土木施工管理技士講座 第7回「【2級受検者向け】令和6年度1級の第二次検定解説」

ナレッジ/ノウハウ

どうも、Webライターの佐藤拓真です。

今回は、10月27日(日)実施予定の2級土木施工管理技術検定における第二次検定を受検される方に向けて、10月6日(日)に行われた1級土木施工管理技術検定・第二次検定の問題について解説します。

令和6年度の第二次検定に関しては、幅広い視点から経験を確認する設問として見直しを行うことが事前に発表されていました。
その発表のとおり、1級の試験では実際に例年とは異なる問題が出題されました。

佐藤

おそらく2級の試験も1級と同じような問題が出題される可能性が高いと思われます。

ということで、今回の記事では、令和6年度の1級・第二次検定で出された問題についてわかりやすく解説しますので、2級の第二次検定対策として活用いただけると幸いです。

なお、経験記述の基本については以下の2記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
どちらも、5,000字以上のボリュームで徹底的に解説しています。

【著者紹介】
元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|ブロガー兼Webライター|SNS総フォロワー2.3万名|出版書籍「仕組み図解 土木工事が一番わかる」

令和6年度における第二次検定(1級)の問題

まずは、令和6年度の1級土木施工管理技術検定における第二次検定の問題を見てみましょう。

大きな変更があったのは経験記述の問題です。
変更点としては、大きく2点。

  • 経験記述が1問から2問になった
  • 解答する文字数が変わった

となります。

経験記述に関して、問題自体が大きく変わるようなことはありませんでした。

変更点について、それぞれ詳しく解説します。

経験記述の変更点①

問題文は以下のとおりです。

▼令和6年度1級土木施工管理技術検定(第二次検定)の問題

【出典】令和6年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題

まず、パッと見てわかると思いますが、設問が2つに増えています。
経験した工事における「安全管理」についての記述が1つ。
そして、「施工計画」立案時についての記述が1つです。

設問2「施工計画」の立案についての記述は、“設問1の解答と同じ内容は認められない”という旨の記載があります。

そのため、事前に複数のテーマで記述作文を用意しておくという事前の準備が大切でした。

詳しい対策については後ほど解説しますが、先に解答の文章量が変わったことについてお話しします。

経験記述の変更点②

令和5年度までの解答用紙は

(1)具体的な現場状況と技術的な課題で7行
(2)課題を解決するための検討項目と理由で10行
(3)検討の結果、実施した対応処置とその評価で10行

でした。

対して、令和6年度はギュッと凝縮されました。

(1)具体的な現状と技術的課題、その検討課題の記述で8行
(2)検討項目と対応処置、その評価の記述で8行

その結果、1つのテーマについて記載する文字数は減りましたが、少ない文章量で事実を伝えなければならなくなりました。

佐藤

その場で文章を考えるとしたら、少ない文字数でまとめきる方が難しいので、事前の準備がなおさら大切だと感じています。

経験記述における解答例と対策

経験記述の変更点がわかったところで、次に解答例と対策について簡単に解説します。

まず、大きな変更点である「施工計画」の作成に関する記述について。
施工計画といっても、難しく考える必要はありません。

基本的な記述の流れは、

施工計画立案時にこんな「安全管理上」「品質管理上」「工程管理上」の課題があった
→だから、それを解決するためにこんな対応をした
→その結果、良い結果となった

といった内容を記述すれば OK です。

繰り返しですが、特にその場で難しく考える必要なんてなくて、事前に用意していた「安全管理」「品質管理」「工程管理」の作文から、 施工計画立案時にわかっていた課題や対応策を記述すれば解答できる問題でした。

とはいえ、いきなり当日にこの問題が出てきて、「冷静に解答が思いつくか」と言われるとなかなか難しいですよね。
(解答できた方は本当にすごいと思います!)

佐藤

経験記述の2つめが書けなかった方でも、配点については非公開のため、どのような結果になるかはわかりません。あまり気を落とさないようにしてください。

2級受検予定者が行うべき対策

結論から言いますと、行うべき対策のポイントは3つです。

  • 複数のテーマ(安全、品質、工程など)で作文を用意する
  • 記述量については「従来どおり」と「令和6年度の1級用」の2つを用意する
  • 技術上の課題を「当初」「設計変更」の2つに分ける

それぞれ詳しく解説します。

2級受検予定者が行うべき対策① 複数のテーマを準備する

令和6年度の経験記述に対する準備として、複数のテーマで作文を用意しておきましょう。

なぜなら、1級同様に複数テーマでの解答を求められる可能性が高いから。
1級では「安全管理上に留意した点」と「施工計画立案時の課題と対応」について問われました。
そのため、2級でも今までの問題に加えて、「施工計画立案時の課題と対応」について問われる可能性が高いと言えます。

その際、複数のテーマで作文を用意しておくとそのまま解答に用いることができるので、ぜひ準備しておきましょう。

2級受検予定者が行うべき対策② 記述量を調整する

記述量については「従来どおり」「令和6年度の1級仕様に短縮したもの」の2つを用意しましょう。
理由としては、試験当日に少ない文章量での解答を求められた場合、その場でいきなり文章を削ることはなかなか容易ではなく、時間がかかるから。

それに、試験当日は手書きで解答するため、手直しをするのに手間がかかります。

しかし、事前の準備であればパソコンでも作業をすることができます。
パソコンでの作業なら、文章量を減らすことも増やすことも簡単です(“手書きで覚える”という工程ももちろん大事です)。
いずれの場合にも対応できるよう、少ない文章量で解答する際はどれくらいの文字数で書けばいいのかも準備しておけば、当日慌てることもなくなります。

佐藤

この記事を読んでいる勉強熱心な方なら、すでに例年どおりの作文を準備していると思います。そこからさらに一歩踏み込んで、令和6年度の1級試験対応版の解答も作成しておきましょう。

2級受検予定者が行うべき対策③ 技術上の課題を分類する

現場ごとに特に留意した技術的な課題「当初からわかっていたもの」「現場の条件が変わったことにより生じたもの」の2つに分けましょう。

理由として、1級の試験では施工計画立案時の問題が出されましたが、2級でも全く同じ問題が出るとは限らないから。

正直、どんな問題が出題されるのかは試験が始まるまでわかりませんが、当日慌てないように準備しておくことはできます。

同じ問題が出題された場合でも、また違う問われ方をした場合にも対応できるよう、現場が抱えていた技術的な課題が「当初からわかっていたもの」なのか、「条件が変わったことで生じたもの」なのか、把握しておきましょう。
現場の課題を2つに分けて用意しおくことで、当日にどのような問われ方をしても、焦ることなく柔軟に対応することができるでしょう。

まとめ

今回は令和6年度における土木施工管理技士試験の第2次検定(経験記述対策)について解説しました。

【対策】

  • 複数のテーマ(安全、品質、工程など)で作文を用意する
  • 記述量については「従来どおり」と「令和6年度の1級用」の2つを用意する
  • 技術上の課題を「当初」「設計変更」の2つに分ける

忙しい施工管理の方でも、ポイントを押さえた準備をして試験に臨めば、合格に近づけるでしょう!

なお、経験記述について理解を深めたい方は、私が運営するブログ『つちとき』で掲載している「経験記述【完全攻略】」の記事を読んでみてください。

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合格をつかみ取って、一緒に業界を盛り上げていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

作者紹介 佐藤拓真さん

作者紹介 佐藤拓真さん

準大手ゼネコンで土木の現場監督として7年勤務。建設業界関連で合計11年働いています。自身のブログ 『つちとき』 では、若手の土木技術者に向けて工事現場で実際に学んだ知識を公開中。X(旧Twitter) でも情報発信しており、フォロワーは合計2.3万人。プライベートでは娘が2人いる30代の父親です。著書『しくみ図解 土木工事が一番わかる」

◆佐藤拓真さんのブログ 土木工学と建設業のブログ『つちとき』
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