【特定建設業許可】許可更新の年なのに財産要件が満たせない。建設業者必見!更新できる可能性を紹介【経営再建】
建設業法 建設業許可 【特定建設業許可】許可更新の年なのに財産要件が満たせない。建設業者必見!更新できる可能性を紹介【経営再建】
経営状況が悪化して、特定建設業許可の更新ができないかも…。
建設業許可は5年毎に更新しなければなりません。
特に「特定建設業許可」については、更新の時には特定建設業許可の要件の1つである「財産要件」を満たしていなければなりません。
※建設業許可業者は事業年度終了毎に決算変更届を提出する義務がありますが、更新までの間は財産要件を満たせなくても問題ありません。
通常、財産要件は許可申請日(更新)直前の事業年度を基準にして財産要件を判断しますが、決算日から申請日の間に経営状況が大きく変化しているケースも多く、その場合は、「より申請日時点の実態に合った財務諸表で審査すべき」との国土交通省の通知の解説をします。行政書士あやな特定建設業許可の更新ができないと判断するのは、まだ早いかもしれません!
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目次
- 1|どんな場合に特定建設業許可の更新ができる可能性があるの?
- 2|許可の更新の日までに要件を満たすことになる場合
- 2-1|パターン①減資
- 2-2|パターン②債務免除
- 2-3|パターン③その他財務状況の改善
- 3|許可の更新の日以降の近い将来に要件を満たすことになる場合
- 3-1|パターン①減資
- 3-2|パターン②会社更生法、民事再生法による手続きが行われている
- 4|その他の認められる要件
- 4-1|パターン①特定調停法による調停が成立
- 4-2|パターン②その他
- 5|更新許可に条件がつく可能性がある?
- 5-1|減資
- 5-2|債務免除
- 5-3|会社更生法による手続きが行われている
- 5-4|民事再生法による手続きが行われている
- 5-5|特定調停が成立している
- 6|まとめ。
どんな場合に特定建設業許可の更新ができる可能性があるの?
申請日の直前の決算状況では特定建設業許可の財産要件は満たさないけど、「許可の更新日までに要件を満たす場合」または「申請日までに法的な手続き等をしていて許可の更新の日以降近い将来に要件を満たす可能性が高いと判断できる場合」には、特定建設業許可を更新できる可能性があります。
例えば、毎年9月30日が決算日で令和3年11月30日が建設業許可更新の期限日の場合、通常であれば、令和3年9月30日の決算はまだ税務申告が完了していない期間なので、令和2年9月30日〆の決算で財産要件を満たしているか確認しますが、令和2年9月30日の決算では財産要件を満たせない場合は、令和3年9月30日決算にて財産要件を確認できる場合があります。
許可の更新の日までに要件を満たすことになる場合
以下の事由で、許可の更新日までに要件を満たす場合には、以下のパターンに掲げる書類で許可要件の確認をします。
パターン①減資
✔ 許可の更新日までに、会社の登記簿謄本で減資を行なったことが確認できること。
✔ 減資後に許可要件を満たすことについて、会計処理の方法に関して、弁護士、公認
会計士または監査法人が格段の意義を述べていないことが文章で確認できること。
パターン②債務免除
✔ 許可の更新日までに、関係債権者の同意書等により債務免除を行なったことが確認
できること。✔ 債務免除を受けた後に許可要件を満たすことについて、会計処理の方法に関して、
弁護士、公認会計士または監査法人が格段の意義を述べていないことが文章で確認
できること。
パターン③その他財務状況の改善
✔ 許可の更新日までに、財務状況の改善措置により要件を満たすことが確認できるこ
と。✔ 債務免除を受けた後に許可要件を満たすことについて、会計処理の方法に関して、
弁護士、公認会計士または監査法人が格段の意義を述べていないことが文章で確認
できること。
許可の更新の日以降の近い将来に要件を満たすことになる場合
以下の事由で、許可の更新申請日までに法的な手続等を開始していて、許可の更新日以降の近い将来に要件を満たすことが確実であると判断できる場合には、以下のパターンに掲げる書類で許可要件の確認をします。
パターン①減資
✔ 許可の更新日までに、株主総会議事録・特別決議に必要な株主の同意書等で減資を
行なうことが確実であると確認できること。✔ 減資の発効の日に許可要件を満たすことについて、会計処理の方法に関して、弁護
士、公認会計士または監査法人が格段の意義を述べていないことが文章で確認でき
ること。
パターン②会社更生法、民事再生法による手続きが行われている
✔ 会社更生法、民事再生法の手続の開始決定が行われたことが確認できること。
✔ 管財人、監督委員または管財人、監督委員が選任されていない場合は申立者が証明
した資料(資料の提出について裁判所の許可を受けたものに限ります。)により、
再生等の見込みがあることが文章で確認できること。
その他の認められる要件
パターン①特定調停法による調停が成立
✔ 特定調停の成立を示す調書のコピー
✔ 当該特定調停による債務免除の発効の日において、要件を満たすことについて、そ
の会計処理の方法等に関して、弁護士、公認会計士又は監査法人が、格段の意義を
述べていないことが文書で確認できること。
パターン②その他
✔ 当該事実を確認できる資料
✔ 当該事実の後に要件を満たすことにおいて、その会計処理の方法等に関して、弁護
士、公認会計士又は監査法人が、格段の意義を述べていないことが文書で確認でき
ること。
許可更新の保留について
以下の内容が確認できるまで、許可の更新が保留になります。
○ 許可更新の日の直前の決算期で要件を満たす見込みの場合には、当該決算について
の財務諸表が確認できるまで。
○ 許可更新の申請日までに「会社更生手続開始」または「民事再生手続開始」の申し
立てをした場合には、裁判所の再生手続決定がされるまで。
○ 特定債務者等の調整の促進のための特定調停に関する法律に基づき、調整にかかる
調停の申し立てをした場合には、当該法律に基づく利害関係人の調整を促進する観
点から、債権者の当該調停に係る判断が明らかになるまで。
更新許可に条件がつく可能性がある?
許可を更新する場合には、許可要件を確認し近い将来に要件を満たす可能性が高かったにも関わらず、要件を満たさなくなった場合に許可を取り消すことができるよう、以下の場合には許可更新の際に以下のパターンごとに条件をつけて、許可通知書に記載されます。
減資
- 減資の発効の日の属する事業年度終了日以降、速やかに当該事業年度終了日において特定建設業の財産的基礎の全ての要件を満たすことを財務諸表を添えて許可行政庁に報告すること。
- 報告された財務諸表から当該減資の発効の日において要件を満たしていないことが明らかになった場合は許可を取り消す。
- 速やかに報告されない場合は、許可を取り消すことができる。
債務免除
- 債務免除の発効の日の属する事業年度終了日以降、速やかに当該事業年度終了日において特定建設業の財産的基礎の全ての要件を満たすことを財務諸表を添えて許可行政庁に報告すること。
- 報告された財務諸表から債務免除の発効の日において要件を満たしていないことが明らかになった場合は許可を取り消す。
- 速やかに報告されない場合は、許可を取り消すことができる。
会社更生法による手続きが行われている
- 更生計画認可以降、速やかに更生計画認可の日において特定建設業の財産的基礎の全ての要件を満たすことを財務諸表を添えて許可行政庁に報告すること。
- 更生手続廃止または更生計画不認可の決定等、更生計画が策定されないことが明らかになった場合は許可を取り消す。
- 速やかに報告されない場合は、許可を取り消すことができる。
民事再生法による手続きが行われている
- 再生計画認可の日の事業年度終了日以降、速やかに当該事業年度において特定建設業の財産的基礎の全ての要件を満たすことを財務諸表を添えて許可行政庁に報告すること。
- 再生手続廃止または再生計画不認可の決定等、再生計画が策定されないことが明らかになった場合は許可を取り消す。
- 速やかに報告されない場合は、許可を取り消すことができる。
特定調停が成立している
- 特定調停による債務免除の発効の日の事業年度終了日以降、速やかに当該事業年度において特定建設業の財産的基礎の全ての要件を満たすことを財務諸表を添えて許可行政庁に報告すること。
- 報告された財務諸表から、特定調停による債務免除の発効の日において、要件を満たしていないことが明らかになった場合は許可を取り消す。
更新許可の条件措置は、建設投資の低迷等により建設業を取り巻く環境がとても厳しいことによる取り扱いで、建設業の経営環境が改善された場合には見直されます。
また、特定建設業許可に既に条件がついている場合は、条件措置の対象になりません。
まとめ。
まさおとってもニッチだけど、知っていたら特定建設業許可の保持を諦めなくてよい可能性につながるね。
行政書士あやなそうなのです。
諦めるのはまだ早いかもしれません!
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