建築家が災害について考える
建築家が災害について考える
【コラム 1級建築士による建設アラカルト】【独学1級建築士 nandskさん】
仕事柄、「この土地に建物を建てられませんか?」という相談を受けることがよくあります。
そんな時に、建築士としてのアドバイスをしてあげていますが、どういったところに注意しているのか、本日はその一部だけでもお伝えします。
まず、役所で用途地域や建築協定などの法令関係は見ておきましょう。
そうしたら、次はその土地に何があるか、目視で見てみましょう。稀に、現地に行かずに土地を購入したりする人がいますが、これは大変危険です。
公図や住宅地図ではわからなくても、現地に行くと驚かされることが多々あります。
既存の建物が建っているのは一般的ですが、中には井戸があったり、道路との間に段差があったりします。
ぱっと見て、誰でもわかることも多いので、まずは目視でチェックしてみましょう。
次に注意したいのは、土地の権利関係。抵当権や根抵当権などが設定されているとちょっと複雑です。
また、隣地や道路なども調べられる範囲で調べておきましょう。
特に道路は、それが公道なのか私道なのかでかなりの違いがあります。
私道の場合は、位置指定道路になっていることが多いですが、道路の補修などの維持管理は自分たちでやらないといけませんし、上下水道がしっかりと道路に通っているかもわかりません。
その流れで上下水道・電気・ガスなどのインフラ関係も調べておきましょう。
分譲地などであれば整備されているパターンが多いですが、場合によっては水道を延伸してもらう必要があるなど、自費で追加工事が必要になる場合も。
電線が来てない場合も電柱を建てないといけないので、大変になります。
そして、今では大分浸透してきていますが、防災面でのチェックも重要です。
土地の名前に水に由来する文字が入っていると危ないとか言われることもありますが、周辺に比べて低い地域の場合は水が溜まりやすい場所の可能性もあり、大雨時の冠水や地盤が緩んでいる危険性もあります。
沿岸部の津波などはわかりやすいですが、雨水の流れや土砂災害などの危険性が無いか、自治体のハザードマップなどを参考に確認しておきましょう。
水に関連した話だと、大昔に田んぼだった場所はやはり地盤が良くないことが多いので、土地の歴史にも注目です。
他には、購入するとなると施行会社を指定される建築条件付土地などとして販売されていることもあるので、こういった不動産会社が付けた条件にも注意が必要です。
土地の購入は高い買い物ですので、しっかりとチェックし、不安があれば専門家に見てもらうのがいいでしょう。
今回のコラムは【独学1級建築士 nandskさん】
独学により1級建築士に合格。住宅やアパートの設計・工事監理、特殊建築物の維持管理、公共施設の工事設計・監督の経験あり。2級、1級建築士試験受験者へのアドバイスも行っている。『建築の楽しさを多くの人に知ってもらいたい』と話す