土木施工管理技士講座 第6回「第二次検定対策」

ナレッジ/ノウハウ

どうも、Webライターの佐藤拓真です。

今回は1級土木施工管理技士試験の第二次検定における経験記述以外の記述式問題について解説します。

佐藤

突然ですが、ここで質問です。「第二次検定について、準備は大丈夫ですか?」

この質問に自信を持って「YES!」と答えられる方は、今すぐ前の画面に戻っていただいて構いません。

でも、
「第二次検定のための勉強はしてないな…」
とか、
「過去問もあまり見てない…」
とか、
「経験記述の勉強しかしてないや…」
とか、
第二次検定の準備について、自信を持って「YES!」と答えられない方は、ぜひ最後まで読んでください。

なお、経験記述については前回前々回で解説しているので、以下の2記事を参考にしてください。

どちらも5,000字以上のボリュームで徹底的に解説しています。

ちなみに本記事は、第二次検定における経験記述以外の問題について、参考書などとは異なり、あくまで補助的に学習に役立てていただきたいと考えて執筆しました。

つまり、第二次検定の問題について網羅しているわけではありません。
理由としては、第二次検定の対策をすべて解説しようと思うと、膨大な量になってしまうからです。

そこで、今回は出題される傾向が高い分野にギュギュっと絞って、「コンクリート工」「土工」「安全管理」の3つを重点的に解説します。

佐藤

サクッと読めて、点数がグインと伸びる!そんな内容でお届けします。

【著者紹介】
元準大手ゼネコン勤務|土木の現場監督7年|ブロガー兼Webライター|SNS総フォロワー2.3万名|出版書籍「仕組み図解 土木工事が一番わかる」

第二次検定の問題

土木施工管理技術検定における第二次検定は、「施工経験の記述問題(経験記述)」と「それ以外の記述問題」の大きく2つに分類されます。

近年の変更点として、令和3年度の試験制度変更から、必須問題と選択問題の出題数が変わっているので注意してください。

令和3年度以降の問題構成

  • 問題1~3  必須問題
  • 問題4~7  選択問題(1) 4問のうち2問解答
  • 問題8~11 選択問題(2) 4問のうち2問解答

このような設問で試験問題が構成されています。

必須問題

問題1は施工経験の記述問題、いわゆる経験記述です。
これは例年変わっていません。

問題2および問題3で過去に出題された内容は以下の通りです。

年度 問題2(穴埋め) 問題3(説明記述)
令和3年度 コンクリート 施工計画
令和4年度 安全管理 土工
令和5年度 コンクリート 安全管理

選択問題(1)

問題4~7は選択問題の(1)です。
4つの問題の中から、2つを選んで解答します。

穴が開いている文章に当てはまる語句を答える穴埋め式の問題です。

▼令和5年度の過去問

【出典】令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題

過去3年分の問題は以下の通りです。

年度 問題4 問題5 問題6 問題7
令和3年度 土工 品質管理 安全管理 施工計画
令和4年度 コンクリート 土工 安全管理 品質管理
令和5年度 土工 コンクリート 安全管理 環境保全

選択問題(2)

選択問題(2)は説明記述式の問題です。選択問題(1)と同じく、4つの問題から2つを選びます。

令和5年度は、問題8、9、10で「施工上の留意点」などを記述するような問題が出題されました。

▼令和5年度の過去問

【出典】令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題

また、問題11は図面やイラストから施工の手順や施工上の留意点を答える問題でした。

▼令和5年度の過去問

【出典】令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題

なお、令和3~5年度の3年間で出題された内容は以下の通りです。

年度 問題8 問題9 問題10 問題11
令和3年度 土工 コンクリート 安全管理 施工計画
令和4年度 土工 コンクリート 安全管理 建設副産物
令和5年度 コンクリート 土工 安全管理 施工計画

「土工」「コンクリート工」「品質管理」「安全管理」「施工計画」「建設副産物」の問題がバランスよく出題されています。
なお、過去をさかのぼっても、一度出題されたものと同じ内容の問題が出てくることはほとんどありません。

佐藤

過去問を丸暗記しても得点は見込めないので注意が必要です。

問題の傾向が分かったところで、ここからは令和4年度および令和5年度の「1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題」を例に、具体的に覚えるべき内容について解説していきます。

第二次検定の対策① コンクリート工

コンクリートの問題では、「運搬」から「打設」「養生」など、満遍なく出題されています。
過去問を交えて詳しく解説していきますね。

コンクリートの問題-1

令和5年度 選択問題(1) 【問題5】
(「令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題」より)

☆出題内容
コンクリートの運搬、打込み、締固め

☆問題
コンクリートの運搬、打込み、締固めに関する次の文章の[ 空欄 ]に当てはまる適切な語句又は数値を解答欄に記述しなさい。

☆解答(赤字の部分が解答箇所)

(1)コンクリートを練り混ぜてから打ち終わるまでの時間は、外気温が25℃以下のときは[ 2.0 ]時間以内とする。

(2)コンクリートを2層以上に分けて打ち込む場合、[ コールドジョイント ]が発生しないよう許容打重ね時間間隔を外気温25℃以下では2.5時間以内とする。

(3)梁のコンクリートが柱のコンクリートと連続している場合には、柱のコンクリートの[ 沈下 ]がほぼ終了してから、梁のコンクリートを打ち込む。

(4)棒状バイブレータは、コンクリートの[ 材料分離 ]の原因となる横移動を目的として使用してはならない。

(5)コンクリートをいったん締め固めた後、[ 再振動 ]を適切な時期に行うことによって、コンクリート中にできた空隙や余剰水を少なくすることができる。

■ポイント

(1)コンクリートの打ち終わりまでの時間
コンクリート標準示方書では以下のとおりです。

外気温が25℃を超えるとき 外気温が25℃以下
練り混ぜ~打ち終わり 1.5時間 2.0 時間

なお、打ち重ね時間は「練り混ぜ~打ち終わり」に+30分です。
例:25℃以下の場合は、2.5時間以内

(2)コールドジョイント
暑中コンクリートにおける代表的な不具合がコールドジョイントです。コールドジョイントを防ぐためには、下層のコンクリートが固まる前に上層のコンクリートを打ち込み、下層のコンクリートに10cm程度挿入します。

(3)沈下ひび割れ
スラブのコンクリートが柱や壁のコンクリートと連続している場合は、沈下ひび割れを防止するために、柱や壁のコンクリートの沈下が落ち着いてからスラブのコンクリートを打設します。

(4)打ち込み
型枠内に打ち込むコンクリートは、横移動させると材料分離が生じるので、直接目的の位置におろします。

(5)再振動
コンクリートを締め固めた後に再振動を行うと、コンクリートは再び流動性を帯びます。
その結果、コンクリート中にできた空隙や余剰水が少なくなることで、強度の増進や沈みひび割れに効果があります。

コンクリートの問題-2

令和5年度 選択問題(2) 【問題 8】
(「令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題」より)

☆出題内容
コンクリートの養生

☆問題
コンクリートの養生に関する施工上の留意点を5つ、解答欄に記述しなさい。

☆解答例
・コンクリートの打上がり面には、シート等で日よけや風よけを設ける
・所定の強度が発現するまで型枠を存置する
・初期凍害を防ぐために、養生中のコンクリート温度を5℃以上に保ち、さらに2日間は0℃以上に保つ
・養生期間中は、振動、衝撃、荷重等の有害な作用からコンクリートを保護する
・暑中コンクリートの打込み後24時間は露出面を湿潤状態にし、養生は少なくとも5日以上行う
・マスコンクリートは、コンクリートの内外の温度差を緩和するため、コンクリート表面に断熱性のある発泡スチロールやシートを用い保温養生する

■ポイント

選択問題(2)では、「養生」や「打継ぎ」といった問題が出題されるので、以下の内容を押さえておきましょう。

「養生」

  • 暑中コンクリートの打設に関する留意すべき事項
  • 寒中コンクリートにおける初期凍害防止のための給熱養生における留意点
  • 打設初期の沈みひび割れ、マスコンクリートにおける温度ひび割れの防止対策

「打継ぎ」

  • 打継ぎ目を設ける位置、水平打継ぎ目の表面処理
  • コンクリートを打ち重ねる場合の留意点

第二次検定の対策② 土工

土工に関する問題としては、「軟弱地盤対策」と、そのほかは品質管理と関わっている問題が多く出題されています。
そのため、今回は土工事における品質管理の基本である土の締固めについて、過去問を交えて解説します。

なお、軟弱地盤対策については、第3回「土木施工管理技士の試験直前に覚えておくべきこと100選【今からでも間に合う】」の記事で代表的なものをまとめているので、こちらをご覧ください。

土工の問題

令和4年度 選択問題(1) 【問題5】
(「令和4年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題」より)

☆出題内容
土の締固め

☆問題
土の締固めにおける試験及び品質管理に関する次の文章の[ 空欄 ]に当てはまる適切な語句を解答欄に記述しなさい。

☆解答(赤字の部分が解答箇所)

(1)土の締固めで最も重要な特性として、下図に示す締固めの含水比と密度の関係が挙げられ、これは締固め曲線と呼ばれ、ある一定のエネルギーにおいて最も効率よく土を密にすることができる含水比を[ 最適含水比 ]といい、その時の乾燥密度を最大乾燥密度という。

(2)締固め曲線は土質によって異なり、一般に礫や[ 砂 ]では、最大乾燥密度が高く曲線が鋭くなり、シルトや[ 粘土 ]では最大乾燥密度は低く曲線は平坦になる。

(3)締固め品質の規定は、締め固めた土の性質の恒久性を確保するとともに、盛土に要求する[ 品質 ]を確保できるように、設計で設定した盛土の所要力学特性を確保するためのものであり、[ 材料(土質) ]や施工部位によって最も合理的な品質管理方法を用いる必要がある。

■ポイント

土の締固めについては、品質管理の問題ともいえますが、今回は土工事として解説します。
よく出題される問題ですし、土を扱う土木技術者であれば、必ず知っておくべき内容です。大事な知識なので必ず押さえておきましょう。

締固めにおいて、含水比と密度の関係を表したものが締固め曲線です。

この図のように、一定のエネルギーで効率よく締め固めることができる含水比を最適含水比といい、その時の密度を最大乾燥密度といいます。
現場では最大乾燥密度を活用して、締固め度を求めます。
締固め度は、最大乾燥密度に対する単位体積重量によって求められた乾燥密度の割合です。

締固め度=(現場で測定した乾燥密度)/(最大乾燥密度) × 100(%)

実際の現場では「締固め度」と「含水比」により品質管理を行います。

ちなみに、最適含水比と最大乾燥密度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

3分くらいで読める記事なので、土工事に携わる可能性がある方は、現場で知らなくて困る前にサクッと確認しておきましょう。

第二次検定の対策③ 安全管理

安全管理の問題は、「事業者の責任」を問う問題が多く出題されます。
さらに、「型枠支保工」「足場」といった問題では、数値を問う問題が出題されているので、しっかりと覚えましょう。

こちらも今までの解説と同様に、過去問を交えて詳しく解説していきますね。

安全管理の問題-1

令和5年度 選択問題(1) 【問題6】
(「令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題」より)

☆出題内容
型枠支保工における安全対策

☆問題
労働安全衛生法で定められている型枠支保工に関し、事業者が実施すべき措置について、次の文章の[ 空欄 ]に当てはまる適切な語句又は数値を解答欄に記述しなさい。

☆解答(赤字の部分が解答箇所)

(1)型枠支保工の材料については、著しい損傷、[ 変形 ]又は腐食があるものを使用してはならない。

(2)型枠支保工を組み立てるときは、支柱、[ はり ]、つなぎ、筋かい等の部材の配置、接合の方法及び寸法が示されている組立図を作成し、かつ、当該組立図により組み立てなければならない。

(3)型枠支保工の設計荷重は、型枠支保工が支える物の重量に相当する荷重に、型枠1㎡につき[ 150 ]kg以上の荷重を加えた荷重によるものとすること。

(4)支柱の継手は、[ 突合せ ]継手又は差込み継手とし、鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の金具を用いて緊結すること。

(5)鋼管(パイプサポートを除く。)を支柱として用いる場合は、高さ[ 2 ]m以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。

■ポイント

すべて労働安全衛生規則に準じて出題されている問題です。

(1)不良品を取り除くことも事業者が行うべきことです。
「労働安全衛生規則 第二編 第三章 型わく支保工 第二百三十七条」

(2)部材の名称をしっかりと覚えましょう。
「労働安全衛生規則 第二編 第三章 型わく支保工 第二百三十八条」

(3)労働安全衛生規則では、作業荷重として150kg/㎡を見込みます。
「労働安全衛生規則 第二編 第三章 型わく支保工 第二百四十条」

(4)部材の接続部は弱点となりやすいので、専用の金具やボルトを用いて緊結します。
「労働安全衛生規則 第二編 第三章 型わく支保工 第二百四十二条」

(5)数値はよく出題されるので、しっかり覚えましょう。
例えば、現場で人の身長以上(2m)、水平材を付けていない状態を見た時は「おかしいな…」と感じると思います。
数値だけを覚えようとするとなかなか記憶に残りづらいですが、現場の状況をイメージすると覚えやすくなるのでおすすめです。
「労働安全衛生規則 第二編 第三章 型わく支保工 第二百四十二条」

佐藤

型枠支保工に関連する鉄筋コンクリート工を行う工事に携わった人は、すぐに答えられる問題だと思います。型枠支保工の工事を経験していない人は、この機会に数字までしっかりと覚えてください。

安全管理の問題-2

令和5年度 選択問題(2) 【問題10】
(「令和5年度1級土木施工管理技術検定 第二次検定試験問題」より)

☆出題内容
車両系建設機械に対する安全対策

☆問題
車両系建設機械による労働者の災害防止のため、労働安全衛生規則の定めにより事業者が実施すべき具体的な安全対策を5つ、解答欄に記述しなさい。

☆解答例
・作業方法や運行経路についての作業計画を定め、関係労働者に周知する
・あらかじめ作業場所における地質状況を調査し、その結果を記録する
・車両系建設機械の用途外使用を禁止する
・車両系建設機械と労働者の接触を防ぐため、車両系建設機械の作業半径の立ち入り禁止措置を実施する
・誘導者を設置する場合、一定の合図を定め、誘導者に合図を行わせる

まとめ

以上、土木施工管理技術検定における第二次検定について、頻出問題を中心に過去問を交えて解説しました。

経験記述の準備ができたら、次はそれ以外の問題もしっかりと対策しましょう。
出題される問題は、現場を進めていくうえで知っておかないと恥ずかしい内容のものばかりです。覚えたことは決してどれも無駄になりません。

合格目指して、一緒に頑張りましょう。

作者紹介 佐藤拓真さん

作者紹介 佐藤拓真さん

準大手ゼネコンで土木の現場監督として7年勤務。建設業界関連で合計11年働いています。自身のブログ 『つちとき』 では、若手の土木技術者に向けて工事現場で実際に学んだ知識を公開中。X(旧Twitter) でも情報発信しており、フォロワーは合計2.3万人。プライベートでは娘が2人いる30代の父親です。著書『しくみ図解 土木工事が一番わかる」

◆佐藤拓真さんのブログ 土木工学と建設業のブログ『つちとき』
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