土木施工管理技士講座 第1回「合格に必要なたった1つのコト」
こんにちは、
土木施工管理技士のWebライター佐藤拓真と申します。
今月から“土木施工管理技士技術検定対策”として、コラムを担当させていただきます。
このコラムは全12回と1年間の連載をさせていただく予定です。
「読むだけで土木施工管理技士の点数が10点上がる」をコンセプトに執筆していきますので、どうぞよろしくお願いします。
ということで、ここで少し簡単に自己紹介させていただきますね。
私は大学を卒業して、準大手ゼネコンで土木の現場監督として7年間働いてきました。
そして、2021年から若手技術者向けに自らが学んだことを発信しようと、建設業と土木工学のブログ「つちとき」の運営を開始。
その中で、ブログの方にある方から連絡をいただき、商業出版として書籍「仕組み図解 土木工事が一番わかる」を出版させていただきました。
今回、縁あって建設データ株式会社様の方でも、コラムを書かせていただきます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
さて、記念すべき第1回目のコラムの内容ですが、ズバリ「土木施工管理技術検定に合格するために大切なたった1つのこと」です。
土木施工管理技術検定に合格するために大切なたった1つのこと
ここで、質問です。
あなたは土木施工管理技士の試験に“合格できる人”と“合格できない人”の違いがわかりますか?
「難しい現場を経験したかどうか?」
「現場経験の長さ?」
「それとも学歴?」
残念ながら、どれも不正解です。
もちろん、どれも正解と言えば正解になります。
難しい現場を経験した方が技術力は高いと思いますし、工事の経験はあった方が良いとは思いますし、学歴もあった方が地頭はいいかもしれません。
ですが、どれも決定的な決め手にならないという点では、不正解です。
だって、あなたもわかると思いますが、
いくら難しい現場を経験していても、
現場の経験が長くても、
大学院卒や大卒の人でも、
不合格になっている人はたくさんいます。
なので、答えを言う前に、ちょっと私の話をさせてください。
私が受検したのは当時、2017年。
会社から「実務経験3年積んだら1級土木を受けろ」と言われました。
土木施工管理技士の技術検定を初めて受検。
1回の受検で第一次検定(旧学科試験)と、第二次検定(旧実地試験)ともに合格できました。
なぜ、1回の受検で合格できたのか?
それは先ほどの質問の答えがあったからです。
まぁ、そのときは何かよくわからずに、ガムシャラに取り組んでいただけでしたが…
都内の本社で同期約30名と飲み会で話している時に、あることに気がつきました。
同期A「俺、1級土木受かったよ」
私「えー、そーなんだー。おめでとう。どれくらい勉強したの?」
同期A「100時間くらいかな?」
私「それくらいで受かったんだ。すごいね」
同期B「そーなんだー。俺は落ちちゃったよ。。。」
私「Bさんの現場は大きいし、忙しいから勉強時間を作れないよね」
同期B「そーそー。それもあるんだけど、実際にはさー。ゴニョゴニョゴニョ…」
私「えっ?(確かにそれは合格できないか…)」
そこで、ピンときました。
「合格している人は、みんな○○がある!」と
合格している人には、“ある1つの共通点”がありました。
受かっている人と受かっていない人の差は本当に紙一重です。
合格できる側の人間になるには、コレが必要。
とここまで話してきましたが、
「もったいぶらずに早く教えてください」
という声が聞こえてきそうなので、答えをいいます。
これが結論です。
「知らないと合格できないたった1つのこと」
それは「心構え」です。
心構えというのは、ちょっと言い方をかえると「マインドセット」「考え方」といった感じです。
もっと泥臭く言うのであれば、「何が何でも受かってやる」という気持ちです。
なぜなら、マインドがないと「行動」と「継続」が伴わないから。
テクニックなどはマインドという土台があってこそ、はじめて活きます。
なので、
試験に臨むにあたって、自分が気を付けてきたこと。そして、後輩へ共有して効果のあったことをお伝えします。
先ほどの同期Bさんが合格できなかったのも、「心構え」がなっていなかったから。
合格してやるという気持ちがそれほど強くなく、前日にもパチンコを打っていたそうです。
とはいえ、
「心構えってなんだよ、それ?」
「合格したいと思えば、誰でも合格できるわけじゃないでしょ」
って思ったかもしれません。
じゃ、どうすればいいの?
ということを解説する前に、
ここまで読んでくださった方に、ちょっと質問です。
試験に臨むにあたって、あなたもこんなこと思っていませんか?
- 会社から試験を受けろと言われたけど、合格する自信がない
- 忙しくて勉強する時間がないよ
その気持ちわかります。
私も会社から言われて試験を受けましたが、毎日帰るのは21時過ぎ。
休みは日曜日だけで、ほとんどが寝ているだけで終わってしまう。
でも、そんな私でも、1級土木施工管理技士の試験に一発で合格できました。
「大卒だからでしょ」「もともと知識があったんじゃないの」「大手のスクールに通ったんじゃない?」
どれも違います。
なぜ私が合格できたのかというと、先ほども解説させていただきましたが、会社の上司から「試験に合格する人が持っている考え方」を教えてもらったから。
私は運よく、準大手ゼネコンで30億円規模の仕事をバリバリこなす40代の上司から試験に臨むための心構えを教えてもらえたので、合格できました。
勉強する前にまず大事なのが、心構えです。
なので、今回の記事で、その心構えをあなたにも共有します。
そして、合格するために必要な勉強の進め方についても解説するので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
土木施工管理技士の試験に合格するための○○
試験に合格するための心構え。
まず、結論です。
試験に合格するための心構えは3つ
・試験を知る
・逆算思考で考える
それぞれ解説していきますね。
合格するための心構え ①やらないことを決める
合格するために一番大切なのが、“やらないことを決める”ということ。
現場監督や施工管理の仕事で日々業務に追われている方は、「勉強したくても時間がない」ということが一番の悩みだと思います。
今の生活にプラスして何かをするというのは現実的ではありません。
何かをする時間を作るためにまずやるべきことは、今やっている中で「やめること」を決めましょう。
私は日々の生活を見つめなおし、以下の内容をやらないと決めました。
平日のYouTube 鑑賞、休日のパチンコ
試験まではこの時間を勉強にあてると決めて、時間を作りました。
※今はやらないですが、現場で働いていた時はパチンコにもよくいっていた普通の人間でした。今は子育てや執筆活動に日々追われて忙しくさせていただいております。
合格するための心構え ②試験を知る
次に、2つ目で「試験を知る」
1級土木施工管理技士試験は国家試験で、明確に出題の傾向があります。
そのため、まずは“どんな試験なのかを理解して対策をする”ということが、最短距離で合格する方法です。
でも、こんなことを言うと、「試験に合格するためだけの勉強なんて意味がないんじゃないですか?」という声もあると思います。
しかし、私は「試験に合格するために勉強する」というのが必ずしも悪いことだとは思いません。
どれだけ知識があるか、経験をしているのかということも、技術者としてもちろん大事なことだと思います。
でも、「試験を受けて合格する」という「目標に向かって努力できるかどうか」も大切なことです。
努力するというのも大切な能力と言えます。
だからこそ、合格するために、まずはどんな試験で、どんな問題が出題されるのかをしっかり勉強して理解しましょう。
合格するための心構え ③逆算思考で考える
大事な心構え3つ目が、逆算思考で考えるということです。
まずは、試験の合格基準を知ります。
第一次検定の合格基準は2つ。
・施工管理法(応用問題)だけで6割以上の正解
合格に向かって今の自分に「何が必要」か、「どの知識が足りない」のか可視化してから、そのギャップを埋める努力をしましょう。
具体的に言うと、まずは過去問を解いて現状の得点を把握しましょう。
合格基準の39点に対して、自分の得点が25点だとします。
その足りない14点をどうやって獲得するのか考えて勉強する必要があります。
これが、合格というゴールに向かって必要なことを逆算するという考え方です。
やみくもに勉強を始めても合格できません。
では、実際にどうやって勉強を進めていけばいいのか解説します。
合格するための勉強の進め方
「ゴールから逆算してものごとを考える必要がある」と先ほどお伝えしました。
では、実際にどうやって勉強を進めていけばいいのか?
1級土木施工管理技士の第一次検定を例に解説します。
①まずは過去問を3年分解く(現状の把握)
②現状を踏まえて目標の点数を決める(目標の設定)
③目標と現実のギャップを埋めるために勉強する
この流れで進めていきます。
詳しく解説しますね。
過去問を3年分解く(現状の把握)
まずは現状の実力を把握するために、本来であれば過去問を5年分を解くべきなのですが、令和3年度に試験問題の変更があり施工管理の問題が追加された関係上、まずは3年分を解きましょう。
ちょっとめんどくさいですが、実際の試験同様にタイマーを使って時間を区切ってみましょう。
もちろん、ここで全然点数が取れなくても落ち込む必要はありません。
現状で自分が取れるところを把握して、捨てるところを選ぶために行う工程です。
現状を把握したら、次にやるのが目標の設定になります。
現状を踏まえて目標の点数を決める(目標の設定)
目標の設定をするために、まずは先ほどの点数を以下のシートに書き入れます。
現状の点数をもとに、合格するために必要な配点を決めましょう。
私がおすすめする配点例も併せて記入してありますので参考にしてください。
全体として、45点を目標にすれば大きな失敗をしない限りは十分合格を狙えます。
ちなみに、施工管理法の応用問題は、その部分だけで6割以上の点数が必要です。
15問中9問以上の点数が必要なので、11点を目標にするといいかと思います。
目標と現実のギャップを埋めるために勉強する
目標となる点数を獲得するために、過去問を中心に勉強しましょう。
なぜなら、過去問は一種のボーダーラインになるからです。
過去問に出題されているレベルの問題が解けることが、1級土木施工管理技士の試験の目安になります。
過去に出題された問題を繰り返し解いて、復習することが一番成果に繋がる勉強法です。
逆に、絶対にダメな勉強方法が参考書から勉強を始めること。
これでは、いくら時間があっても足りません。
①過去問を解く
②答え合わせをする
③間違えた部分に限り参考書で理解を深める
間違えた部分を中心に、目標としていた配点を満たすことができるように、復習しましょう。
大まかではありますが、全体の勉強の流れを解説しました。
やるべきことが明確になったと思います。
合格に向かって一緒に頑張っていきましょう。
追伸
ちなみに、
なぜ、私がこんなことをやっているのかというと、それは建設業界が良い業界であることを多くの人に知ってほしいということに加えて、業界をさらに盛り上げていきたいから。
私の発信をきっかけに「建設業界って良い業界なんだ」と知ってもらい、建設業界で働く人が増え、施工管理技士の試験に受かる。なんて良い変化が起きてくれれば嬉しいです。
そんな想いで日々発信をしています。
なので、このコラムをきっかけに土木施工管理技士の技術検定の点数がUPして、「土木管理技士の試験に合格しました」なんて嬉しい報告をもらえると私も嬉しいです。
次回以降も、施工管理技士の試験の点数を上げるのに、役に立てるようなコラムを執筆してまいりますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。
※大事なお知らせ※
令和6年度の土木施工管理技士技術検定において出題される問題に変更があると公式に発表されました。
・第一次検定
第二次検定の所要実務経験年数を学歴に拘らず一定とすることから、1級と2級の第一次検定問題の充実を図るため、土木施工管理技士に必要な工学基礎知識を確認できるように、令和6年度以降、新たに土質工学、構造力学、水理学の分野を追加する。なお、2級土木の鋼構造物塗装と薬液注入については従来通りとする。
・第二次検定
受検者の経験に基づく回答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない回答を防ぐ観点から、1級と2級の第二次検定においては幅広い観点から経験を確認する設問として見直しを行う。
といった変更点が発表されています。
第一次検定は、土質力学、構造力学、水理学が追加されます。
令和5年以前に比べて情報が変わっていますので、注意してください。
最新の情報を記載するように配慮してまいりますが、ご確認いただきますようお願いいたします。
作者紹介 佐藤拓真さん
作者紹介 佐藤拓真さん