広いリビングがあり個室を確保したい」といった、在宅生活を考えた要望が増えています。

 

●コロナ時代の住まいとは

まず、外部環境は、通勤に便利な都心周辺エリアよりも、在宅勤務環境や人混みを避けて買い物や趣味ができる郊外のエリアが人気になるでしょう。週に数回は都心へ行くことも考慮し、まったくの交通不便地では無く、時間をかければ都心へもアクセスできるような地域。その分、山や海、公園など自然が多く、買い物は広々としたショッピングモールで済ませられる、ゆったりとした空間の街。そういった地域が人気になりそうです。

家自体でみると、戸建て住宅とマンションにはあまり差は出ないように思います。他者との距離という点では戸建てに軍配があがりますが、孤立してしまう恐れもあります。また、マンションでは共用部にテレワーク用のスペースを整備する事例が増えてきており、仕事に集中しやすい環境があります。いずれにせよ、在宅を前提とした広々としたリビングや家族一人ひとりの個室スペースは必須で、更に、広々とした庭や眺望抜群のバルコニーなどが人気になりそうです。

 

住宅に求められるものは時代と共に変わってきました。もしかしたら、コロナ前とコロナ後で、住まいのあり方が変わる、そんな転換期なのかもしれません。

 

 

【参考】

MY MEDIA INTELLIGENCEによるレポート

https://www.mydata-intelligence.co.jp/news/2020/06/20200604.html

リクルート住まいカンパニーの新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態調査

https://www.recruit-sumai.co.jp/press/2020/05/4824.html

 

 

今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】

独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す

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