土木施工管理技士講座 第5回「【令和6年度最新版】経験記述の書き方 3STEP」
どうも、土木施工管理技士のWebライター佐藤拓真です。
今回は土木施工管理技術検定における第二次検定対策の2回目ということで、経験記述の具体的な書き方について解説していきます。
今回の記事を最後まで読むことで、実際に経験記述を書くまでの流れが具体的にイメージできるようになると思います。
ただし、今回の記事には1つだけ弱点があります。
経験記述問題の対策について解説していますが、本記事の内容は“あくまで最低限のレベル”のものになります。
「まぁ、そうだよね。だって、令和6年度は試験問題が変わるからでしょ!」
って思った方は、鋭いです。
もちろん、それもあります。
正解です。
ですが、それに加えてもう1つポイントがあります。
この記事を「読んで」学んだ内容を活かして「書いて」みたとしても、それだけでは不十分です。
さらにもう1つステップを踏む必要があります。
それをこの記事ではカバーすることができないのが弱点です。
その弱点については、前回の記事でも書いたので、もしかしたら勘のいい方は既に「ピン!」ときているかもしれません。
また、今回の記事はどちらかというと、「1回読んで終わり」という“読み物”とは異なる性質のものとなっています。
読んだ後、この記事を“手元に置いて”確認しながら経験記述を書いてみてください。
イメージとしては、この記事1つで経験記述の書き方が身に付く、“まるでゲームの攻略本”のような使い方を想定して執筆しました。
ぜひブクマして、“スグに開ける状態”にしておいてくださいね。
それでは参ります。
元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|ブロガー兼Webライター|SNS総フォロワー2.3万名|出版書籍「仕組み図解 土木工事が一番わかる」
経験記述 3STEP
令和6年度に設問が変わることが発表されている経験記述の問題ですが、まずは従来の設問に答えられるように準備をしましょう。
まずは、それが最低限の準備です。
最短最速で経験記述の対策をするには、3つの手順が必要です。
- 合格基準に達する経験記述作文を読む
- 実際に書く
- 添削を受ける
これは、前回の記事でも書いたので覚えている方も多いかと思います。
冒頭で少し触れた弱点というのは、「添削」です。
※ちょっともったいぶった言い方をしてしまってすみません。
この記事を読めば、きっと経験記述を書けるようになると思います。
でも、第三者が見て意味が伝わるか?合格基準に達しているのか?それは、添削を受けてみないとわかりません。
この記事を読むだけでは、残念ながら添削を受けることができません。
ですので、その代わりに今回は「添削を受ける」にはどうすればいいかという方法をご紹介します。
なお、3つの手順については前回のコラムで詳しく解説しているので、まだ読んでいない方は先にそちらをご覧ください。
添削を受ける
経験記述を合格基準に達する文章にするために100%やってほしいことが、「添削をしてもらう」という工程です。
私の周りの合格した人は100%経験記述の添削を受けています。
なぜか?
経験記述の文章が良いか悪いか判断をするのは、書いた本人ではなく第三者だからです。
自分では満足している文章でも、別の人が見ると正しく伝わらない場合もあります。
自分の想いや考えが正しく表現できているかどうか、第三者に必ず見てもらいましょう。
他の人に文章を見てもらうことで、文章をブラッシュアップすることができます。
合格するためには、必ず添削を受けましょう。
では、どんな人に見てもらえばいいの?という疑問を持っている人もいると思います。
【添削を依頼すべき人】
- プロの添削サービス
- 会社の先輩・上司
- 同僚
優先順位として、まずは企業などが実施している添削サービスがおすすめです。
実際に、私も当時勤めていた会社が用意してくれた添削サービスを受けました。
デメリットとしては、お金がかかるということと、サービスが売り切れてしまう可能性があるということ。
この2つがあります。
次におすすめなのが、すでに資格を持っている会社の先輩や上司等です。
「お金をかけたくないな」とか、「直前すぎて企業のサービスはもう頼めない」なんて方にピッタリです。
気軽に頼みやすい方がいるのであれば、添削をお願いしてみることをおすすめします。
デメリットとしては、合格基準に達するか保証ができないということ。
いくら会社の先輩や上司が資格を持っていたとしても、実力が高いとしても、土木施工管理技士試験における添削のプロではありません。
実際、毎年何百、何千と添削を行っているプロの方に比べると劣ってしまいます。
最後に会社の同僚です。
同じ試験を受ける者同士でお互いに添削しあうと、実力が上がります。
ただ、こちらも会社の先輩等と同じで、必ずしも合格の基準に達する保証はありません。
経験記述を書くうえで大事なポイント
経験記述を書く際に大事なポイントを3つ紹介します。
- 最低限の文字数を満たす
- 丁寧に書く
- 語尾を「だ」「である」で統一する
文字数を満たす
施工経験に関する問題については、「○文字以上で解答せよ」というような明確な指示はありません。
とはいえ、合格に達する論文には、ある程度の基準があります。
あくまで目安ですが、解答欄の8割以上が埋まるくらいの文章量が最低限のラインだと思ってください。
そして、1行の文字数は20~25文字程度が目安です。
最低限の文字数は書くようにしましょう。
丁寧に書く
第二次検定と第一次検定の大きな違いに、採点者が「人」なのか「機械」なのかという点があります。
第二次検定は問題が記述式であるため採点者は「人」です。
記述式という問題の性質上、どうしても人が判断しなくてはなりません。
そのため、採点者が読んでわかる文章や文字である必要があります。
とはいえ、
「私は字が汚いから、合格できないの?」と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、そういうわけではありません。
もちろん、キレイな文字が書けるほうがいいですが、実際に字が汚なかったとしても丁寧に書くことはできます。
採点者としては「キレイか」「汚いか」も重要ではありますが、大事なのは「丁寧か」「丁寧でないか」です。
当日は焦るかもしれませんが、丁寧に文字を書きましょう。
そして、経験記述は“採点者に読んでいただく”という認識を忘れないようにしましょう。
語尾を「だ」「である」で統一する
合格するためには、文章の細部までこだわりましょう。
経験記述を書く際には、「です」「ます」調の表現を使わないのが一般的な記載方法です。
ほとんどの参考書でも「だ」「である」を使用した例文が用いられているので、よほどのこだわりがある方以外は、「~である」「~だ」「~した」を使用しましょう。
記載例 テンプレ
最後に書き方の例として、テンプレを紹介します。
例年通りであれば、
経験記述作文の問題は出題傾向が明確で、出題されたテーマに対して、以下の設問に関する自分の経験を記述します。
【設問】
- 具体的な現場状況と特に留意した技術的課題
- 技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容
- 上記検討の結果、 現場で実施した対処処置とその評価
令和6年度以降は、これだけの対策では不十分かもしれません。
ですが、まずはこの3つの設問に対する解答を事前に用意しておくのが最低限の準備です。
まずは、例年通りの解答を準備しましょう。
例文を交えてどのように記載していけばいいのか、解説していきます。
具体的な現場状況と特に留意した技術的課題
ここでは、工事概要について簡単にまとめ、その現場特有の条件により発生する課題を記入します。
本工事は[施工場所]における、[代表的な工種と数量]の[事業概要を踏まえた工事内容]工事である。
[課題の原因となる現場の条件(立地、地形、気候、季節…等)]
[一番の課題]を防止し、[テーマに沿った内容(安全管理上、品質を確保するため等)]が技術的課題であった。
【記述例】
本工事は県道○号線における、切土量○m3、盛土量○m3、逆T型擁壁工(H=4.0m)L=35.0mの道路改良工事である。逆T型擁壁工の施工時期が冬季に計画されているため、擁壁コンクリート打設の際に、気温が4℃以下になることが予想されていた。そのため、逆T型擁壁の施工にあたり、寒中コンクリートとして、初期凍害の防止と強度の確保が品質管理上の技術的な課題であった。
最初の2~3行で工事概要をまとめます。
メインの工事数量と、技術的課題に関係する工種も必ず記載が必要です。
次に現場固有の条件を記載します。こちらも、技術的な課題につながるものを選んでください。今回の記述例では、逆T型擁壁工の施工時期が冬季になるということです。
最後に、現場の条件が原因で発生する技術的な課題を記載します。
空欄が多すぎると、減点の対象となる可能性があるため、技術的課題につながる内容をわかりやすく、詳しく、具体的に記述しましょう。
ちなみに、今回の記述例は文字数が176字です。
技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容
ここでは、上述した課題に対して、解決するために必要なことを書いていきます。
[課題と起因する条件]において、[テーマに沿った管理項目]を達成するため、以下の検討を行った。
①[不具合が発生する理由]のため○○○を検討した
②[不具合が発生する理由]のため○○○を検討した
③[不具合が発生する理由]のため○○○を検討した
主な検討項目の例
施工計画、材料の種類、養生方法、検査・試験の頻度、施工機械、工程、点検方法
【記述例】
昨年度の外気温のデータから、氷点下になることが予想されていた。冬季の施工においてコンクリートで所定の品質を確保するため、以下の検討を行った。
①長期的な耐凍害性を高めるため、適切な混和剤の選定の検討
②打設直後の初期強度を確保できるよう水和反応を促進するセメントの種類を検討
③コンクリートの凍結を防ぐため保温性の高い型枠材の検討
④養生時に保温養生だけではコンクリート表面の温度が4℃以下になることが予想されるため、給熱養生を検討
なお、この検討内容の記述が難しい場合は、「実施した内容」から先に考えていくという方法もあります。
「実施した内容」が固まると、そのためにどのような検討が必要だったか、という視点で考えられるので、その方がわかりやすい場合もあります。
上記検討の結果、現場で実施した対処処置とその評価
ここでは、最初にあげた課題を解決するために、事前に検討した内容を踏まえて、実施した結果どうなったのかを書きましょう。
対応処置として、以下の内容を実施した。
①実施した内容を数値入りで具体的に記述
②実施した内容を数値入りで具体的に記述
③実施した内容を数値入りで具体的に記述
以上の項目を検討して実施した結果、[望む結果]となった。
このような[対応処置]は、[技術的課題]を解決し、[テーマとなる管理]を達成できると評価できる。
【記述例】
対応処置として、以下の内容を実施した。
①初期の水和反応を促進させるため、セメントの種類をBBから普通へ変更
②混和剤は高性能AE減水剤を使用し、空気量を4.5%から5.5%へ変更
③型枠を鋼製型枠から熱伝導率が低く、保温性が高い木製の型枠へ変更
④打設足場を養生シートで囲い、ジェットヒーターによる給熱養生を実施
以上の項目を検討して実施した結果、所定の品質を確保できた。このような使用材料の変更や、給熱養生を行うことで、寒中コンクリートの品質確保に有効な方策であったと評価できる。
「望む結果」は、品質管理の場合だと「所定の品質を確保することができた。」のような記載になります。
安全管理の場合は「安全に工事は完了し、無事に竣工した。」のように、対応処置と評価を記載し、記述を締めくくります。
まとめ
前回から2回にわたり、第二次検定の鬼門である経験記述について解説しました。
ちなみに、私の公式LINEでは土木施工管理技士に関する最新の情報を配信しています。
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追伸
公式LINEでは土木施工管理技士の試験に関する質問を受け付けています。
経験記述の書き方など、疑問があればお気軽にお問い合わせください。
ちなみに、経験記述の添削を受ける人がいないという方もぜひご相談ください。
数名程度であれば、添削を行いたいと思います。
(キャパシティに限りがあるため、増えすぎた場合や直前の場合はお断りさせていただきます)
もし、需要があれば今後は私の方でも添削サービスを公開したいと思います。
追伸の追伸
なお、土木施工管理技術検定における独学での勉強方法をこちらの記事で解説しています。
1万字超えのボリュームで徹底的に解説しているので、独学で勉強をしている方にはおすすめの記事です。
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